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保護者も共感!発達特性のある子の「やりかた」を支援するアプリ、ソフトバンクがEDIX東京で展示
「EDIX東京2024」レポート
2024年5月29日 06:30
2024年5月8日〜10日に東京ビッグサイトで開催された「第15回EDIX(教育総合展)東京」では、インクルーシブ教育を支援するICTサービスが多数出展されていた。
第15回 EDIX(教育 総合展)東京レポート 目次
ソフトバンク株式会社は、「子どもの世界を広げる支援」というテーマでソリューション展示を行った。本稿ではその中から、発達に特性があり、困りごとを抱える子供を支援するアプリケーション「アシストガイド」を紹介しよう。
活動の流れを登録し見通しを立てる、電車の乗り方も写真付きで確認
発達に特性がある子供は、聞いて理解することよりも、見て理解することの方が得意なケースが少なくない。筆者の息子もその傾向があり、1日の活動の流れや、朝の支度、持ちものを事前に絵や写真で提示すると見通しが立てやすくなる。
アシストガイドは「やること」や「やり方」をわかりやすく提示することで、困りごとを抱える子供が自信をもって1人で行動できるように支援するアプリ。香川大学 教育学部 坂井聡教授と宮崎英一教授の監修のもと開発された。スマホやタブレットから無料で使用できる。
主な機能は1日の「やること」の順番を登録し、確認する「予定」と、「おたすけメモ」の2つ。おたすけメモでは、「やりかた」「行きかた」「持ちもの」をイラストや写真付きで登録できる。
予定は作成ボタンで簡単に作れる。筆者も早速、息子が登校するまでの流れを登録してみた。作成する際は、予定の開始日時とアラーム・タイマーを設定できる。また、朝の支度のように毎日行う予定は、くり返しを設定できる。
作成する際はおたすけメモを3つまで登録可能で、その予定に必要な持ちものや具体的な手順を添えることができる。
「おたすけメモ」を作成する際も、基本は同じで、作成ボタンからタイトルと説明を入力し、写真を添付する。
EDIXの展示では、「行きかた」の例として「電車に乗る」手順を紹介していた。筆者の息子は小学4年生だが、正直まだ1人で電車に乗せることには不安がある。しかし、「PASMOをタッチしたらカバンにしまう」「ホームの“赤丸”の場所で待つ」という具合に細かく手順を示してあげれば、そのハードルは大分低くなるように感じた。駅のホームまでの道すじを説明する際も、実際の写真付きでわかりやすい。
これは補足だが、保護者として引きつけられたポイントがもう1つ。アシストガイド対応機種の子供用スマホ「キッズフォン3」には、子供が交通系ICカードをタッチした際に保護者に通知が届く「タッチでメール」サービスがあり、これを組み合わせれば子供が無事電車に乗れたか確認できるので、より安心だ。
できた数だけ汽車が走る、子供のモチベーションが上がるごほうびも
次は実際に登録した予定を確認する子供側の視点に立って、魅力を伝えたい。アシストガイドにはお楽しみ要素として、「汽車の旅」が用意されている。予定を完了するとチケットを入手でき、1枚につき汽車が1kmずつ進む。
アプリを開くと、その日の予定が一覧で表示される。予定をタップすると、「できました」ボタンを押す画面が表示され、予定が完了すると「チケット」が手に入る。
ゴールまでの距離は設定画面で変更可能で、達成した際のごほうびを自由に登録できる。例えば3km(予定を3つ完了)したら、「好きなお菓子を1つ食べる」「タブレットの時間が10分増える」など、子供のモチベーションが上がりそうなごほうびを設定できる。もちろん、ごほうびの設定をせずに使用することも可能で、その際は「旅のきろく」で汽車の走行距離を確認し、達成度を味わえそうだ。
筆者の家庭では小学校入学時に、100均のホワイトボードとマグネットステッカーで、自作の「持ちものリスト」「支度の手順」表を自作したが、気づくと日常の風景に溶け込んでしまいうまく活用できなかった。息子はそろそろ思春期にさしかかるため、朝一番に「歯を磨いたの?」と声をかけられて素直に応じられないときがくるだろう。そういったとき、アプリであればタブレットを開いた際に自分で確認できそうだ。最初に予定を登録する必要があるが、一度保存してしまえば流用できるので、細かく設定するほど、より実生活に合ったカスタマイズができる。