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Google、AIの取り組みとGIGA第2期に向けての支援パッケージを説明
「EDIX東京2024」レポート
2024年5月20日 06:30
2024年5月8日、東京ビッグサイトにて開催された「第15回 EDIX(教育総合展)東京」において、Googleは「Google for Education が考える教育の未来」と題したセミナーを実施した。
同セミナーではGoogle for Education アジア太平洋地域 マーケティング統括部長のスチュアート・ミラー氏がGIGAスクール構想第1期からこれまでを振り返ったほか、同社シニア ディレクターのジェニファー・ホーランド氏がGoogleとAIの取り組みについて解説、さらに同社営業統括本部長の杉浦 剛氏がGIGA第2期のパッケージについて紹介した。
第15回 EDIX(教育 総合展)東京レポート 目次
GIGA第1期は62%の自治体がGoogleを採用
最初に登壇したのは、Google for Education アジア太平洋地域 マーケティング統括部長のスチュアート・ミラー氏。同氏は、2020年に始まったGIGAスクール第1期を振り返り、これまでに提供したさまざまな教育プログラムにより、先生や児童生徒の授業改善に取り組んだことを紹介した。
第1期では、全国約1700自治体のうち62%超がGoogle Workspace for Educationを導入。Googleでは当初から、ツールの提供や研修の実施、先生同士の学び合いのサポートなど活用推進に力を入れてきた。具体的には、のべ約22万人が受講したという無償の研修「Kickstart Program」に加え、教育者認定資格試験を実施。また、Google 教育者グループ(GEG)とオンライン学習コンテンツの提供により、先生同士の学び合いとつながりをサポートしてきた。
また、令和6年能登半島地震においては、Chromebookを1500台とWi-Fi環境の無償提供を実施するとともに、オンライン授業の実施方法やチャットによる個別対応について詳しく解説した『緊急時の学びを止めないサポートブック〜 Google for Education で今すぐできること~』の確定版を公開した。いざというときの活用を呼びかけ、学びを止めない支援に尽力した。
Googleが考える、教育におけるAI活用とは
次に、同社シニア ディレクターのジェニファー・ホーランド氏が登壇。同氏はGoogle for Educationの製品開発を統括している立場から、AIを活用してどう教育を進化させるかについて解説した。
生成AIは2023年後半に登場したテクノロジーだが、5000万人のユーザーを獲得するまでにかかったのはたったの5週間。同じユーザーを獲得するのに飛行機は68年、インターネットは7年、Facebookは3年かかったことを考えると、生成AIは加速度的に進歩・普及してきている。AIは人類が取り組むべきテクノロジーの1つとして、PCやインターネットと同じプラットフォームの転換期を迎えており、教育が目指す壮大な目標を実現できるほどの強力なテクノロジーだとホーランド氏は説く。
一方で同氏は、コンテンツの安全性や、カンニング・盗用の恐れ、情報の正確性、プライバシー、偏見、批判的思考の低下など生成AIに対する懸念や疑問にも理解を示す。その上で、GoogleではAI利用における7つの基本方針を示し、この原則に従ってツールを開発をすると明言した。
では、具体的にGoogle for EducationではどのようにAIを利用していくのか。ホーランド氏は、「児童生徒の学習をより個別最適化する」、「教員と児童生徒に時間を還元し教員の役割を充実させる」、「ツールで組織のリーダーを支援する」、という3つの方向性を示し、すでにClassroomで実現しているものや、近い将来実装予定の機能を紹介した。
またホーランド氏は、Googleが提供する生成AIチャットサービス「Gemini」についても言及。教育者がGeminiに慣れ親しむためのコンテンツとして、「Geminiアカデミー 教育者向け」を発表した。ライブ配信やオンデマンドに対応したオンラインセッションを用意するほか、学校での対面式も可能としている(記事執筆時点では導入編のライブ配信のみが申込可能な状態)。
そして、リーダーの支援という点においては、学校や自治体での管理業務効率化、リソースの配分などで、AIとAnalyticsを活用したエコシステムを構築できるとホーランド氏は説く。Classroomのアナリティクス機能により児童生徒の状況を見える化し、課題や成績の状況などを毎日スナップショットで把握、早期に洞察を得ることができるとしている。そのほか、Googleが提供する分析ツール「BigQuery」による端末やアプリのデータの収集や、BIツール「Looker Studio」によるカスタムダッシュボードで様々なデータを可視化する事例も紹介した。
GIGA第2期に向けての支援パッケージ、GIGA専用のMDMも提供
最後に同社営業統括本部長の杉浦 剛氏が登壇。GIGAスクール構想第2期のソリューションとしては大きく分けて3つ、端末とGIGA専用のMDM「Google GIGA License(GGL)」、クラウドの教育用アプリ、利活用履歴を可視化するデータダッシュボードだとした。このソリューションにサポートサービス「Google GIGAサポートパック」を加えたものを、各パートナー事業者の基本パッケージ「Google for Education GIGAスクールパッケージ」として提供するとしている。
Google GIGAサポートパックには、新規導入向けにトライアルサポート、新規導入サポート、継続導入向けに継続導入サポート、Kickstartサポート、すべての導入先に対して活用データ可視化サポート、リサイクルサポートの6つの支援がパッケージとして提供される。その他、GIGAスクールパッケージの詳細な内容については、別記事「Google、GIGAスクール第2期施策を発表 新しいMDMライセンスとサポートパックを充実」を参照いただきたい。
また、杉浦氏はキーボードとタイピングの重要性についても言及。今後、司法試験なども完全CBT(Computer Based Testing)化される流れもある中、前回2022年に実施されたPISAの調査において日本では初めてオンライン調査が導入され、その端末としてChromebookが選ばれた。理由は、Chromebookには対象コンテンツだけ使えるようにするKioskモードがあり、それをクラウドから設定できるからだ。杉浦氏はこれを踏まえ、今後のCBT化が進んだときのことを鑑みると、OSを選ぶ際の懸念点になり得るとした。
ほかにも、杉浦氏は端末としてのChromebookも、ノートパソコン型はもちろんデタッチャブル型やコンバーチブル型などバリエーションが増え、さまざまなモデルから利用シーンに合ったものを選べるとアピールした。EDIXにおけるChromebookの展示については、別記事「EDIX東京、GIGA第2期を見据えた注目のChromebookをまとめて紹介!」を、さらにGoogleブースの様子も別記事「Google、EDIX東京で「Geminiアカデミー」を展示 自治体セミナーも多数実施」で合わせてご覧いただきたい。