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Google、GIGAスクール第2期施策を発表 新しいMDMライセンスとサポートパックを充実
学習系・校務系情報を1台のChromebookで扱える教師用端末の事例も
2024年4月24日 12:03
Googleは、GIGAスクール構想の第2期に向けた、Google for Educationについての施策を4月23日に発表した。
「第2期向けGoogle for Education GIGAスクールパッケージ」として、学習や校務のICT環境に必要なソリューションが揃ったパッケージを提供する。Google Workspace for Educationに加え、Chrome Education Upgradeを強化したMDMライセンス「Google GIGA License」と、導入や活用の支援を強化したサポートサービス「Google GIGAサポートパック」が新たに用意される。
同日開催された記者説明会において、GoogleのGoogle for Education営業統括本部 本部長の杉浦剛氏が、Google Workspace for EducationおよびChromebookの教育分野における特徴や評価、GIGIAスクール第2期に向けた取り組みについて語った。
Chromebookのメリットは「端末の性能」「運用」「支援体制」
杉浦氏はまず第1期を振り返り、自治体の声からまとめたChromebookとGoogle for Educationのメリットとして、起動の速さなどの「端末の性能」、管理のしやすさの「運用」、導入などの「支援体制」の3つを挙げた。
端末の性能としては、「45分の短い授業の中で、起動を待っている時間に学習意欲を削がない環境を用意したい」と杉浦氏は説明した。
管理のしやすさについては、初期設定やアップデートに加えて、特に教育におけるCBT(コンピュータを使った試験)のサポートを紹介。現在、学力テストなどでCBTを導入する動きが進められているが、ロックモードやキオスクモードの機能により、回答を提出するまでほかのページやアプリに移れないと強調した。
支援体制については、ICT初級者から上級者までのわかるをサポートする「Kickstarter Program」や、認定資格「教育者認定資格試験」」、先生同士で気軽に相談し学び合う「Google教育者グループ(GEG)」、「オンライン学習コンテンツ」を挙げた。
データ可視化機能の付いた新MDMと、6つの支援サービスを提供
そのうえで、GIGAスクール第2期に向けた支援施策が発表された。前述のとおり、Google Workspace for Educationに加え、MDMライセンス「Google GIGA License」と、導入や活用のための「Google GIGAサポートパック」が新たに用意される。
「Google GIGA License」は、Chromebookの管理に純正で提供するMDM(モバイルデバイス管理)だ。従来の「Chrome Education Upgrade」と同様に、クラウドで管理し、セキュリティや自動更新などの管理効率を最大化する。
それに加えて、文科省がGIGAスクール第2期の仕様に入れた「活用率の可視化」に対応し、端末の利用状況や学びの軌跡を可視化できるダッシュボード連携機能を加えている。
「GIGAスクール第1期では、自治体や学校の活用率の差が大きくなっているのが問題点の一つだったと聞いている。そこで今回、活用率をしっかり可視化することで施策に活かすことが文科省から求められた」と杉浦氏。「従来もログはとれて、簡易的なダッシュボードもあったが、今回は見たいところや人によって切り口をカスタマイズできるようになる」。なお、ダッシュボードとしてはGoogleのデータダッシュボードツールである「Looker Studio」が使われる。
「Google GIGAサポートパック」としては、支援メニューを拡充した6つのサポートを提供する。新規導入向けが2つ、継続導入向けが1つ、全導入先が3つとなっており、端末の貸出しからリサイクルまでトータルでサポートする。
新規導入向けの「トライアルサポート」では、まだChromebookを使ったことがない自治体向けに、検討導入に必要なChromebookを貸し出すプログラム。子どもたちに触らせてみたいという要望にも柔軟に対応するという。
「新規導入サポート」は、その名のとおり、新規導入のためのサポートだ。Google Workspace for Educationのテナント環境がないとできないことが増えるため、その初期設定などの構築を支援する。
「継続導入サポート」は、すでにChromebookやGoogle Workspaceを使っている自治体向けに、アプリや端末の利用状況や設定を確認し、最新機能の設定状況をアドバイスするもの。GIGAスクールは開始から4年ほど経過しているため、自治体によっては担当者が代わっているケースが多く、設定を確認したい、運用を確認したいといった要望に対応するという。
「Kickstartサポート」は、Chromebookを採用する教育機関向けの研修で、第1期から継続して無償で実施している。導入先の習熟度に合わせて3ステップの研修を用意しており、「アプリケーションの名称の呼び方から、共同作業、協働学習のシーンを理解するもの、発展的に自分の教科でこう活用したいという要望に応えるものまで用意している」と杉浦氏は述べた。
「活用データ可視化サポート」は、ダッシュボードの設定の支援だ。ログをダッシュボードにつなぎこんで活用状況を可視化するところまでサポートする。
「リサイクルサポート」は、廃棄端末の回収サービスだ。第2期の文科省の指針でも、端末の回収のロードマップが求められており、その要請に応えるものだと杉浦氏は説明した。第2期で導入するChromebookだけでなく、第1期で買取で導入された、ほかのOSの端末でも無償回収するという。
第2期のChromebook端末のOEMパートナーも紹介された。Acer、ASUS、Dell、Dynabook、HP、Lenovo、NECからの提供が予定されているという。なお、これ以外のメーカーも今後発表予定とのことで、「メーカー数は確実に増えると思う」と杉浦氏はコメントした。
先行事例:東京都荒川区、先生も学習系・校務系をChromebook1台で
GIGAスクール第2期の端末更新におけるChromebook導入事例として、杉浦氏は東京都荒川区を紹介した。
この事例は、生徒端末に加え、先生が使う校務系端末もChromebookに切り替えたというものだ。現在の学校では、学習系と校務系のネットワークを分ける「ネットワーク分離」が実施されているため、それぞれに1台ずつPCを用意する必要がある。これを、端末ではなくクラウド側でアプリケーションの権限を切り替えるツールを導入することで、1台のChromebookで学習系と校務系の両方ができるようになってきている。荒川区の事例もこの方式をとるものだ。
荒川区ではChromebookの選定要因として、端末価格、端末管理の容易さ、OS事業者純正サポートの3点を挙げており、杉浦氏は冒頭で述べた3つの特徴のとおりだとコメントした。