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Google、EDIX東京で「Geminiアカデミー」を展示 自治体セミナーも多数実施

東京都荒川区のChromebook導入事例も紹介

EDIX東京2024 Googleのブース

教育に関する日本最大級の展示会「第15回EDIX(教育総合展)東京2024」が、5月8日から10日にかけて東京ビッグサイト西展示棟で開催された。

Googleのブースでは、各メーカーのChromebookの展示コーナーやプレゼンテーションシアター、さらにはハンズオン形式でさまざまなソリューションが体験できるデモシアターや体験ゾーンなど、計8つのコーナーが設けられ、期間中は多くの来場者でにぎわった。

Google for Education GIGA スクールパッケージの紹介コーナー
Chromebook展示コーナー
体験コーナーと相談コーナー
カタログコーナー

注目の展示として、教育者向けに生成AIの使い方を教える講座「Geminiアカデミー」を紹介していた。プロンプトの書き方や、ハルシネーション、バイアスなどの注意点といった、生成AIの使い方やリテラシーを学ぶオンラインおよびオフラインの講座だ。ブースでは、実際に来場者がGeminiの対話型AIを試せるようになっていた。

「Geminiアカデミー」の紹介コーナー
Geminiの対話型AIを試せる展示

また、Googleのブースで大きなスペースを占めていたのは、ミニセミナーが行われる「プレゼンテーションシアター」と「デモシアター」だ。ここでは終日、Chromebookを導入した自治体の担当者による講演が行われたほか、校務DXや教育データ利活用といった先進的なテーマの講演が多数行われた。

デモシアター。取材時には教員向けChromebook研修の体験会が開かれていた

荒川区がChromebookを選んだ経緯を紹介

3日目のセミナーでは、子供が使用する学習用端末も、教員が使う校務用端末もChromebookに移行した荒川区のセッションが開催された。同区教育委員会の柳生光彦氏(教育事業担当係長)と、同区立尾久八幡中学校の渡邉洋津幾氏(主任教諭)が登壇し、「荒川区がChromebookを選んだ理由」と題して事例が語られた。

荒川区教育委員会 教育事業担当係長 柳生光彦氏(左)と、荒川区立尾久八幡中学校 主任教諭 渡邉洋津幾氏(右)

まずは、柳生氏が事例全般について語った。

荒川区は、小中学校が34校あり、1万2400人の児童生徒が学んでいる。同区が1人1台タブレット環境を取り入れたのは早かった。平成25年にタブレット端末を導入し、平成26年には活用時における1人1台体制を確立した。その初代タブレット端末の更新を経て、今年の令和6年度には第2世代となるタブレット端末の更新を迎えた。

これを契機にOSを再選定し、Chromebookを採用した経緯が、今回の話だ。

荒川区のタブレット導入の歴史

選定にあたっては、既存のタブレット端末が古く、起動に時間がかかることと、また調達費の増大が課題であったと柳生氏は説明した。さらに、荒川区が実施する「こども議会」においても、自宅に持ち帰ったタブレット端末がうまく起動できないことやバッテリーがもたないこと、Wi-Fi接続が途切れることなどの課題が中学生から挙げられたという。

こうしたことを背景に、学校現場での評価と、外部専門委員を含む評価委員という、2つの軸を設けて選定を実施した。

学校現場での評価と外部を含む評価委員会の2つの選定を実施
学校現場での実地調査 概要

学校現場では、OSが異なる3種類の端末を使って教員と子供たちに端末の使い勝手や起動の速さなどを比較した実証実験を実施した。その結果、Chromebookは以前の導入端末と比べて起動が早く、バッテリーが持つという声があったという。

荒川区における学校現場での評価
評価委員会の評価 概要
評価委員会での評価

こうした実証実験や選定を経て、荒川区は児童生徒用端末としてChromebookを導入した。さらに、コスト面においても前回より圧縮できたとし、その分で新たなICT環境を整備していくという。

具体的には、児童生徒用端末にASUSのChromebook LTE対応モデルと回線を導入することで、いつでも、どこでも学習できる環境を提供する。また、教員にもASUS Chromebook Plus を採用してVDI化(仮想デスクトップ)を構築し、教務と校務のPCを1台にする。さらには、スタディサプリを活用した個別最適な学習環境も整備していくことが挙げられた。

荒川区の教育ICTの未来

ちなみに柳生氏は壇上で、荒川区のマークの付いたChromebookのオリジナルカバーも披露した。

子供たちがタブレット端末に愛着を持てるよう、荒川区のマークが入ったオリジナルカバーを制作

続いて渡邉氏が学校現場での評価について紹介した。

学校では、3種類のOS端末を中学3年生68名が利用したうえで、機能評価アンケートを実施したという。3種類の端末比較では起動時間に大差はなく、カメラ機能に関してはChromebook以外の評価が高かったという

評価項目の中で、Chromebookが圧倒的に高評価だったのが、「Google Classroomにアクセスしやすい」ことだという。Chromebook以外では、端末とGoogleサービスで2回ログインが必要だが、Chromebookなら1回のログインで済み、パスワードを1つ管理するだけでいいというわけだ。

学校での評価した4つの項目
学校での評価の結果

ほかに自由意見としてあげられたのが、「パソコンとして一番使いやすい」こと。中学校ではノートPCとして使う場面が多いからだ。

また渡邉氏は、評価委員会での評価についても解説した。学校現場ではとにかく故障が多く、1カ月で300台のうち20台が故障することがあったという。そこで、導入費用が安く予備機を多く用意できる点も整備においては重要と話した。Chromebookは馴染みのない教員も多いが、教員向け研修は手厚く、そうした点も端末の選定につながっていると語った。

評価委員会での評価
高橋正和