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飛騨市が「学校作業療法室」を全小中学校に設置、インクルーシブ教育モデルの構築を推進
2025年12月4日 10:00
岐阜県飛騨市は、市内すべての小中学校に作業療法士(OT)を配置した「学校作業療法室」の取り組みを拡大し、名古屋市立大学との共同研究により全国展開を見据えた新たな教育モデルの構築に着手した。
この取り組みでは、NPO法人はびりすと連携し、2023年度から市内8校にOTを月2回派遣。子供の学習や生活の困難、教員の対応に関する相談に応じ、学校生活への参加を支援している。OTが活動する「作戦ルーム」とも呼ばれる専用スペースも校内に整備され、子供たちに親しまれているという。
作業療法士は、身体や心、認知機能、生活を取り巻く環境などを含む総合的な視点から、その人が望む「自分らしい生活」を送れるように支援するリハビリ専門職である。主に学校では、学習や学校生活に参加しにくい、特別な支援を要する児童生徒への支援を担う。
文部科学省の調査によれば、特別な教育的支援が必要な児童生徒の割合は2012年の6.5%から2022年には8.8%に増加。さらに不登校や教員の業務過多、小中学生の自殺の増加も深刻な社会問題となっている。
名古屋市立大学の塩津裕康氏によると、飛騨市における「学校作業療法室」の開始後、児童生徒の活動・参加スコアの改善、児童生徒の主体的な取り組み姿勢の増加、教員の負担軽減といった結果につながったという。
飛騨市と名古屋市立大学は、学校作業療法室の取り組みをほかの自治体でも実施できるよう、インクルーシブ教育モデルを展開する研究プロジェクトを開始。RISTEX(社会技術研究開発センター)の公募事業にも採択され、2年間にわたりエビデンスの収集、ICTシステムの開発、OTの育成、全国ネットワークの構築などを進める予定だ。
今後は、作業療法の導入を見据える長野県駒ヶ根市や長崎市、福島市などの自治体とも連携し、モデルの社会実装と普及を目指していく。
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