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OpenAIの著作権保護方針、大学生約4割が反対 MM総研調査

OpenAI社の画像生成AI・コンテンツ著作権保護方針に対する大学生の意識(出典:MM総研)

ICT市場調査コンサルティングのMM総研は、日本の大学に通う大学生や大学院生などを対象に生成AIの活用状況と利活用意識に関するアンケート調査を実施し、2025年12月2日に結果を公表した。

同調査は2025年11月に実施し、利用率や満足度などの評価と、大学での活用ルールや生成AIベンダーの権利保護などの方針に対する意見を尋ね、2,463人の回答結果をまとめている。

OpenAIが9月に発表した動画・画像生成AI「Sora2」の著作権保護方針(※1)に関する設問では、OpenAI社の方針に反対する大学生は37%で、賛成を10ポイント上回った。

※1「Sora2」が、ユーザーのプロンプトに従い、日本のゲームやアニメキャラクターに酷似した画像を生成した事態に関するOpenAIの方針。OpenAIは、自社コンテンツを学習や生成対象から除外するようOpenAIに事前申請することで、類似コンテンツの生成を防ぐ方式を採用していることを論拠に、自社に権利侵害の責任はないと表明している。

大学生のパソコン利用やAI利用については、「パソコン利用が必須」が77%に達しており、「パソコンを自由に持ち込める(BYOD)」は65%となっている。生成AIの利用率は78%で、便利と感じる比率は93%に達するなど、大学生が日常的に生成AIを利用していることがうかがえる。

ただし、生成AI利用に関するルールを整備している大学は59%で、学生専用の生成AI整備に関しては11%にとどまっており、大学生が「生成AIを利用できる個人用パソコン」を大学に持ち込んでいる状況が推測されるという。

大学生の生成AI利用率は78%で、便利と感じる比率は93%に(出典:MM総研)

大学が生成AIの活用ルールを定めている場合、学生の活用意欲が高い。生成AI活用ルールがある大学に通う学生は、ルールがない大学に通う学生と比べ、課題作成や論文作成、学習や論文執筆の支援など、質問したすべての項目で活用比率が高いことが明らかとなった。

生成AIの用途別利用率と大学のルール整備の関係(出典:MM総研)

生成AIの活用ルールを決めている大学の学生は、「授業や課題提出で生成AIを積極的に活用したい」が49%、「就職活動で生成AIを活用することは重要だと思う」は51%、「大学生のうちに生成AIのスキルアップをしておきたい」が66%に達している。

生成AIの活用意向では、活用ルールがある大学の学生が、ルールがない大学に通う学生を10~20ポイント近く上回る結果に(出典:MM総研)

OpenAI社における「Sora2」の著作権保護方針への賛否と、生成AI活用率を比較した結果、賛成と反対で生成AIの活用率にほとんど差が生じなかった。このことから、大学が運用管理やAIベンダーの利用規約を選定して生成AIツールを取捨選択しても、学生のAI活用意向を削がないことが考えられるという。

OpenAI社の著作権保護方針への賛否と学生の生成AI活用率の関係(出典:MM総研)

MM総研は、大学におけるAI活用の推進には、大学生が生成AIを利用できる個人用パソコンを大学に持ち込む状況に依存せず、大学運営にとっても、学生にとっても「安心・安全なAI活用と情報基盤運用」の構築が重要だとまとめている。

調査概要
調査対象:全国の国立、公立、私立大学に通う大学生、大学院生、博士課程に在籍中の学生
回答件数:2463人 ※一部回答含む
調査方法:インターネットによるアンケート調査(サンプル抽出は無作為)
調査時期:2025年11月
回答者属性:総計2,463人(国公立大学810人/私立大学1653人)
:総計2,463人(学部生2,293人/大学院生170人/博士課程17人)
:学部分布やエリア分布の割り付け処理は未実施で、文系が1,623人、理系が840人出現