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NEC、GIGAスクール第2期向けに、安心性能と耐久性を強化した「NEC Chromebook Y4」を発表

バッテリー取り外し式やポート少な目で安全性能を強化

「NEC Chromebook Y4」を手に持つNECの加藤賢一郎氏

 日本電気株式会社(NEC)は10月3日、GIGAスクール構想第2期に向けた学習用端末「NEC Chromebook Y4」の発表した。第1期の従来機に対して性能強化するとともに、児童生徒の学習利用に向けた安全性能や、堅牢性・耐久性を強化したことが特徴。同時に学びを止めないように入れ替えを進めるなど周辺サービスも充実させる。出荷は2025年2月ごろ開始し、2028年度までに200万台の提供を目指すという。

インテルN100を搭載して性能アップ、児童生徒の使用でも壊れない

「NEC Chromebook Y4」は11.6型液晶を搭載したChromebook。CPUはインテルプロセッサーN100、4GBメモリー、ストレージは32GBのeMMCを搭載し、従来のNEC Chromebook Y3に対して処理能力アップを行った。

NEC Chromebook Y4

 通信機能としてはWi-Fi 6Eに対応して対応アクセスポイントとの間でよりスムースな通信を実現したほか、従来のNEC Chromebook Y3に引き続きWi-Fiモデルとネット通信機能まで内蔵したLTEモデルの両方を提供する。

NEC Chromebook Y4の特徴

 発表では、NEC Chromebook Y4の重さやバッテリー駆動時間は最終段階ではないため未発表だが、重さは従来機より少し重い程度。バッテリー駆動時間もほぼ同等になる見込みだという。

NEC Chromebook Y4と従来品のNEC Chromebook Y3とのスペック比較
NEC Chromebook Y4で行った安全性の強化

 さらに「安全・安心・壊れにくい」をコンセプトとし、安全性と堅牢性・耐久性を強化し、学校での試用を想定した品質試験の追加などを行った。

NEC Chromebook Y4で行った堅牢性・耐久性の強化
学校での使用を想定した品質試験の強化

 また、GIGAスクール第2期は第1期のPCと入れ替えになるため、キッティングメニューの充実や納品時のサービス強化、既存端末の引き取りなどといった入れ替えを円滑に行うための周辺サービス強化のほか、予備機を管理するサービス、最大6年までの延長保証、ヘルプデスクの充実なども行う。

安心安全のため、インターフェースを最小限に絞り、鉛筆の芯が入らない工夫も

 壊れにくいための工夫は多くの箇所に渡っている。修理拠点のNECパーソナルコンピューター群馬工場におけるGIGAスクール第1期の修理実績約1万3000件から、故障の6割がトップカバーや液晶の破損だった。そのため、落下に関してはやわらかめの素材であるTPU(熱可塑性ポリウレタン)で外周をカバーした。

樹脂製の表面はエンボスのテクスチャを施した。縁取りはTPU(熱可塑性ポリウレタン)で角落下の衝撃を緩和

 さらに、キーボードのキートップ外れや異物挟み込みをしにくくキートップ周囲の隙間を少なくしたほか、底面のネジはボディへの圧迫と振動から緩みが生じないよう脱落防止リングを装着した。

キーボードのキートップ外れや異物挟み込みをしにくくした
取り外したバッテリーの固定ビスは脱落防止リングで外れないようになっている

 また、今回、インターフェースは左側に集中させた。端子はUSB Type-Cが2ポートで、Type-Cの片方に電源アダプターを接続して電源供給を行った場合に使えるポートは1ポートに抑えた。

 従来はHDMIやメモリーカードスロット、比較的大きい従来ながらのUSB Type-Aを左右に備えていたが、削減した理由はポートを多くすれば児童生徒が何かを入れようとしてしまい故障等の原因になる。現在、学校ではマウスはほとんど使われず、USBポートや外部インターフェースを使うシーンも少ないため、ポート削減はあまり問題にはならないという。

右のインターフェースは音量の上下ボタンのみ
左側はUSB Type-CでUSB 3.2Gen1に準拠したポートを2つ

 さらに残ったType-Cポートは左側だけに装備。これは、右利きの児童生徒が多いなか、折れた鉛筆の芯がポートに入り込む確率を減らすため。右側には音量の上下ボタンしかないが、USBがないことで右側インターフェースのサブ基板に電源供給を不要とし、より安全な設計とした。さらに、すべての内部の電源供給ケーブルに保護回路を追加した。

 Type-Cの位置にも工夫がある。標準的な鉛筆を横に置いた場合、そのままでは鉛筆の芯の先がUSBポートに入りこまないようにポートの高さを調整した。

鉛筆の芯を向けてNEC Chromebook Y4に近づけてもUSBポート内に芯の鋭利な部分は入らないよう高さを調整した

 また、バッテリーは交換しやすく、トラブル時に本体から切り離ししやすい構造とし、工具なしではできないが、専門技術者でなくても脱着が可能にした。さらにバッテリーを取り外した状態でも内部基板などがむき出しにならないようにした。

外せるバッテリー
底面にはゴム足が5つ。円形のものが大小合計4つあり、奥側は直線形状のものとなる

 ほかには、落下対策としてはゴム足の設置面積を拡大し、机からのずり落ちを防止し、さらにゴム足の劣化や外れた場合でも交換しやすい構造にした。

360度回転できるヒンジも内部が改良され、内部に通っているケーブルも損傷しにくいようになっている
キーボード全景
液晶360度回転させてタブレット風に使うことができる
立ててビューワーのように使うこともできる

ボディの周囲はTPUで保護しているが、持ち運ぶ際に手のかかりを良くするため、外周以外にもカバー表面をすべりにくい表面形状を施した。なお、外装カラーは従来のブラックからグレーに変更して擦り傷を目立ちにくくしたほか、校内で混在した場合に区別したいという要望もあってカラーを変更したのだという。

NEC Chromebook Y4(左)とNEC Chromebook Y3(右)。Y4ではTPUが外周を囲んでいる
NEC Chromebook Y4(左)とNEC Chromebook Y3(右)Y4のほうが厚みがあるようにも見えるのは縁が協調されたデザインのため
実際には厚みはそれほど違いはない

耐久性はMIL準拠では足りなかったと反省

 発表会ではNEC スマートデバイス統括部上席プロフェッショナルの加藤賢一郎氏が説明を行った。

説明を行ったNECの加藤賢一郎氏

 NEC Chromebook Y4では安全性や堅牢性、耐久性の強化やといったハードウェアの課題の克服だけでなく、第1期の端末からの入れ替えということから、スムーズな入れ替えや一括大量導入となる共同調達への対応、既存端末のリユースや処分問題などがあると指摘、児童生徒の学びを止めない関連サービスの検討も必要になるという。

GIGAスクール構想第1期の実績は160万台を出荷
第2期では入れ替えになるため、課題が変化した

 ハードウェアでは「最も重要なのは安全性」とし、今回は壊れにくいことへの対策に加えて安全性も追及した。第1期では「児童生徒が使うと、開口部がたくさんあいていると、異物を入れてしまったり、間違って鉛筆が刺さったりということがあり、そういったことから発煙するような事故が結構多かった」とし、今回のポートの削減や鉛筆が刺さりにくいポートの位置になどにつながった。

 また、試験項目を増やした点についても「これまでは米国のMIL準拠の試験をして安全で耐久性があると訴えていたが、この4年間の運用状況を見て、これだけでは足りない」「我々の普通のビジネスユースで使っていたパソコンの使い方とは違う使い方をしていることに起因する故障が非常に多くあった」と反省点を述べ、「学校での使用時に起こり得るトラブルを軽減するための、それに耐えうる耐久性の確認をした」と説明した。

NEC Chromebook Y4の3つの特徴
周辺サービスを強化して学びを止めない

 周辺サービスについては、GIGAスクール第2期では運用中の端末の入れ替えになるとしNECの倉庫で機能確認や管理コンソールの登録、端末へのラベル貼りまで行うキッティングメニューを充実させ、販売店の作業負担を軽減するともに導入までの時間を軽減できるとした。

 さらに納品時のサービス方法や、既存端末の引き取りや買い取り、データ消去といったことにも対応するという。