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GIGA端末の更新需要は2025年度と2026年度に分散、MM総研調査
価格競争原理が働くOSやメーカー選定が重要と提言
2024年4月24日 06:30
MM総研は、2024年以降のGIGAスクール端末と法人PCの市場規模を予測した結果を発表した。今後、端末の耐用年数からGIGAスクール端末の政府財源による更新需要が予想されるが、2025年度に474万台、2026年度に455万台と複数年に分散されると予想。併せて端末の価格上昇における調達方法についての提言もまとめている。
GIGAスクール端末は2020年度から累計1200万台を超える台数が配備された。小中学生向け端末は耐用年数を迎えるため、2024年度以降に順次更新予定。同時にWindows 10の延長サポートが2025年10月に終了する予定から、2025年度は学校向けだけでなく企業や政府自治体が利用するパソコンの更新需要が集中することが懸念されていた。
MM総研では、文部科学省が2022年8月に実施した端末の更改期限と財政措置年の見通しや、独自の都道府県への電話調査などを実施して予測をまとめた。GIGAスクール端末の更新需要は2025年と2026年度に分かれるとして、2025年度は法人向けが1045万台、GIGAスクール向けが474万台の合計1519万台。2026年度は法人向けが736万台、GIGAスクール向けが455万台の合計1191万台になるとした。
一方で、パソコンの価格上昇が続いている。2019年度は法人向けPCの出荷平均単価が8万円だったが、2023年度第3四半期では12万5000円と50%を超える上昇率を見せている。しかし、GIGAスクール構想でも端末予算は前回の4万5000円から更新では5万5000円と約20%増額しているが、市場平均の上昇率を下回る予算しか想定されていない。
なお、今回の更新では文部科学省が更新財源を県単位の基金として複数年運用し、基金下に市町村のデジタル教育環境整備責任者が参加する協議会の設置を求めている。そのため、協議会でOSや端末などを比較検討し、夏以降、協議会ごとの共同調達仕様が策定されるとみられていたが、MM総研による2月から3月にかけての調査時点では需要調査を行っている都道府県は79%になったものの協議会を設置した都道府県は34%にとどまった。
MM総研では、PC価格上昇や企業の更新需要と時期が重なるため「自治体は共同調達で数量をまとめたうえ、さらにOSやメーカー間の競争原理が働く調達手法、メーカー選定を検討していくことが重要」としているほか、配備人員不足を想定して配備や運用の自動化を推進するなど効率向上に務める必要があるとしている。
さらに、複数年の調達となるため、周辺機器の買い直しや運用の変更を極力減らすために、同系統の製品を複数年供給する計画があるかなどを確認して端末選定をする必要があるとしている。