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生成AIを小学生が使うことに肯定的な保護者が10ポイント増、ベネッセ調査
1032組の児童と保護者が回答
2024年7月22日 17:00
株式会社ベネッセコーポレーションは、小学生とその保護者に対するアンケート調査「生成AIの利用に関する調査」の結果を発表した。前年から認知や利用率に大きな変化はなかったものの、生成AIについて知っている保護者のうち、利用に肯定的な人が前年より10ポイントアップした。
この調査は、2024年6月24日から26日にかけて、小学3年生から6年生とその保護者、1032組に対してインターネット上で行った。ベネッセでは同様の調査「ChatGPTの利用に関する意識調査」を2023年6月にも行っており、ChatGPT以外にも生成AIが登場していることで、今回は「生成AI」として調査した。
小学生の生成AIの認知については23%が「知っている」と答え、前年より3ポイントアップ、「知らない」は43%で前年よりも9ポイントも減っている。
保護者の回答は「知っている」が53%、「聞いたことがあるが、どのようなものがわからない」が30%、「知らない」が18%となった。
生成AIを「知っている」と回答した小学生のうち、「よく使っている」「時々使っている」「試しに使ってみたことがある」の合計は約7割。この7割は前年と同じだが、「よく使っている」は16%で前年よりも3ポイント減少、反対に「時々使っている」は28%となり、前年よりも6ポイントアップしている。
変化が大きかった調査項目としては、生成AIについて知っている保護者に聞いた「子供が生成AIの利用についてどう思うか」で、「積極的に使ってほしい」「少し使ってみてほしい」の合計が約66%で、前年の約56%から10ポイントもアップしている。そして、「あまり使ってほしくない」「まったく使ってほしくない」の否定的な意見や「わからない」はいずれも減少している。
利用肯定、利用否定のそれぞれの保護者に理由を聞くと、肯定的な理由として「新しい技術の活用力を養うよい機会になりそうだから」が35%と多く、「自分で考える力が伸びそうだから」(13%)や「情報の正誤の判断力が見につきそうだから」(11%)といった子供が生成AIの特徴をとらえることを期待する回答もあった。
否定的な理由では「自分で考えなくなりそうだから」が48%とトップ、次いで「自分で書いて表現することをしなくなりそうだから」が23%、そして「情報の正誤の判断がつかなそうだから」が12%と生成AIの不完全な点を心配する回答もあった。
生成AIについて知っている小学生に利用意向を聞いた質問では、「たくさん使いたい」が28%、「少し使ってみたい」が60%と利用肯定派が9割近くに達している。
保護者、小学生に使いたいことを聞いた質問では、複数回答で「好きなことに調べる時」が最も多く、保護者、小学生ともに50%を超えてトップとなり、「学習での疑問解決」「調べ学習の情報収集」も4割超えとなっている。
なお、「文章を書いたりまとめたりする時」「調べ学習のテーマ決め」「学習以外での疑問解決」「話し相手がほしい時」については、小学生の使用意向が高く、保護者の使用意向は低い傾向となった。また、小学生よりも保護者の使用意向が大きいものとしては「アイデアを探したり考えを広げたりする時」があった。
また、生成AIを使うときに大事なことを聞いた質問では「個人情報を入力しない」「正しい情報か確かめる」など用意された選択肢はいずれも高い回答が得られている。
なお、今回の調査結果についてベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター長の小村俊平氏は「家庭で利用する場合は、生成AIに答えを教えてもらうのではなく、生成AIを使って試行錯誤しながら、自分の考えを引き出すツールとして使うように子供にアドバイスするとよい」と答えている。