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【ベネッセ×東大調査】高校生が憧れる職業は「教員」、10年連続で人気トップに

ベネッセ教育総合研究所と東京大学社会科学研究所が、小学1年生から高校3年生・約2万組を対象にした10年間の継続調査から「子供たちのなりたい職業」のランキングを発表

株式会社ベネッセコーポレーションの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、東京大学社会科学研究所と共同で実施している「こどもの生活と学びに関する親子調査」から、子供の「なりたい職業」に関するランキングを発表した。

同プロジェクトは、同一の親子(小学1年生から高校3年生・約2万組)を対象として、2015年以降の10年間に継続調査を実施。12学年の親子の意識・行動の変化を明らかにしている。

「将来なりたい職業(やりたい仕事)があるか?」という設問に対し、「ある」と回答した人に具体的な職業を聞いたところ、小学4~6年生は「プロスポーツ選手」、中学生では「教員」と「プロスポーツ選手」(同率)、高校生は「教員」が1位となった。

中学生と高校生のなりたい職業No.1に「教員」がランクイン

「なりたい職業」について男女別に分類すると、小学4~6年生の男子は「プロスポーツ選手」が断トツの人気で、「YouTuber・VTuber」が続く。女子は「店員(花屋・パン屋など)」が1位で、2位は「看護師」という結果となっている。

小学4~6年生の男子は「プロスポーツ選手」、女子は「店員(花屋・パン屋など)」が1位

中学生では、男子に人気の職業が「プロスポーツ選手」「教員」「医師」で、女子は「教員」「看護師」「保育士・幼稚園教員」が上位を占めた。男子では、ゲームクリエーターが4位(女子は圏外)で、男子で圏外だったイラストレーター(女子6位)、芸能人(女子7位)がランクインした。

中学生男子は「プロスポーツ選手」、女子は「教員」が1位に

一方、高校生のランキングでは、男女ともに教員が1位となった。中学生男子で6位だった「SE・プログラマー」が高校生では2位となっており、高校生女子の1位から3位は、中学生女子と同じ結果となっている。

高校生は男女ともに「教員」が1位

また、2015年と2024年のデータを比較すると、子供たちの職業観に変化が見られる。例えば、小学生では「YouTuber・VTuber」がランク外から4位に急上昇し、高校生では「SE・プログラマー」が13位から6位に上昇した。一方で、教員は依然として中高生に人気があり、10年間一貫して1位を維持している。

中高生がなりたい職業No.1の「教員」は、10年間変化なし
ベネッセ教育総合研究所 主席研究員 木村治生氏

ベネッセ教育総合研究所 主席研究員の木村治生氏は、教員が人気の理由として、子供にとって最も身近な職業であることのほか、学年が上がるにつれて、夢を追う職業から資格を要する現実的な職業への志向が強まる点を挙げている。また木村氏は、「教員の採用倍率が低下し、なり手不足が課題となっていることから労働環境や処遇の改善を進めて、教員の魅力を高める必要がある」とコメントした。

同プロジェクトでは、職業を早期に決めることよりも、多様な可能性に目を向けることの大切さを強調している。大人に求められるのは、子供の選択肢を広げ、ともに悩んで、応援する姿勢であるという。

【調査概要】
名称:「子どもの生活と学びに関する親子調査2015-2024」(第1~10回)
調査テーマ:
【子供調査】子供の生活と学習に関する意識と実態
【保護者調査】保護者の子育て・教育に対する意識と実態 ※小1~3生は保護者のみ実施
調査時期:各年7~9月
調査方法:2015年は郵送調査とWeb調査の併用。2016~20年は郵送調査、2021年は郵送調査とWeb調査の併用、2022~24年はWeb調査
調査対象:全国の小学1年生~高校3年生の子供とその保護者(小1~3生は保護者のみ回答)