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すらら、発達障がいや不登校の子などを抱える保護者向けプログラムを開始
褒める子育てプログラムと実践サポートコミュニティ
2024年3月5日 06:30
株式会社すららネットは、新サービスとして保護者向けプログラム「ほめビリティ・ペアレンティング」を2024年5月13日より提供することを発表し、2月26日に新サービス発表会を実施した。公式サイトにて3月1日より申込受付を開始。参加料金は、初参加が20,328円(税込)、参加経験者は17,028円(税込)となる。
「ほめビリティ・ペアレンティング」は、学習習慣が身に付かない子供をはじめ、不登校、発達障がいを持つ子供の子育てに悩む保護者を対象としたプログラム。行動療法に基づき、子供の行動修正に焦点を置いた効果的な褒め方や指示のスキル・テクニックを学ぶことができる。
株式会社すららネットの佐々木章大氏は、ICT教材「すらら」を通して学習支援を行うなかで、ゲームやネットの長時間利用による昼夜逆転など、学習以外の相談が多く寄せられることを挙げた。
「学習習慣の定着や基礎学力・成績の向上をめざすうえでは、子供の自己コントロールを育むことが大切だが、そこに至る前段階で悩む家庭が多い」と同氏。子供の行動を変えるためには、保護者が普段から子供のよい行動を褒めることが重要であるとし、保護者の「褒めるチカラ」を伸ばして、子供の自己コントロール醸成につながる同サービスを開発に至ったと述べた。
3つの褒めるチカラを養い、親子の好循環をめざす
「ほめビリティ・ペアレンティング」で保護者が身に付けられるのは、3つの褒めるチカラ。具体的に褒める「ぐた褒め」、減らしたい行動に対してスルーした後に褒める「スル褒め」、指示を出した後に褒める「指示褒め」というチカラを養う。
プログラムは、全23講座のオンラインレクチャーを受講し、演習問題やWebドリルによる確認テストを行う「ほめビリティプログラム」と、チャットツールを利用した「ほめビリティコミュニティ」での実践で構成されている。
「ほめビリティプログラム」で受講する内容は、行動分析学をベースとした親子の関わり方と、認知行動療法(CBT)をベースとした不安が強い子の関わり方について。各講座は5分から10分という受講しやすい構成になっている。
「ほめビリティコミュニティ」は、参加者が日々の実践を投稿し、互いに共有・共感し合いながら前向きに取り組むことをめざすもの。
コミュニティは子供の年齢に応じて2つのグループで形成されており、3歳から10歳グループと10歳から18歳グループに分かれる。不登校や発達障がいなど子供の状況に合わせて共感しやすいメンバーで構成。各グループには専任のメンターが就き、日々の実践や疑問についてフィードバックも行われる。
「ほめビリティコミュニティ」結成時には、顔合わせの決起集会を開催。投稿やシェアの動機付けにつながるポイント制を取り入れるほか、楽しい企画を多く用意している。
同社は新サービスに先立ち、2023年1月から12月まで、「ほめビリティ・ペアレンティング」のトライアルを実施。132名の受講者を対象にアンケートを行ったところ、約82%の保護者が、子供の1日あたりのゲーム視聴時間が参加前に比べて「30分以上減った」と回答したという。
子供のゲームの付き合い方を考えるうえで大切なのは褒める習慣
同発表会では、ゲームやネットに没頭する子供への声かけや、ゲーム時間を減らし、学習習慣を身に付けるために大切な親子関係の構築に関する勉強会も開催された。
一般社団法人日本アンガーマネージメント協会 公認講師の小尻美奈氏は、子育て世代から多く挙がるイライラの声として、「ゲームのプレイ時間を守らない」「勉強しないでゲームばかりする」といった、ゲームにまつわる内容が多く寄せられていると述べた。
同氏は、すららネットユーザーの保護者560名を対象に行った「ゲームやスマホばかりの子どもとの接し方実態調査」を紹介。「子どものゲームのプレイ時間(1日あたり)は?」という質問に、最も多い24.1%の保護者が「1時間から2時間」と回答し、約9割の子どもが1日30分以上プレイしている結果になったという。
また、「ゲームばかりしている子供を注意する(叱る)言葉で一番近いものは?」という質問では、23.3%の保護者が「ちゃんとルールを守りなさい」と回答した。それを受けて小尻氏は、子供への声がけに必要なのは、リクエストを伝えることだと語った。
アンガーマネージメントの観点で「ちゃんと」は程度言葉であり、子供に伝える際は「17時になったからゲーム機をテレビの横に戻してね」、「1時間に設定しているタイマーが鳴ったら、ゲームの電源を切ってほしい」というふうに具体的なリクエストをすることが大切だと述べた。さらに、それを行うためには日頃から子供とコミュニケーションを取り、信頼関係を作ることがカギになると強調した。
一方、佐々木氏は褒めることに重きを置いた親子関係の好循環と、それを前提としたゲームのルールづくりについて講演。「最近のゲームはとても面白く作られていて、子供が自発的にやめるのは難しい『内発的動機付け』が影響している」と同氏。大切なのは、それを認めたうえで、子供自身で自己コントロールを学ばせるルール作りと環境設定だという。そのための手法の1つとして、行動心理学をもとにした「行動のABC」を紹介した。
「行動のABC」とは、「A:先行条件」、「B:行動」、「C:結果」のうち、Bの行動によって起きたCの結果によって、Bの行動が強まったり、なくなったりするというもの。これをゲームに置き換えると、A「ルールを伝えた」、B「ルールを守った」ので、C「ルールを守れて偉かった」と褒めて、「ルールを守ること」が強化されることが望ましいとされている。
佐々木氏は、保護者にアドバイスを行う際に「行動のABC」の中でも、「望ましくない行動に負の罰」を与えることを推奨しているという。負の罰とは、子供の好きなものを「取り除く=負」ことで、子供の好ましくない行動を「減らす=罰」というもの。実際に、これを日頃から子供を褒める方が多い家庭で行ったところ、約72%の子供がゲームのルールを「守るようになった」という結果になった。
しかし、ここで注意したいのは褒めるよりも、注意する方が多い家庭の場合だ。同調査を注意する方が多い家庭で行ったところ、「守るようになった」と回答したのは約23%という前者を下回る結果となった。
これらの調査を経て、佐々木氏はゲームの運用が上手く行っている家庭は、普段から子供を褒める割合が多く、ルールを守らなかった時に「負の罰」を適用していると述べた。同社では、親子関係の好循環が子供の自己コントロール醸成に不可欠と考え、「ほめビリティ・ペアレンティング」を通して保護者の褒めるチカラを養成するプログラムを提供する。
【訂正:2024年3月8日10時45分】すららネットの公式発表にて、ほめビリティの開始日が4月から5月に変更になったことを受け、本文を訂正しました