【連載】高橋暁子の「親と先生の気になるネット」

「ドパガキ」になってない? 大人が知るべきショート動画の仕組み

ネットは日々変化し、子供たちを取り巻く環境も大きく変わっています。本連載では、ITジャーナリスト・高橋暁子さんが、保護者や先生が知っておきたい最新のネット事情をわかりやすく解説します。

「ドパガキ歴? もう9年かな」。そう話す小学生は、スマートフォンのショート動画から目を離さない。食事中はもちろん、トイレやお風呂でも、起きている間はずっと見続けている。

「ドパガキ」とは、「ドーパミン中毒のガキ」という意味のネットスラング だ。ショート動画などの刺激的なコンテンツに慣れすぎて、長い動画を最後まで見る集中力を失った子供を指す。

ショート動画の視聴は、コントロールできるのか。本記事では、ショート動画が依存を生む仕組みと、視聴時間をコントロールする方法を解説する。

そもそも依存性が高くなるよう作られている

「気づいたら、時間が溶けていた」という話はよく聞く。なぜショート動画では、そうした状態になりやすいのか。それは、 そもそもはまりやすいように作られている からだ。

ショート動画は、見てすぐに「面白い」「かわいい」「すごい」といった報酬が得られる。しかも次にどんな動画が出てくるかわからないため、好みの動画が表示されたときにドーパミンが出て、脳はその快感を覚えてはまっていく。

スクロールするだけで刺激が得られることも大きい。ショート動画には、ページを移動しなくてもスクロールするだけで新しいコンテンツが表示される「 無限スクロール 」という仕組みがある。さらに自動再生機能によって次々と新しいコンテンツが流れてくるため、刺激を受け続けることになる。その刺激には終わりがなく、やめ時も見つからない。

加えて、AIが好みに合った動画を高い精度でおすすめ(レコメンド)する仕組みもある。興味がなければスワイプで手軽にスキップでき、1本を最後まで見る必要もない。

こうした視聴を繰り返すうちに、長い動画を最後まで見られなくなってしまう。また、ドパガキ状態の影響は、長い動画が見られないことだけではない。集中力が低下し、学力も下がる可能性があると言われているのだ。

15〜29歳の962人を対象としたinfoQの「SNS疲れに関する調査(2026年5月)」によると、無限スクロールをやめられない理由は、「頭を使わずぼーっと受動的に楽しめるから」(31.9%)、「次々と好みのコンテンツが流れてくるから」(23.9%)、「現実のストレスや勉強などから逃げたいから」(22.2%)などとなっている。

ショート動画は、必ずしも「見たくて見る」ものではない。疲れた脳のガス抜きや現実からの逃避のために見られている面がある。その結果、依存状態に陥り、時間を溶かすことにつながっているのだ。

裁判でも認められたショート動画の依存性の高さ

米国で、20歳の女性が「自分がSNSに依存したのは運営会社の責任だ」として訴訟を起こした。2026年3月、陪審はMetaとYouTube(Google傘下)の責任を認める評決を下した。無限スクロールなどの設計をめぐり、運営会社の過失が認められた形だ。両社は控訴する方針を示している。なお、TikTokも訴えられていたが、裁判前に和解している。

つまり、InstagramリールやYouTubeショートを提供する企業の責任が、裁判で認められたことになる。TikTokも含め、ショート動画の仕組みが依存を生みやすいことは、もはや見過ごせない問題となっているのだ。

SNSは無料で使えるが、民間企業が運営するサービスだ。開発費やサーバー代、社員の給料がどこから出ているのかを考えれば、そこに仕掛けがあることに気づく。

無料なのは、まず一度使ってもらうためだ。使い始めれば、多くのユーザーがはまり、繰り返し長時間利用するようになる。その結果、広告収入や課金収入が得られ、ビジネスとして成り立つ。いわば、プロが腕によりをかけて「ユーザーをはまらせる」ために作り込んだサービスなのだ。 何も対処しなければ、はまるのが当たり前と考えるべきであり、子供に使わせるのであれば、依存対策は必須 なのだ。

ショート動画はペアレンタルコントロール機能で制限推奨

では、ショート動画の視聴を制限する方法を見ていこう。

前提として、Instagram、TikTokなどショート動画のアプリには、 利用時間の上限を設定してアラートを表示させる機能がある 。誰でも使えるが、アラートを無視すれば視聴を続けられてしまう。

より確実なのが、 ペアレンタルコントロール機能 だ。InstagramとTikTokにはアプリ自体にこの機能があり、保護者が許可しなければ上限を超えて視聴を続けることはできない。未成年にはこちらを推奨したい。

Instagramのペアレンタルコントロール
TikTokのペアレンタルコントロール

また、スマートフォンやタブレットの機能を使う方法もある。iPhone・iPadなら「スクリーンタイム」、Androidなら「Google ファミリーリンク」で、アプリごとに利用時間を制限できる。こちらも制限力は高い。

iPhoneやiPadのスクリーンタイム設定方法
①[設定]から[スクリーンタイム]を選ぶ
②[アプリ使用時間の制限]-[制限を追加]をタップする
③[エンターテイメント]-[YouTube]をタップし、次へ
④利用時間や曜日などを設定する

Android端末であれば、無料アプリのGoogle ファミリーリンクを利用できる。保護者の端末を開き、管理する子供のアカウントを選択、[利用時間]か[利用時間の制限]をタップし、YouTubeを選んで時間を制限しよう。

YouTubeショートはスクリーンタイム・ファミリーリンクで制限

YouTubeショートは、YouTubeアプリ自体の機能で視聴時間の上限を設定できる。設定した時間に達すると上限に達したことを知らせるメッセージが表示され、やめるきっかけになる。

【YouTubeショートの利用時間設定】[YouTube]アプリの[マイページ]で歯車マーク([設定])をタップし、[時間管理]-[ショート フィードの上限]をオンに設定してから1日の使用上限を選ぶ

上限は「0分」にも設定できるが、[今日の制限を無視する]を選べば、そのまま視聴を続けられてしまう(参考:YouTubeヘルプ「ショート フィードの上限を設定する」)。利用時間を確実に制限したい場合は、スクリーンタイムやファミリーリンクで制限するのがおすすめだ。

Instagramはペアレンタルコントロール機能でのブロックを推奨

Instagramでは、アプリ全体の1日の利用時間に上限を設定できる。上限に近づくと通知が届き、設定した時間に達するとアプリを閉じるよう促すリマインダーが表示される(参考:Instagramで1日の時間制限を設定する)。

【Instagramの利用時間設定】プロフィール画面右上の三本線(≡)から[設定]-[時間管理]-[1日の制限]とタップし、15分から2時間までの選択肢の中から上限を選ぶ

また「スリープモード」を使えば、指定した時間帯の通知をミュートにし、スリープモード中であることをほかの人に表示できる。[設定]-[時間管理]-[スリープモード]をオンにし、開始時刻と終了時刻、曜日を選んで[保存]をタップすれば設定完了だ。ただし、1日の制限もスリープモードも通知が出るだけで、視聴は続けられてしまう。

なおInstagramでは、13〜17歳の利用者は「ティーンアカウント」となる。ティーンアカウントでは、1日の利用時間が60分を超えるとアプリを閉じるよう通知が届く。また午後10時から午前7時まではスリープモードが適用され、通知がミュートになり、DMには自動返信が送られる。

さらに、保護者がペアレンタルコントロール機能を設定すれば、1日の利用時間をより短くしたり、特定の時間帯の利用をブロックしたりできる。1日の上限時間を設定する際は、上限に達したときにリマインダーを表示するか、利用を完全にブロックするかを選べる。子供が自分でやめられる自信がないなら、完全にブロックするのがおすすめだ。

または、スクリーンタイムかGoogle ファミリーリンクで、Instagramの利用時間を制限しよう。

ショート動画を制限し自分の時間を取り戻す大切さ

新着通知がきっかけでショート動画を見始めてしまう場合は、通知を減らすのも効果的だ。アプリごとに通知をオフにしたり、スマホの「集中モード」「さまたげ低減」「おやすみモード」などを設定したりすれば、通知をなくしたり減らしたりでき、目の前のことに集中しやすくなる。学習時間や学校にいる時間、睡眠時間などは、アプリを使えなくする設定もおすすめだ。

なお、ティーンアカウントなど未成年を保護する設定は、 正しい年齢で登録していなければ機能しない 。子供には、正しい年齢で登録することの大切さを伝えてほしい。また、YouTube、Instagram、TikTokは、いずれも利用規約で13歳以上を対象としている。13歳未満の子供には使わせない、あるいは保護者が管理したうえで使わせる必要があることも忘れてはならない。

海外では、オーストラリアやEUなどで、未成年のSNS利用や、レコメンデーション・無限スクロールといった仕組みを法律で規制する動きも出ている。各社がこうした保護措置をグローバルに広げれば日本の利用者にも適用され、子供の利用を制限しやすくなる可能性もある。ただし、すぐに実現する話ではなく、それまでは、学校や家庭での対策が必要だ。

ショート動画は学習や情報収集にも使われており、サービス自体が悪いわけではない。目的を持って適切な時間内で視聴するなら問題はない。問題なのは、見たいわけでもないのに見てしまい、やりたいことができず、日常生活に支障が出ることだ。

ショート動画は依存性が高く、子供に自由に使わせると支障が出やすい。利用時間をコントロールするには、大人の手助けも必要だと考えた方がいいだろう。子供がショート動画に振り回されて貴重な時間を溶かすことがないよう、見守っていただければ幸いだ。

高橋暁子

ITジャーナリスト。 LINE・Twitter・Facebook・InstagramをはじめとしたSNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。『若者はLINEに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』(講談社+α新書)、『スマホで受験に失敗する子どもたち』(星海社新書)ほか著作多数。書籍、雑誌、ウェブメディアなどの記事の執筆、監修、講演、セミナーなどを手がける。http://akiakatsuki.com/