【連載】高橋暁子の「親と先生の気になるネット」

小中学生が早朝4時に参加、Roblox「ブレインロット」に潜むトラブルとは

ネットは日々変化し、子供たちを取り巻く環境も大きく変わっています。本連載では、ITジャーナリスト・高橋暁子さんが、保護者や先生が知っておきたい最新のネット事情をわかりやすく解説します。

「『ブレインロットが盗まれた』と子供が朝から号泣している」「『友だちなのに盗んだ、許せない』と子供同士でケンカになっている」「朝4時からイベントに参加するようになり学校で寝ているようだ」—小中学生の間で、Robloxやフォートナイトで遊べる「ブレインロットを盗む(Steal a Brainrot)」に関する問題が多発し、緊急保護者会が開かれているケースもあるという。ゲームで起きているトラブル実態、対策までを解説する。

盗んで盗まれるゲーム「ブレインロットを盗む」

「ブレインロットを盗む」は、2025年5月にブラジルの開発者「BRAZILIAN SPYDER」が制作した、同時接続数2,500万人を超える人気ゲームである。推奨年齢5歳以上対象で、PC、スマートフォン、Xboxで遊べる。 「ブレインロット」と呼ばれるキャラクターを集めて自らの基地内に設置し、お金を稼ぐゲーム だ。

ゲームの流れはこうだ。ベルトコンベアーに出現するブレインロットをゲーム内通貨で入手し、基地内に設置。設置すると、自動的にお金が稼げる。稼いだお金で装備を購入し強化する。ほかのプレイヤーの基地に侵入してブレインロットを盗み、自分の基地に設置する。逆にほかのプレイヤーから、自分のブレインロットを盗まれることもある。ゲーム名の通り、 ブレインロットを盗み盗まれるゲーム なのだ。

「ブレインロットを盗む(Steal a Brainrot)」のゲーム画面

定期的に開催されるイベントに参加すると、イベント限定などレアなブレインロットを入手できる。ただし、アメリカ時間などでの開催のため、 日本時間で午前4時や6時などの早朝や深夜に開催 されることが多い。

ちなみに、「ブレインロット(Brainrot、脳が腐る)」とは、品質の低いネット上のコンテンツを見過ぎて、精神的・知的能力が低下した状態を指す。小学生などの間で流行した「イタリアンブレインロット」は、“トゥントゥントゥンサフール”などの生成AIで作られた奇妙なキャラクターと中毒性の高い音声を組み合わせたネットミームだ。

「ブレインロットを盗む」のブレインロットたちは、頭にピザを乗せたキャラ「ヌーブニ・ピザニーニ」、パンダとバナナが合体した「パンダッシーニ・バナニー」、猫と魚が合体し足を生やした「トゥルリメロ・トゥルリチナ」、ペンギンとココナッツが合体した「ペンギーノ・ココシーノ」など、名前も見た目も強烈なキャラばかり。前述の流行を元ネタに作られているものと考えられる。

ゲーム内で起きている3大トラブル

ゲーム内で起きているトラブルは、主に以下の3つのパターンに分けられる。一つ一つ紹介していこう。

①「盗んだ」「盗まれた」でケンカや人間関係トラブル
ゲームをして負けたときに、子供が大泣きした経験がある方は多いだろう。同様に、たとえ「盗み盗まれるゲーム」でも、盗まれることを受け止められない子供は多い。

「せっかく手に入れた(レアな)ブレインロットを盗まれて、子供がショックでずっと号泣しています」と、ある小学生男児の保護者は頭を抱える。 「ゲームだからと言って、子供が納得して受け入れられるわけじゃない」

別の小学生男児の保護者は、「友だちに盗まれたことでケンカになって絶交したとか、『○○くんに盗まれた』と親が学校に乗り込み、返すように迫られた例もあると聞く。正直、トラブルの宝庫」とため息をつく。

ブレインロットのレア度には、「コモン・アンコモン・レア・エピック・レジェンダリー・ミシック・シークレット」などの段階があり、レアなものほど出る確率が低く貴重だ。出現しても 手に入れられるユーザーは一人 であり、早い者勝ちの仕組みのため、画面に張り付いてタップ/クリック競争となるのだ。

「キャッシュマルチ」は、ゲーム内でもらえるお金が何倍になるか、お金の増加倍率を表すもの。条件によって倍率が変わる

それだけに子供たちは手に入れることに執着し、入手できると大喜びだが、奪われると強い喪失感を覚える。手に入れた喜びや努力が、一瞬で奪われることによる強い怒りや悲しみはとても大きく、リアルの人間関係にも影響を与えている。

②長時間利用、早朝・深夜利用で生活リズムが崩れる
レアなブレインロットが手に入れられるイベントは、早朝や深夜に集中している。そのため、 生活リズムが崩れる小中学生が増えている

「イベント時間が早朝4時というのは、正直やめてほしい。一度寝坊して号泣していたが、その後はきちんと起きていて驚いている。友だちもみんな起きてイベントに参加していたようだ」と、先述の保護者は困り顔だ。

イベント参加のために早朝に起きて、学校に行くギリギリまでプレイして、学校での居眠りが増えたと聞く。休日は、レアなブレインロットを手に入れようと、複数アカウントで複数の画面を立ち上げてをプレイし続けているという。

③金銭トラブルや詐欺被害
Xなどで調べると、「レア個体あり」「4,000円で売ります」「交換希望」などの投稿が多数見つかる。しかし、 SNSでの見知らぬ人とのやりとりはリスクを伴う 。ブレインロットを渡したのに金銭やブレインロットをもらえない、金銭を支払ったのにブレインロットをもらえないなどのトラブルはとても多い。

中学生以上では、PayPayなどを経由した詐欺も起きている。ゲーム内チャットやSNSなどでレアの販売などを持ちかけ、先払いで支払いをさせた後、渡さずに逃げてしまう詐欺だ。

ただし、公式ではユーザー間の金銭取引や売買を認めていないため、 被害に遭っても相談しづらく、泣き寝入りするしかない状態 となっているようだ。

トラブルを避けるために決めたい4つのルール

このようなさまざまなトラブルに対して、保護者や教員はどうすればいいのか。トラブルを避けるために、あらかじめ子供と以下のようなルールを決めるのがおすすめだ。

①ゲーム内での盗みは遊びだが、現実世界で盗んではいけない
小さな子供の場合、ゲームのルールと現実を混同していることがある。ゲーム内での盗みは遊びだが、現実世界で盗んだり、言葉でだまして お金やアイテムなどを奪ったりすることは立派な犯罪 であることをしっかりと伝えるべきだ。

②利用時間や早朝・深夜の利用についてルールを設ける
利用時間が長くなりすぎると心身に悪影響が出る。1日にプレイしてもいい時間の長さの目安を決めておこう。1日60分など、子供が納得できる時間の長さに決めるといいだろう。休日などは少し長く遊べるルールにするのもおすすめだ。

早朝や深夜のイベント参加は、小学生などのうちは禁止してはどうだろうか。周囲の友だちが参加していると不満が募るので、ほかの保護者や学校も巻き込んで、全員で参加しないルールにできるとトラブルになりづらくなる。参加させる場合も、睡眠不足にならないように早く寝るなどの工夫をするといいだろう。

③金銭のやりとり・個別取引はしない
金銭でのやりとり、個別取引はすべて禁止 にしよう。小学生などの場合、そもそもSNSなどでの知らない人とのやりとりは禁止しておきたい。

④トラブルは必ず親に相談すること
困ったことやトラブルにあったら、必ず親に相談してもらうようにしよう。子供の相談が理解できない場合は、アカウントを作って子供に教わりながら遊んでみると、理解しやすくなるはずだ。

⑤安全に遊ぶコツとは
小中学生のいる家庭では、家庭内ルールを工夫しているケースも多い。フレンドのみで遊ぶルールにしたり、フレンドのブレインロットは盗まないルールにするとトラブルになりづらくなるので、参考にしたい。

なお、プライベートサーバーで遊ぶようにすると、すべてのブレインロットが手に入り、盗まれることもない。月額200円程度の課金となるが、参考にしてほしい。

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高橋暁子

ITジャーナリスト。 LINE・Twitter・Facebook・InstagramをはじめとしたSNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。『若者はLINEに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』(講談社+α新書)、『スマホで受験に失敗する子どもたち』(星海社新書)ほか著作多数。書籍、雑誌、ウェブメディアなどの記事の執筆、監修、講演、セミナーなどを手がける。http://akiakatsuki.com/