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なぜ子供はRobloxに夢中なのか?イタリアンブレインロットのゲームを親子で体験して見えたこと
2026年1月29日 06:30
「トゥントゥントゥンサフール」「トララレロ・トラララ」。わが子が急に謎のカタカナを連呼し、困惑した保護者は、きっと筆者だけではないはずだ。これらは、生成AIが生み出したキャラクター「 イタリアンブレインロット 」に登場するブレインロットたちの名前である。
筆者には小5と小1の兄弟がいる。冬休みは「Roblox」で公開されているゲーム『 Steal a Brainrot(ブレインロットを盗む) 』の話題で持ちきりだった。どうやら小学校で大流行しているらしい。聞けば、Robloxをきっかけに友だち同士でトラブルになることもあるという。親としては放っておけず、頭を抱えた。
そこで筆者は 「Robloxとは何か」「ブレインロットを盗むとはどういうことか」 という疑問を抱えたまま、東京・中野で開催された親子ワークショップ「『Robloxを、子どもが大人に教えよう』〜親子で学ぶ!未来のITリテラシー&安全な遊び方〜」に参加した。結論から言うと、親が一度体験すると、ゲームと現実の線引きを親子で共有しやすくなる。今回の教室は、その入口になる内容だった。
Robloxは「ゲーム版のYouTube」、世界で約1億5000万人の大型コンテンツ
Robloxは、 ユーザーが作ったゲームやバーチャル空間で遊べるプラットフォーム 。スマホやタブレット、PCに加え、ゲーム機など幅広い端末で利用できる。Roblox社が公表した四半期決算資料では、平均のデイリーアクティブユーザー数が1億5000万人を超えたと報告している。またRoblox公式ブログによると、2025年9月には『Steal a Brainrot』の同時接続が2500万人を超えたという。
保護者目線で押さえたい点は3つある。これらを知っておくと、子供が夢中になる理由と、トラブルが起きやすい場面が見えやすくなる。
1つ目は、Robloxで提供している多くのゲームには「クリア」などの止めどきがなく、日々新たなコンテンツが更新され続ける点である。筆者はRobloxを知らない友人に説明するとき、「 ゲーム版のYouTube 」と表現している。
2つ目は、SNSの要素と経済活動が1つのサービスにまとまっている点である。フレンドとつながり、チャットでやり取りできる。作品を投稿して広める流れもある。さらに、 ゲーム内通貨を使った購入 など、お金にまつわる動きも日常的に起きる。
3つ目は、ゲームで遊ぶだけでなく「作る」こともできる点だ。Robloxには「 Roblox Studio 」という公式の開発ツールがあり、Roblox上で遊べる3Dゲームや仮想空間を無料で作成し、公開できる。
親が知らないRobloxを体験、『Steal a Brainrot』をプレイしてみた
今回の「親子で学ぶロブロックス教室」を主催した株式会社モンドリアンは、マインクラフト、Robloxなどのプラットフォームを活用し、法人・個人向けにゲーム・メタバースプロダクトを提供している。当日の講師は、同社 代表取締役の角田拓志氏が務めた。
参加者は7家族ほどで、未就学児から小学校高学年まで、約10名の子供たちが集まっていた。会場のWi-Fiを設定した直後、子供たちは周囲に向けて「 フレンドになろう 」と声をかけ合い、自然に輪を作っていく。そのスピード感に、Robloxと『Steal a Brainrot』がいま、どれほど子供たちの間で共通言語になっているのかを思い知らされた。
教室は「Robloxをやってみよう」「用語の解説」「Robloxを取り巻く問題について」という3コマで構成。まず、子供たちが先生となって保護者にRobloxの遊び方をレクチャーし、それから専門用語やRobloxについて親子で学ぶ流れである。
早速、親子で「Steal a Brainrot」をプレイした。ここでいう「盗む」は、現実の窃盗とは無関係で、ゲーム内のルールとして用意された行為である。プレイヤーはほかの基地に入り、ブレインロットを持ち帰って自分の基地に増やす。
参加にあたって筆者も事前に自分のアカウントを作っておいた。ワールドに入るやいなや、「ママ、盗まれちゃうよ!気を付けて」と息子が声を上げる。何のことやら分からないまま、筆者はおぼつかない操作で自分の基地に戻り、慌ててロックをかける。
そのとき、普段兄弟が騒いでいる「盗まれた!」という不穏な言葉の正体が腑に落ちた。これは現実の話ではなく、ゲーム内で基地に侵入され、ブレインロットを奪われることを指していたのである。
筆者は「いま起きているのはゲームの中の出来事だよ」と確認し、「落ち着いて教えてほしい」と息子をなだめた。すると、 “レア”なブレインロットを手に入れるために 子供たちが必死になっている理由も、少しずつ見えてきた。
子供が何に夢中なのか。ゲームの中で何が起きているのか。画面の外から見守っているだけでは、言葉の意味も行動の背景もつかみにくい。子供への声がけや、家庭でのルールづくりを進めるうえで、親が一度体験しておくことは大切だと実感した。
ワークショップでは、このあと「ゲーム内の盗む」と「現実の犯罪」を切り分ける流れへつながっていく。
3つのブレインロットの違いとは?
続いて、クイズを交えて親子で「イタリアンブレインロット」について学ぶことに。画面に次々とブレインロットが登場し、子供たちが大きな声で名前を叫ぶ。大人は完全に置いていかれていく状況のなか、角田氏は 3つの「ブレインロット」の違い について説明した。
角田氏がまず取り上げたのは、「イタリアンブレインロット」の語源にもなった「brain rot」だ。直訳すると「 脳が溶ける・腐る 」といった意味合いである。オックスフォード大学出版局は、この言葉を2024年の「今年の言葉」に選出し、注目を集めた。SNSやショート動画など、気軽に見られるオンラインコンテンツを過剰に消費した結果、精神的または知的な状態が低下していくと捉えられる状況を指す。
一方で、「イタリアンブレインロット」自体はネットミームである。生成AIが生み出した動物やモノのキャラクターが、意味のないようで耳に残るフレーズとセットでショート動画として拡散し、子供たちの間で共通言語になっていった。
「ブレインロット」という言葉の強さに、親は身構えやすい。ただ、それを「この動画やゲームを見ると脳が溶ける」と受け取り、ゲームそのものを悪いものだと決めつけるのは違う。角田氏は「本当に気を付けなきゃいけないのは、イタリアンブレインロットではなくて、本当のブレインロットの方」と話した。
角田氏が指す「本当のブレインロット」とは、SNSやショート動画、ゲームなどの消費が増えすぎて、考える力や集中力が落ち、生活のペースまで乱れてしまう状態である。言葉に振り回されるよりも、 子供の様子を見ながら、遊び方のバランスを整えること が要点になる。
気を付けたいPayPay送金詐欺、安全に遊ぶための3つの約束
後半は、Robloxを取り巻くトラブルの話に入った。具体例として挙がったのが、決済アプリ「PayPay」を使った金銭トラブルだ。ここまで手元の画面に夢中だった子供たちも、思わずスライドに目を向ける。
角田氏は、実際に『Steal a Brainrot』をプレイする子供たちの間で起きた事例として、レアな「イタリアンブレインロット」のキャラクターをあげると言われ、「PayPayで送金して」と持ちかけられる例を挙げた。
子供は「自分はPayPayをやっていないから大丈夫」と思いがちだが、決済アプリはPayPay以外にもある。さらに、 数字を送る感覚はゲーム内のやり取りと似ているため、境界線が曖昧になりやすい という。筆者宅では、基本的に「チャット」機能をOFFにしているが、ゲーム外でお金の話が出た時点で、必ず親に相談することを約束にしている。
また、角田氏が問題視するのは、「だまされる」ことだけではない。「だます側」になる子供が出ている点である。知識を悪用し、ゲーム内通貨「ロバックス(Robux)」をだまし取る側に回る子供もいるという。
ここで重要になるのは、ゲーム内の「盗む」と、現実の犯罪を切り分けることである。ゲームの中ではルールとして成立する。ただ、その感覚のまま現実で「だまして手に入れる」ことが当たり前になれば、話は別になる。角田氏は「胸を張れるゲームプレイをしよう」と訴え、教室のまとめとして「 安全に楽しむために覚えてほしい3つの約束 」を提示した。
1つ目は「 ゲーム外でのお金のやり取りは絶対にしない 」。PayPay送金や現金はもちろん、ロバックスも現実のお金に関わるものとして注意が必要だとした。2つ目は「 困ったらすぐ相談する 」。親や先生など、話しやすい相手にすぐ伝えることを勧めた。3つ目は「 時間を決めて遊ぶ 」。長時間プレイは避けて、親子で時間の目安を決めておくと安心だという。
今回の親子教室でいちばん良かったのは、息子が「(筆者が)一緒にプレイしてくれたのがうれしかった」と話し、以前よりゲームの話をしてくれるようになったことだ。親が内容を知ると、注意や禁止の前に会話が作りやすくなる。
米国時間で更新されるRobloxは、早朝にゲーム内イベントが開催されることもある。筆者宅ではスクリーンタイムを「20時半から翌8時まで」に設定しているため、「早起きしてイベントに参加したい」と相談されると戸惑う。筆者は生活リズムを優先し、当面は設定を変えない方針にした。そのうえで、参加したい理由を聞き、代わりに放課後や休日の遊び方を親子で相談することにした。
今回親子で一緒に体験したことで、頭ごなしに否定するのではなく、話し合ってルールを決める余地が生まれたように思う。 子供の世界に一歩入ってみることが、家庭の約束づくりの第一歩になる と改めて実感した。





































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