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教育実践・事例

AIで自由研究、YouTubeの見すぎ対策も Googleに聞く夏休みのデジタル活用と見守り

Googleが夏休みに向けて開催した「家庭でのデジタルセーフティに関する説明会」(撮影:編集部、以下同じく)

今年も夏休みがやってきた! 親子で楽しい予定に心を弾ませる一方、子供の ゲームや動画の長時間視聴が気になる この時期。遊びにも学びにもデジタルを使う場面が増える夏休みは、家庭のルールを見直す機会でもある。子供をどう見守ればよいか、悩む家庭も多いだろう。

グーグル合同会社は、渋谷オフィスで「家庭でのデジタルセーフティに関する説明会」を2026年7月1日に開催した。説明会では、 生成AI「Google Gemini」を使った自由研究のテーマ探し や、 YouTubeショートの視聴時間制限 おやすみ時間 年齢に応じたコンテンツ設定 などを紹介。「Google ファミリー リンク」を使い、端末やアプリを管理する方法も実演した。

本稿では、セミナーの内容を紹介するとともに、筆者が実際に子供のYouTube設定を見直してみた様子もお届けする。

自由研究にもお勧め、問いを広げるGeminiの活用法

グーグル合同会社 ヘッド オブ コンシューマー製品&AIマーケティング 福江麻衣氏

最初のパートでは、グーグル合同会社 ヘッド オブ コンシューマー製品&AIマーケティング 福江麻衣氏が、家庭でのGemini活用を紹介した。

Geminiの「 ガイド付き学習 」は、問いかけを重ねながら、自分で答えにたどり着く過程を支える機能だ。福江氏は、 読書感想文 を例に、登場人物の気持ちを掘り下げ、子供が感情を言葉にしていく使い方を紹介した。

Geminiの通常モードと「ガイド付き学習」の比較。答えをすぐ出さず、問いかけを通して考えを深めていく(出典:グーグル合同会社、以下同じく)

夏休みの自由研究では、 テーマ出し にも活用できる。ガイド付き学習モードで、「昆虫が好きな小学2年生が、楽しく取り組める自由研究のアイデアを20個考えて。必要な準備や工夫も表にして」などとGeminiに話しかけると、興味や学年に合った案が表示される。親がテーマを決めるのではなく、AIが提示した選択肢から、子供が「これをやってみたい」と思えるものを探す使い方がよさそうだ。

自由研究のテーマ出しに活用するイメージ

Geminiは、知りたいことを目で見て確かめる教材も作れる。説明会では、「 Canvas 」を使い、月の満ち欠けを学ぶシミュレーターを作る方法が紹介された。画面上で月の位置を動かすと、地球から見える月の形も変化。文章や図だけではつかみにくい仕組みを、子供が操作しながら確かめられる。

月の満ち欠けを学ぶシミュレーターの作成を「Canvas」に指示
「Canvas」が生成した「月の満ち欠けシミュレーター」。月の位置を動かすと、地球から見える月の形も変化

一方で、AIの答えがいつも正しいとは限らない。会場では、家族でAIの使い方を話し合うための「 AI ファミリー ガイド 」も紹介された。同ガイドでは、AIの回答を本や信頼できるWebサイト、大人や先生に確認することや、住所や電話番号などの個人情報を入力しないことを呼びかけている。

親子でAIの使い方を話し合うためのヒントをまとめた「AI ファミリー ガイド」

自身も2人の子供を育てる福江氏は、AIを何歳からどのように使わせるかは家庭によって異なると説明した。特に小中学生が使う場合は、子供だけに任せず、保護者が操作しながら一緒に話し合うことを勧めた。

YouTubeは動画の図書館、子供の興味を広げる学びと安全の守り方

グーグル合同会社 Head of MediaCo & Responsibility Partnership, Japan 早川ゆかり氏

同社 Head of MediaCo & Responsibility Partnership, Japan 早川ゆかり氏は、YouTubeの学習活用と安全機能を紹介した。YouTubeには、これまでに200億本以上の動画が投稿され、日本でも月間7,370万人以上が利用している。幼児教育から大人の学び直しまで幅広い動画がそろうことから、早川氏はYouTubeを「 動画の図書館 」と表現。

また、日本でYouTubeを利用している親の70%が「YouTube(またはYouTube kids)は子供たちの学習や娯楽のために質の高いコンテンツを提供している」と回答した調査結果についても紹介した。

日本でYouTubeを利用している親の70%が「YouTube(またはYouTube Kids)は子供たちの学習や娯楽のために質の高いコンテンツを提供している」と回答(Oxford Economics、日本、2024年)
グーグル合同会社 Google Play パートナーシップ アプリ部門 日本統括部長 エヴァン小島氏

その幅広さを家庭での学びに生かす例として、同社 Google Play パートナーシップ アプリ部門 日本統括部長のエヴァン小島氏は、自身の子供の中学受験を支えた経験をもとに、具体的な使い方を挙げた。

例えば、 文学作品のあらすじを短い動画でつかむ 図形問題の解き方を映像で確認する 好きなスポーツ選手の英語動画を字幕付きで見る といった方法だ。子供の「好き」を入り口に、学校の学びや新たな興味へつなげられる点は、動画ならではの魅力だろう。

学習に役立つYouTubeチャンネルや、YouTubeの字幕機能とGeminiを組み合わせた英語の学習法を紹介

一方、YouTubeを安全に使うには、子供の年齢に合った利用環境を選ぶ必要がある。

Googleは、未就学児から13歳未満を対象とした YouTube Kids 、13歳未満が通常のYouTubeを利用するための 管理対象アカウント 、13歳から17歳までの 青少年向けアカウント を用意している。コメントの閲覧・投稿、ライブ配信、動画の投稿などの機能は、アカウントの種類によって異なる。

YouTube 子供用アカウントの比較(2026年7月1日発表時点)

管理対象の子供用アカウントでは、13歳未満の子供が視聴できるコンテンツの範囲を保護者が設定できるほか、検索機能のオフ、検索・再生履歴の管理、特定チャンネルのブロックなどが可能だ。自動再生は初期設定でオフになっており、動画が次々と再生され続けるのを防げる。

「子供用アカウント」の作成とペアレンタルコントロールの設定手順

夏休みに特に確認したいのが、視聴時間に関する設定だ。休憩やおやすみ時間の通知に加え、YouTube ショートは1日あたりの視聴時間を設定できる。 「0分」にするとショートフィードを非表示にできる一方、長距離移動の日などは時間を増やすことも可能 だ。禁止するか、自由に見せるかの二択ではなく、家庭の予定に合わせて調整できる。

YouTube ショートフィードの視聴時間を制限する方法
動画の視聴中に「休憩」を促すリマインダーを表示させることも可能

ファミリー リンクで、端末の使い方を家庭に合わせる

子供がデジタル機器で使うのは、YouTubeだけではない。ゲームやアプリ、Web検索なども含め、端末全体の使い方をどう整えるか。そこで紹介されたのが Google ファミリー リンク だ。

子供の端末の利用時間やアプリ、位置情報などを保護者のスマートフォンから管理できる「Google ファミリー リンク」

Google ファミリー リンクは、子供が使うAndroid端末やChromeOS端末を、保護者のスマートフォンから管理できる無料ツール。保護者側は、Android端末だけでなくiPhoneからも利用できる。

主な機能は 「利用時間」「管理」「位置情報」 の3つ。「利用時間」では、1日あたりの端末利用時間や休息時間を曜日ごとに設定できるほか、アプリごとに上限を決められる。例えば、ゲームや動画には時間制限を設け、学習用アプリは使えるようにするといった調整が可能だ。

デモ端末を使って、実際に「Google ファミリー リンク」を使った管理を体験

「管理」では、Google Playでアプリをインストールしたり購入したりする際に、保護者の承認を必要とする設定ができる。特定のアプリをブロックできるほか、Google Chromeの閲覧範囲や、Google検索のセーフサーチも設定可能だ。検索結果に露骨な表現を含む画像が表示された場合に備え、画像をぼかす機能も用意されている。

セーフサーチの「ぼかし」設定では、露骨な表現を含む画像をぼかして表示できる

「位置情報」では、子供の端末の現在地を確認できる。自宅や学校、塾などを登録し、到着または出発した際に通知を受け取ることも可能だ。子供が一人で行動する機会が増えた家庭では、移動を見守る手段の1つになる。

自宅や学校、塾を登録して、子供の移動を遠隔で見守ることも可能

制限をかけるだけでは守れない、親子でルールを考える

後半には、子供のデジタル利用と家庭のルールをテーマにしたパネルディスカッションも行われた。ここでは早川氏に加え、YouTubeチャンネル「GENKI LABO」を運営するサイエンスアーティストの市岡元気氏、LM虎ノ門南法律事務所の弁護士・上沼紫野氏、Google DeepMind プリンシパル サイエンティスト 全 炳河(ぜん へいが)氏が登壇し、それぞれの家庭でのルールや試行錯誤について意見を交わした。

写真左から、グーグル合同会社 Google DeepMind プリンシパル サイエンティスト 全 炳河(ぜん へいが)氏、LM虎ノ門南法律事務所の弁護士・上沼紫野氏、YouTubeチャンネル「GENKI LABO」/サイエンスアーティスト 市岡元気氏、グーグル合同会社 Head of MediaCo & Responsibility Partnership, Japan 早川ゆかり氏

中学2年生と小学6年生の子供を持つ市岡氏は、自身の家庭でも子供の長時間視聴に悩み、端末の利用制限やWi-Fiの停止など、さまざまな対策を試してきたと明かした。

YouTubeチャンネル「GENKI LABO」を運営するサイエンスアーティストの市岡元気氏

一定時間開かないタイマー式のロックボックスに端末を入れる方法も取り入れているという。ただ、こうした制限だけで解決するのは難しい。友達とのやりとりなどにも配慮しながら、子供と話し合って使い方を決める必要があると語った。

また、科学動画を制作するクリエイターの立場から、市岡氏は、 視聴時間を管理・制限するだけでなく、動画が子供の好奇心を広げる 面にも目を向けたいと話した。自身も、アニメやゲームを入り口に科学への興味を引き出す動画を制作している。例えば、ゲームに登場する金属のスライムを実際に作って溶かし、金属が溶ける温度を学ぶ企画などだ。YouTubeには、子供の「好き」を思いがけない学びへつなげる力もある。

上沼氏は、子供からの相談では「親に言ったら怒られる」と感じ、トラブルを隠してしまうケースが少なくないと説明した。大切なのは、 困ったときに相談できる関係 を日頃からつくっておくことだという。

筆者もYouTubeの子供用アカウント・設定を見直してみた

筆者の家庭では、小学6年生と小学2年生の兄弟が、同じiPadでYouTubeを見ることが多い。YouTube Kidsのプロフィールは以前から作っていたが、今回確認したところ、実際には2人とも筆者のアカウントで視聴することが多かった。子供用の環境を用意したつもりでも、使われていなければ、年齢に応じた機能は生かされない。

そこで、兄弟それぞれの子供用アカウントを改めて設定した。正直なところ、子供たちが毎回きちんと自分のアカウントを選んでくれるか不安もあった。しかし今のところ、2人とも動画を見る前に自分のアカウントへ切り替える習慣がすんなりと定着しており、ほっとしている。これにより、視聴できるコンテンツの範囲やYouTube ショートの視聴時間、おやすみ時間も、それぞれの年齢や生活に合わせて設定できるようになった。

同じ端末で視聴するときも、自分のアカウントを選択して観るようになった

何よりよかったのは、「ショート動画を何分にするか」「何時までなら見てもいいか」を、子供と具体的に話し合えるようになったことだ。設定は後から変更できるので、親が一方的に制限するのではなく、子供の希望を聞きながら調整しやすい。

子供をデジタルから遠ざけるのではなく、年齢に応じた設定を取り入れ、困ったときには相談できる関係を築く。Googleが示した「デジタルの中で守る」という考え方は、夏休みを前に家庭のルールを見直す際のヒントになりそうだ。

本多 恵

フリーライター/編集者。ゲーム誌・Web媒体、育児系メディアでの執筆を経て、現在は教育ICT分野を中心に取材・執筆。学校現場のICT活用や教育DX、生成AI、特別支援分野でのICT活用を追う。ゲームや遊びを学びにつなげるエデュテインメントにも関心を持つ。小学生2人を育てる母として、保護者の視点を大切にし、AI時代の学びの今を現場の空気とともに伝えている。