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生成AIの教育活用を調査―9割が関心も、導入は4割にとどまる 教育AI活用協会

一般社団法人教育AI活用協会が「生成AIの教育活用に関する調査」の実施結果を2025年5月8日に発表

一般社団法人教育AI活用協会は、生成AIの教育活用に関する調査を2025年3月5日から31日に実施し、調査結果を2025年5月8日に発表した。

同調査は、全国の教育委員会・教育センターと学校(小・中・高)を対象に、生成AIの活用状況や課題、今後の展望についてアンケート形式で実施。288団体(教育委員会・教育センター164団体、学校124団体)の回答が寄せられている。

【調査概要】
調査名称:文部科学省「生成AIガイドライン(略称)」発表後の生成AIの教育活用に関する調査
実施期間:2025年3月5日から3月31日
調査対象:全国の教育委員会・教育センターおよび学校(小・中・高)
有効回答数:288団体(教育委員会・教育センター:164団体、学校:124団体)
調査方法:インターネット、FAX
調査主体:一般社団法人教育AI活用協会

調査結果によると、生成AIの教育活用について「とても関心がある」「ある程度関心がある」の合計で89.9%が「関心がある」と回答している。自由回答では、「活用事例を教えてほしい」「生徒が安全に使用できるAIを紹介してほしい」「教育現場に与える影響が未知数」といったさまざまな声が寄せられた。

生成AIのガイドラインや活用方法を聞いたところ、50.7%が基本的な理解があると回答した。調査の実施時期は、「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」の公表後だったが、理解度は半数を超えている。

回答者の半数は、生成AIのガイドラインや活用方法を把握

活用実証を行う予定についての設問では、「すでに実施が決定している」は16.3%、「実施を検討している」は25.0%で、41.3%が活用実証について具体的に進行していることが判明した。

2025年度の活用実証は「実施決定」と「実施検討」で4割

「すでに実施が決定している」「実施を検討している」の回答者に利用予定の生成AIを聞いたところ、「すでに決定している」が39.5%を占めた。そのうちの7割は、自由回答で「ChatGPTを活用する」と回答。ほかには、BingやGeminiの回答が多く、スクールAIやスタディポケット、tomoLinksといった教育特化型のAIサービスを挙げる回答もあった。

実施決定・実施検討と回答した7割が「ChatGPT」を選択

生成AIの実証や導入に利用できる補助金や制度に関する設問では、対象となる教育委員会や教育センターのうち、「利用予定がある」と回答したのは23.3%にとどまり、8割近くが「利用予定がない」と回答した。同協会は、補助金制度への理解不足や手続きの複雑さがハードルにつながっていると分析している。

教育委員会と教育センターにおける補助金や制度の活用は、2割強にとどまる

一般社団法人教育AI活用協会 代表理事の佐藤雄太氏は、生成AI活用による教育効果への期待感と、自治体として動き出さなければならないという焦燥感があると調査結果を考察。「生成AIガイドライン(略称)に関する研修」「生成AIの教育活用に関する研修」「生成AIアプリの活用・導入支援」を強化し、教育現場での生成AI活用を推進する方針だ。