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小中学生1,200人に生成AIの利用実態を調査、55.7%が「学習方法が変わる」と回答
2025年9月19日 06:30
公益財団法人博報堂教育財団の調査研究機関 こども研究所は、全国の小学4年生~中学3年生1,200人を対象に実施した、生成AIの利用実態に関する調査結果を2025年9月18日に発表した。
同調査によると、生成AIの認知率は79.3%、使用経験率は39.3%で、約6割の子供が今後も生成AIを使いたいと回答。中学生の方が認知率や使用経験が高い傾向があるが、使用意向率は小学生の方がわずかに高かった。
生成AIを知っている子供たちのうち、68.0%が「好きなことや興味のあることに詳しくなりそう」と回答し、創作活動や探究学習においてポジティブな影響を期待していることがわかった。「宿題が楽になりそう」と答えた割合は54.8%にとどまり、宿題の手助けよりも自分の興味関心を深めたり、創作活動を拡張したりするツールと認識している様子がうかがえる。
一方で、「自分で考えなくなりそう」という回答が4割ほど寄せられており、新しい技術に対する期待と不安が混在していることも明らかになった。
生成AIに関するイメージについて確認する設問では、「楽しい」が80.1%、「味方」が73.2%となっている。ただし、「優しい」「安心な」「信用できる」といった項目は半数を下回った。
同研究所は、「優しい⇔こわい」「安心な⇔心配な」「信用できる⇔信用できない」では、4割弱が「どちらともいえない/わからない」と回答していることから、生成AIの安全性や信頼性について判断が付かない状態とも推察している。
生成AIによって学習方法が変わるかを聞いたところ、55.7%が「変わると思う」と回答した。小学生と中学生で大きな差はないが、自由記述では「答えがすぐ出て時短になる」「辞書/塾/学校がいらなくなる」「先生がいなくてもAIに聞けば教えてもらえるけど、それはさみしい」といった声が挙がっている。
一方で、「結局理解しなければいけないのは自分」「(AIが正しいのか)判断するためには自分が勉強しないとわからない」といった、“最終的には自分次第”といった声も一定数存在した。
生成AIの使用目的に関する設問では、「わからないことを調べる」が70.8%で最多。中学生は小学生よりも「文章を作ってもらう」「アイデアを出してもらう」といった高度な活用が目立つ。
また、女子は男子よりも「会話や雑談をする」「悩み事や将来の相談をする」といったトーク・チャット目的、「絵やイラストを描く」など、創作目的での使用が高いことが判明した。
生成AIを使うときに気を付けることを挙げて、知っている項目を聞いたところ、「名前や住所を入力しないようにする」(35.8%)が最多となった。生成AIの認知者においても、すべての項目が半数に届かず、認識不足のまま利用が先行している状況となっている。
「生成AIを今後(も)使う」と回答した人に、夏休みの宿題に生成AIを使ったか(使う予定があるか)を聞いたところ、「使った」「使う予定」と回答したのは合わせて3割となっている。中学生は、「使った」「使う予定」の回答が小学生と比較して13ポイント高く、36.1%となった。
同研究所では、生成AIについて「すぐ/早く答えが出る」「時短できる」という意見のほか、「頼りすぎてしまいそう」「自分で考えなくなりそう」といった慎重な意見もあったことから、子供たちに多様な考えがあることを指摘。また、子供たちが生成AIを「楽しい」「味方」とポジティブな存在として捉えながらも、安全性や信頼性を探っている段階であるとまとめている。
調査手法:インターネット調査
調査エリア:全国
調査対象者:小学4年生~中学3年生(保護者の承諾を得て調査)
サンプル数:有効回答数1,200人(男子100人・女子100人×6学年)
調査実施日:2025年8月8日(金)
企画・分析:公益財団法人 博報堂教育財団 こども研究所
実施・集計:QO株式会社
調査パネル:株式会社マクロミル