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画像生成AIってどんなもの?利用上の注意点とは
2025年3月11日 06:30
対話型で文章を出力する生成AIの例として、ChatGPTを前々回の記事で紹介しましたが、生成AIは、文章だけでなく画像を生成することもできます。画像をつくれることを知っていても、実際に試したことがないという方も多いのではないでしょうか。今回は画像生成AIがどのようなもので、どのようなことに気を付けたらいいのかを紹介します。
言葉の指示で簡単に画像ができあがる
この記事では無料プランもあるAdobe Expressというウェブブラウザから使えるアプリを使用した例を紹介します。Adobe Expressは、画像や動画などを手軽に編集できるアプリで、機能のひとつとして、生成AIで画像を作ることができます。まずは文章の指示(プロンプト)で絵を生成してみましょう。
Adobe Expressの生成AIによる画像作成画面には、プロンプトを入力するのに加えて、生成する画像のタイプやスタイルを細かく指定する選択肢があります。スタイルまで全てを文章で指示するのは知識や慣れが必要なので、このような選択肢があると便利です。
例えば、プロンプトを「居心地のよいカフェで、パンダがパソコンに向かって仕事をしている」、コンテンツタイプを「写真」と指定すると次の図のような画像が生成されました。
写真風ではなく今度はイラスト風にしてみます。コンテンツタイプを「グラフィック」、スタイルを「ミニマリズム、ベクター調、シンプル」と指定して、プロンプトは「芝生の公園で、パンダがおいしそうにドーナッツを食べている」として生成したのが次の図です。
ほかにも、自分で撮った写真や描いた絵の一部を改変したり、文字をタイプして装飾したりするなど、いろいろな生成機能があります。
よく見ると論理的な間違いがあることも
生成される画像は、一見良さそうでも「え?」と驚くような要素が含まれていることが多いのが生成AIの特徴です。例えば、人の指の数が違うとか、身体の一部が背景と一体化しているとか、遠近感の視点が複数混ざっているとか、物の形が一部崩れている、雑踏の人が人の形をしていないといったケースがよくあります。
私たちが絵を描くときには、仮に絵が苦手でも、論理的に理解している身体のパーツの数をわざわざ変えたりはしないでしょう。でも、生成AIは論理的に「人間だから手は2本で指は5本にしよう」と理解して絵として表現しているわけではありません。だから、全体的に完成度が高そうに見える絵の中に、ぎょっとするような論理的な間違いが含まれやすいのです。
ですから、生成した画像を使うときは、矛盾点がないか点検することをおすすめします。例えば、動物の紹介に生成AI画像を使うといったことは、間違いが含まれる可能性が高いので避けるべきです。また、画像検索とは異なるので、「正しい形を調べるために生成してみる」という使い方はできません。Adobe Expressの生成AI機能の場合、AIが生成した画像は商用利用可能となっていますが、用途がふさわしいかどうかはよく考えましょう。
また、著名なキャラクターを生成して使用するとか、他人の写真や作品を無断で改変するために生成AIを使うなど、誰かの著作権を侵害する使い方はしてはいけません。これは生成AIに限らず気を付けるべきことで、改めて確認しておきましょう。
著作物の権利を考えるきっかけに
なお、Adobe Expressの生成AIはAdobe Fireflyというアドビ独自のもので、AIモデルの学習データには、権利関係が問題ない画像のみが使用されています。
さまざまな画像生成AIツールがありますが、AIの学習データが明らかにされていない場合もあり、インターネット上に公開している自身の作品が無断で学習データに使われていることを問題視しているクリエイターもいます。その点、Adobe Expressの場合はクリエイターの権利が守られているという安心感をもって使うことができます。
なお、教育機関向けのAdobe Expressは小学生から利用できますが、一般向けのAdobe Expressの場合、利用アカウントを作れるのは13歳以上です。生成AIツールは、利用規約やプライバシーに関するポリシーを確認した上で、家庭では安心なツールを選んで保護者が試すところから始めてください。子供にも見せながら、著作物の権利について一緒に考える機会にするのも良いと思います。