【連載】5分で読める 親子のためのネットの常識

子供のウェブ検索、安全に使うにはどうすればいい?

スマホは使うけどネットやデジタルの知識には自信がない。でも、今の子供たちはネットやパソコンを使うのが当たり前だから、もう少し分かるようになりたい。そんな保護者の方に向けて、AI時代に知っておきたいネットの常識や役立つ情報を紹介します。

前回までに、インターネットとウェブがどのようなもので、ウェブブラウザーや検索サイトがどのような役割をしているのかを紹介してきました。今回は、子供がウェブ検索をするときの安全対策についてです。

検索サイトの「セーフサーチ」設定をチェック

ウェブ上のコンテンツを子供自身が検索して見て回る際には、一定の安全性を確保しておくことが必要です。ウェブ上には良質なコンテンツが大量にある一方で、残酷な画像や暴力的なコンテンツ、性的なコンテンツなども存在するので、子供が意図せずに不快なコンテンツに遭遇してショックを受けてしまう可能性があります。

利用者が不快なコンテンツに遭遇しないようにする対策として、検索サイトにはフィルターがかけられるようになっています。検索サイトの設定にある「セーフサーチ」という項目で、どの程度の情報を検索結果から除外するかを設定できるのです。

下の図はGoogleの設定箇所になりますが、BingとYahoo! JAPANでも、同様の設定メニューからセーフサーチの設定を切り替えることができます。通常軽めのフィルターがかかっていますから、子供が使うときは一番強い設定にしておきましょう。

Googleで「セーフサーチ」の設定をする手順

家庭の現実としては、ひとつのPCやタブレットをユーザーIDも切り替えずに交代で使ったり、さっと親のスマートフォンを触らせてしまったりすることもあるかもしれません。そんなときは、子供に渡す前に使っている検索サイトのセーフサーチの設定を一番高く設定しておきましょう。一番簡易的な方法ですが、一定の防御にはなります。

なお、検索サイトのセーフサーチの設定は、検索サイトの検索結果にかからなくなるだけで、ウェブブラウザーで表示するウェブページの内容自体を選別してブロックするわけではありません。例えば、子供がどこかで聞いてきたURLをウェブブラウザーのアドレスバーに直接入力したり、ウェブページや文書に設定されたURLへのリンクをクリックしたり、URLが埋め込まれている二次元バーコードをスキャンしたりすれば、どのようなウェブページでも表示することができます。

おすすめは、子供用のアカウントをファミリー設定で管理

本来デジタル機器を使うときは、子供用の利用アカウントを別に作成して、アカウントを切り替えてから使用させる方が、使用上の様々な事故を防ぐことができます。事故というのは、子供が適当にいじっているうちに、ウェブ上のショックを受けるような画像や動画に行き着いてしまうとか、気づかないままお金を払う手続きをしてしまうとか、保護者の大切なデータを消してしまうとか、子供が意図せずに起きてしまうトラブルのことです。

このような事故やトラブルを防ぐために、Googleアカウント、Microsoftアカウント、Apple IDでは、保護者が子供のアカウントを管理するファミリー向けの設定ができるようになっています。13歳未満は自分でアカウントを作ることはできないので、保護者が子供用のアカウントを作成して責任を持って設定内容を管理します。

ファミリー向けの設定では、ウェブブラウザーに表示するかどうかというレベルでフィルターをかけたり、広告の表示制限をしたり、機器の利用時間を設定したり、さまざまな利用制限をかけることができます。また、未成年のアカウントで利用しているときは自動的に安全性が高まるようになっている場合もあります。

各社のアカウントによって、設定でコントロールできる内容や管理できる範囲などが違いますので、確認してみてください。

Google:ファミリーリンク

Google:ファミリーリンク

Microsoft:ファミリーセーフティ

Microsoft:ファミリーセーフティ

Apple:ファミリー共有スクリーンタイムペアレンタルコントロール

Apple:スクリーンタイム

設定で守れる範囲には限界がある

検索サイトのセーフサーチ設定とファミリー向けの子供用アカウントの説明をしましたが、子供が小さいうちは、意図せぬ事故を避けるために、機器を渡して目を離す場合は、できる限り安全な設定にしておくことをおすすめします。

ただし、守れる範囲は限られていますから、それで完全に子供を守れるというよりも、ある程度の予防ができるものだと思っておくくらいが良いでしょう。保護者としては、それらの設定でどの程度の制限ができるのか、限界をわかったうえで、見守ることも重要です。

なお、ここでは基本的に、子供が意図せずに操作して起きる偶発的な事故やトラブルを避けることを前提にしました。手指の操作精度や文字の識別能力、判断力が十分に育っていない子供を「守る」という発想です。

一方で、ある程度の年齢になった子供が自分の意志で興味から不適切な情報にたどり着くこともよくあります。これを「防止」したり「阻止」したりする目的で制限をかけることと、幼い頃に事故から「守る」ために制限をかけることは区別して対応した方が良いでしょう。

保護者が子供の利用環境に制限をかける際は、一方的に押しつけるのではなく、子供の意志やプライバシーを尊重することも大切です。子供の発達段階や親子のコミュニケーションの具合に応じて柔軟に制限の内容を切り替えていく必要があります。次回は、何を目安にどのように対応していくのが良いのかを考えていきます。

狩野さやか

教育ICTライターとして、学校や家庭のICT活用について各種媒体で多くの記事を執筆している。プログラミング教育を含む情報教育や特別支援の領域に詳しく、デジタルリテラシーに関する講座等も行う。株式会社Studio947の「知りたい!プログラミングツール図鑑」、「ICT toolbox」の運営責任者。著書に「デジタル世界の歩き方」(ほるぷ出版)他。