【連載】5分で読める 親子のためのネットの常識

「どこで見た?」を親子の合い言葉に〜習慣にしたい発信者の確認

スマホは使うけどネットやデジタルの知識には自信がない。でも、今の子供たちはネットやパソコンを使うのが当たり前だから、もう少し分かるようになりたい。そんな保護者の方に向けて、AI時代に知っておきたいネットの常識や役立つ情報を紹介します。

前回は、ウェブページを見るときに「どこが発信しているウェブサイトなのかを必ずチェックする」ということを伝えました。これは、実はウェブサイトに限らずSNSでも通用する情報との付き合い方の基本です。そして、テクニックとして覚えればいいというよりも、当たり前の「習慣」にすることが大切です。親子でどんなやりとりができるでしょうか。

ステップ1:子供に検索を依頼!「どこで見た?」と確認

習慣は小さな経験の積み重ねから。何か日常で必要な調べ事をなるべく子供に頼むことから始めるのが簡単です。

例えば家族で水族館に出かけるときに、「葛西臨海水族園は何時に開いているか調べてくれる?」と子供に頼んでみます。子供が検索して「9時半からだって」という答えが返ってきたら「それどこで見た?」と聞いてみてください。

子供が「葛西水族園のウェブサイトで見た!」というように、どこのウェブサイトなのか答えられたらOKです。子供がよくわからない様子だったら、画面をのぞきこんで、「あぁここは◯◯っていうウェブサイトだね。△△っていうところが作っているね」と、一緒に確認しましょう。

こうして、まずはウェブサイトの発信者を確認することを、検索を頼むたびにしつこいくらい毎回繰り返すことが大切な一歩になります。

子供に検索を頼むとちょうど良い練習の機会になる

ステップ2:情報源としてふさわしいか考える

その上で、子供が見つけたウェブサイトが今回の情報源としてふさわしいかどうか、ひと言コメントを付け加えてみてください。子供が選んだウェブサイトによっては、再度検索してもらいます。例えば次のような言い方ができるでしょう。

「葛西臨海水族園のウェブサイトの情報なら安心。ありがとう!」
「レジャー情報のウェブサイトだと、情報が古かったり間違っていたりするかもしれないから、葛西臨海水族園のウェブサイトで確かめてみてくれる?」

こうして大人の判断の仕方を繰り返し聞いているうちに、子供自身も「この情報源でいいのかな?」と一瞬立ち止まって考える習慣が身に付き、いずれ自分なりの判断基準を持てるようになります。

なお情報を選ぶ基準は、正解か不正解かという絶対的なものではなく、調べる目的に応じて相対的に変わるものです。少し面倒に思うかもしれませんが、その都度、「◯◯だから△△のウェブサイトで情報を見る」という判断理由を口にしてみてください。

「Googleで見た!」はNG。発信者から情報を得る習慣を

もしかすると、子供が「Googleで見た!」と答えることがあるかもしれません。連載の第6回で紹介した通り、Google検索はユーザーが情報を最短距離で見つけられるように、いろいろな方法で検索結果画面に情報を掲載することがあるからです。

そんなときは、「Google検索の画面ではなくて、情報を発信している水族館のウェブサイトで情報を確かめよう」と伝えて、一緒にチェックしてください。情報収集を検索画面で終わらせてはいけないのが原則です。

特に施設などの場合、検索結果ページに「ビジネス プロフィール パネル」という情報が表示されることがありますが、ここは、施設を運営する事業者自身が責任を持って出している情報が表示されるとは限りません。発信者が確実な水族館のウェブサイトで確認するようにしましょう。

Googleで「葛西臨海水族園」と検索した結果例。右側に表示されているのが「ビジネスプロフィールパネル」

「どこで見たの?」はSNSを始めるときも適用できる原則

「どこで見たの?」という原則は、ウェブ検索以外でも非常に役立ちます。小さなころから「どこで見たの?」と言い続けていると発信者を確認することが習慣となるので、SNSを始める年齢になったときに、SNS上の情報に対しても同じルールを適用できるようになります。

例えばSNS上で見かけた投稿に対して、反射的にシェア(リポスト)したりリアクションやコメントを付けたりする前に、発信者のプロフィールやそのほかの投稿内容をチェックするのが基本になるほか、シェアされて巡ってきた情報なら、元の投稿者をたどる習慣も付きます。

そもそもリアルな対人関係でも、「〜らしいよ」という出所のはっきりしない話を信用してまた誰かに伝えたり(シェア)、一方的に悪い印象を持ったり(断定的なコメント)しがちではないでしょうか? 「どこで見たの(聞いたの)?」と確認することは、ネット上に限らず、私たちが情報に接するときに共通して気を付けなければいけないことです。お子さんともぜひ話し合ってみてください。

狩野さやか

教育ICTライターとして、学校や家庭のICT活用について各種媒体で多くの記事を執筆している。プログラミング教育を含む情報教育や特別支援の領域に詳しく、デジタルリテラシーに関する講座等も行う。株式会社Studio947の「知りたい!プログラミングツール図鑑」、「ICT toolbox」の運営責任者。著書に「デジタル世界の歩き方」(ほるぷ出版)他。