【連載】5分で読める 親子のためのネットの常識
子供のネット利用、成長段階に合わせた3つのステップ
2024年11月19日 08:30
前回の記事で、小さな子供がウェブ検索をするときの安全対策を紹介しました。今回は、子供が自分の意志でさまざまな情報にアクセスすることを想定し、保護者としてのスタンスを考えてみます。子供の個性や保護者との関係性によって適切な時期が異なるため、年齢で区切るのは難しいですが、子供の様子を見ながら3段階ぐらいに分けて捉えることをおすすめします。
ステップ1:子供を守る&機器を子供の誤操作から守る
1つ目の段階は、保護者が完全に管理するフェーズです。幼児がタブレットで遊んだり、デジタルコンテンツを楽しんだり、学んだり、創作したりする際には、思いがけない操作をしないように、利用アプリを制限するのが原則です。
幼児期の子供に、大人が使う設定のままスマートフォンやタブレットを渡すのはおすすめできません。子供が意図せずショックを受けるような情報に遭遇したり、大人が扱うデータを子供が誤操作で削除したり、流出させてしまったりする「事故」を避けるように対策しましょう。
子供向けのアカウントとファミリー設定については前回の記事で紹介したので、参考にしてください。子供用のアカウントが設定できない状況で使わせる場合は、保護者が目を離さないのが一番です。
ステップ2:経験を積む時期は子供とたくさん意見交換を
2つ目の段階は、ある程度の制限やサポートの元で、子供が自分で情報を検索する力を付けるフェーズです。小学生になり、文字情報に十分慣れて「ウェブ上の情報を自分で調べたい」という気持ちや判断力が付いてきたら、ウェブ検索も無理なくできます。
親子で一緒に検索を実行し、ウェブページの見方や情報の選び方などを練習しながら、子供の経験値や視点を育んでいきましょう。なお、ウェブ上の情報の見方や選び方については次回以降に取り上げる予定です。
最初のうちは、「Yahoo!きっず」のような、子供向けと判断したコンテンツを選別している検索サイトを使うルールにして、一定の安全なエリアで検索することから始めてもいいでしょう。ただし、「『Yahoo!きっず』じゃ物足りない!」と子供が感じるタイミングが来るものなので、その場合はGoogleなどの通常の検索サイトに移行すると良いでしょう。
また、保護者が子供用アカウントに設定できるウェブ閲覧のフィルターなどで制限をする方法もあります。ただし、フィルターが厳しすぎて、情報を調べるのに不便なレベルになってしまうこともあります。子供の知識欲を不便さが邪魔をしない程度に、保護者の判断で随時フィルターの設定を見直しましょう。
ほかにも、アプリの利用制限や使用時間のルールなどは、子供の発達段階に応じて親子で相談した上で、柔軟に変更することも大切です。一方的に制限するだけでは、子供は抜け道を探し始めるだけなので、保護者が考える「子供のために安全を確保したい」という目的から外れてしまいます。
ステップ3:子供が自分で判断できるようになるのがゴール
3つ目の段階は、子供が自立して使うフェーズです。閲覧制限を解除するか、最小に設定し、子供を信用して利用を任せます。2段階目の後半で徐々に制限を減らしているうちに、自然と3段階目に移行するでしょう。この段階でも、いきなり手放すのではなく、情報の信頼性などについて、親子で日常的に話題にすることが大切です。
また、「会員登録禁止」とか「お金を払う手続き禁止」など、シンプルなルールを決めて、会員制や有料のサービスを使いたときは保護者が手続きをするという責任範囲を明確にしておきます。その上で、「何か困ったことがあれば必ず助けるから相談して」ということだけはしっかり伝えておきましょう。
なお、検索サイトのセーフサーチ設定は、前回の記事で紹介していますが、一番強い設定で不便になることはないため、設定を変更する必要はありません。
子供のプライバシーや権利も大切
最終的に、子供が自分の力で適切に情報を選び、自分のデータを安全に管理できるようになることが目標です。
保護者だからといって、何をしてもいいということはなく、子供のプライバシーや権利も尊重しなければいけません。親子の信頼関係のためにも、親が子供の情報をどこまで管理しているのかを伝えておくことも大切です。例えば「Googleファミリーリンク」では、保護者による情報管理とGoogleが取得する情報を提示する「ファミリーリンク プライバシーガイド(18歳未満の子供向け)」というページを用意しています。子供と話をするときの参考にしてください。