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tomoLinks、国際標準規格LTIに対応したAI分析機能と学習コンテンツとの連携を開始

コニカミノルタジャパン株式会社の出展ブース

2024年7月25日と26日に第9回関西教育ICT展が大阪南港ATCホールで開催された。コニカミノルタジャパン株式会社の展示ブースから学習eポータル「tomoLinks」のAI分析機能と、LTIという国際標準規格に対応した学習コンテンツとの連携について紹介する。

学習eポータルで採用された国際標準規格「LTI」

GIGAスクール構想で整備された1人1台端末で、子供たちはさまざまなデジタル学習ツールを利用できるようになった。しかし、子供たちが各ツールにアクセスする方法を管理するのは煩雑だ。ツールやサービスごとに異なるIDやパスワードなどを個別に入力するのも非常に手間がかかる。そういった現状を踏まえ、学習eポータルが「ハブ」のような役割をすることが期待されている。

文部科学省が開発したCBT(Computer Based Testing)システムであるMEXCBTを利用するには、データ閲覧などに学習eポータルが必要で、各企業や団体が要件に合った学習eポータルを開発・公開してきた。tomoLinksもそのひとつである。

デジタル学習環境で共通に守るべき規格やルールを定めたものが学習eポータル標準モデル(出典:一般社団法人ICT CONNECT 21)
学習eポータルは、学習者に寄り添ってデジタル教科書・教材を案内し、学びをサポートしてくれるコンシェルジュのような存在(出典:一般社団法人ICT CONNECT 21)

学習eポータルがさまざまな外部ツールと連携する共通ルールには、「LTI(Learning Tools Interoperability)」という国際標準規格が採用されていて、MEXCBTと学習eポータルはLTIの規格で連携している。同様に、もしデジタルドリルなどの学習コンテンツがLTIに対応していれば、どの学習eポータルにおいてもスムーズかつシームレスに連携できるようになる。なお、LTIは、教育技術のエコシステムの構築を目指す国際的なコミュニティである「1EdTech Consortium」によって定められた国際標準規格だ。

tomoLinksがLTI対応学習教材コンテンツと国内で初めて連携

学習eポータルのtomoLinksでは、提携先のさまざまなデジタルドリルや確認テストなどの学習コンテンツと共に、AIによって個別最適な学習につながるサポート機能「先生×AIアシスト」を提供している。

tomoLinksが提供する「先生×AIアシスト」の活用イメージ

例えば、教員は教員用ダッシュボードから随時児童生徒の学習状況を確認したり、AIによる分析を個別の指導に生かすことができる

教員向けのダッシュボード。「気づきとアクション」など個別の指導に生かせる情報が表示されている

児童生徒は自身の学習状況に応じて、AIによるおすすめ教材などの情報を受け取ることができる。

児童生徒向け画面。おすすめドリルのお知らせや生成AIのキャラクターが表示されている

現状では、tomoLinksが提供している提携先の学習教材は、tomoLinks側で教材コンテンツを搭載していて、まだLTIによる連携をしているわけではない。tomoLinksでは今後LTIに本格的に対応し、連携による利便性を高める方針で、学習eポータルとして国内で初めて、LTIに対応した学習教材の学習履歴との、AI機能の連携を実現した。

LTI対応教材として、まずは城南進学研究社の「デキタス」というデジタルドリルと連携し、2025年4月からオプション教材として提供を開始する。なお、2024年9月1日(日)から2025年3月31日(月)までは期間限定で無償提供される。

LTI連携によるメリット

プラットフォームとコンテンツが分離

おすすめ教材などのAI機能は、学習教材コンテンツを持つ事業者がコンテンツと共に提供するケースが多いが、tomoLinkの場合はその機能をプラットフォーム側で持っているのが特徴だ。LTIに対応して連携する形にすることで、tomoLinksが兼ね備えるAI分析機能と管理機能、事業者が持つ教材コンテンツを容易に扱えるようになる。

また、国際標準規格であるLTIに多くの事業者が対応すれば、1社で全ての機能やコンテンツを抱え込むことなく、業界内での連携が容易になる。コンテンツ事業者はプラットフォーム側の便利な各種機能を通して学習者にコンテンツを届けられるし、プラットフォーム側はさまざまなレベルや質のコンテンツを共通のサービス画面から提供し、学習データの分析を行い、より学習しやすい環境を整えることができる。特定の会社間のメリットという閉じた話ではなく、相互に選択肢が圧倒的に増え、業界のエコシステムになるというわけだ。

また、データ連携により、プラットフォーム側とコンテンツ側両方で年次更新をする必要がなくなるなど、学校現場の管理者側のメリットもあるし、何よりもエンドユーザーである学習者の余計な負担が減り、シームレスにさまざまなコンテンツを利用できるようになる。こうした国際標準規格の存在にも目を向けて動向を見守っていきたい。