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小学生の「放課後の過ごし方」調査、共働きの低所得層は「習い事なし」が69.2%、友達と遊ぶ機会なしは52.3%

特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクールが、小学生の放課後の過ごし方に関する独自の調査結果を発表

特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクールは、小学生の放課後の過ごし方に関する独自調査を実施した。その結果、共働きで年収300万円未満の家庭では、子供の69.2%が習い事をしておらず、52.3%が放課後に友達と遊んでいないことが明らかになった。

【調査概要】
実査委託先:株式会社マーケティングアプリケーションズ「サーベロイド」
調査期間:2025年1月17日(金)〜1月18日(土)
調査対象:小学生の子供を持つ共働き男女(有効回答数:1,200)
調査方法:インターネット調査

同調査では、就労家庭の小学生で「習い事をしている」という割合は61.6%となっている。年収別に見ると、300万円未満では69.2%が「習い事なし」という結果となった。地域別に比較すると、「都市部」よりも「都市部以外」の方が習い事に通っている頻度が少ない傾向がうかがえる。

共働きで年収300万円未満の家庭では、子供の69.2%が習い事をしていないと回答

放課後に友達と遊ぶ頻度を聞いたところ、「週1回未満」(52.1%)の回答が最多となった。年収別では、300万円未満の家庭で「放課後に全く友達と遊んでいない」と回答した子供は52.3%で、低所得層の子供は放課後に友達と遊ぶ頻度が著しく少ない結果となっている。地域別では、「都市部」に比べ「都市部以外」で友達と遊ぶ頻度が少ない傾向が判明した。

共働きで年収300万円未満の家庭では、「放課後に全く友達と遊んでいない」が52.3%

自宅での過ごし方に関する設問では、年収300万円未満の子供は、ゲームや本・漫画、お絵描き・工作をして過ごす割合が低く、スポーツや音楽の試聴などをして過ごす子供はいないという結果となっている。さらに、学校や児童館・図書館などの公共施設で遊ぶ割合も低いことから、低所得層の子供は「自宅での過ごし方や友達と遊ぶ場所のバリエーションが少ない」と同法人は推察している。

低所得層の子供は、自宅での過ごし方や友達と遊ぶ場所のバリエーションが少ない傾向に

また、年収300万円未満の家庭で、放課後を「祖父母や親戚の家で過ごしていない」と回答した子供は76.9%に達した。

低所得層の子供ほど「祖父母や親戚の家で過ごしていない」と回答した割合が高い

放課後の過ごし方に対する子供の課題やニーズについては、「もっと遊びたい」「友達と遊びたい」「自由に過ごしたい」という声が挙がった。ほかにも「学童に行きたくない」「家で過ごしたい」という声や、「時間がほしい・休みたい」「暇」「もっと充実させたい」という声も寄せられている。

「もっと遊びたい」「友達と遊びたい」「自由に過ごしたい」といった声が寄せられた

一方で、保護者からは「子供が安心・安全に遊べる場所、見守りなどのサービスがほしい」という声が特に多く挙がっている。「体験や習い事をさせてあげたい」「学童保育の仕組みや質を改善してほしい」という声も多数寄せられた。

保護者からは「子供が安心・安全に遊べる場所、見守りなどのサービスがほしい」という声が多い

放課後の過ごし方に対する子供の満足度を聞いたところ、肯定回答(とても満足+少し満足)は77.5%で、「少し満足」が過半数を占めた。年収別に見ると、300万円未満の子供は否定回答(とても不満+少し不満)が27.7%で、「都市部」よりも「都市部以外」で否定回答が多いという結果となっている。

子供の満足度では、肯定回答(とても満足+少し満足)が77.5%に

最後に、友達と遊ぶ頻度と満足度については、「週に4日以上」「週に2~3日」「週に1日」の合計で「満足」が52.2%、「不満」が32.9%という結果となり、放課後に友達と遊ぶ頻度が多いほど、放課後の過ごし方に対する満足度が高い傾向となった。

友達と遊ぶ頻度が多いほど、放課後の過ごし方に対する満足度が高い

同法人は、「放課後に子供を預かってもらえる場所が足りない。学童保育に入れるだけでもありがたい」という認識が前提となりつつあるとして、保護者の就労のための預かり機能だけでなく、子供の声を受け止め、誰もが安心安全に過ごせる居場所と多様な体験を得られる環境を社会全体で整備する必要があるとまとめている。