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駿台、個別最適な学びを実現するツールと事例をEDIXで紹介

―「EDIX東京2026」レポート⑨

「第17回 EDIX(教育総合展)東京」の駿台ブースでは、学校や自治体の実践事例を紹介するセミナーを実施(撮影:編集部、以下同じく)

駿台グループの駿台教育センター株式会社と株式会社manaboは、2026年5月13日から15日まで東京ビッグサイトで開催された「第17回 EDIX(教育総合展)東京」に出展した。

会場では、英語4技能・記憶定着・オンラインテスト・質問対応・英作文指導など、学校・自治体の現場で活用できる学習ツールを紹介するほか、学校や自治体などが実践事例を紹介するセミナーを実施している。

AIが「音素レベル」で発音を分析する「ELSA School」

注目の製品は、AIを活用して児童生徒の発音やアクセント、イントネーションなどを特定し、正しい発音を伸ばすことができる「 ELSA School 」である。英語らしさは、発音・流暢性・抑揚などの要素で構成されるが、ELSA Schoolは音素ごとの一音一音で分析を行い、AIが発音内容を瞬時にフィードバックする。

ELSA Schoolの操作画面

早速、学習課題で発音練習を試してみた。マイクのボタンをクリックして「I have never been to a foreign country.」と話しかけると、数秒後に発音の評価が表示される。単語の中で赤く表示されるのは、課題や改善点がある音素だ。試しに「been」をクリックしたところ、「b」「I」「n」の音素ごとに評価が表示され、「n」の発音に課題があることがわかった。

マイクのボタンをクリックして「I have never been to a foreign country.」と話しかけた結果
「n」は、「舌先を上歯の裏か歯茎に当てて発音しましょう」との評価が

担当者によると、高校や中学での導入が広がっており、英語授業で最初の10分間に利用するケースが多いのだという。教員が生徒の端末に音読の課題を配信するほか、宿題として音読を指定するケースもある。生徒が気兼ねなく発音を練習できるうえ改善点がすぐわかるので、ゲーム感覚で正しい発音をマスターできそうだ。

基礎学力や学習中の疑問も自宅から確認できる

ブースでは、オンラインで受験可能な「 駿台 atama+オンラインテスト 」についても紹介していた。同テストは、高校1年生と2年生向けの「 駿台 atama+学力判定テスト 」と、高校3年生向けの「 駿台 atama+共通テスト模試 」、大学入学共通テスト本番に備えた「 駿台 atama+プレ共通テスト 」が用意されている。

駿台atama+学力判定テストは、「基礎学力定着」を目的とした教科書レベルの内容だ。年6回オンラインで実施し、受験期間内なら好きなタイミングでどの教科からでも受験できる。受験終了後は即時に採点が行われ、AIが復習単元を具体的にリコメンドする仕組みだ。

駿台atama+学力判定テストにおける活用例
駿台atama+学力判定テストのデモ画面

また、スマートフォンでわからない問題について質問ができる「 manabo 」についても実際の画面を確認することができた。manaboは、24時間・365日質問が可能で、チャットと音声通話から指導形式を選ぶことができる。わからない問題について撮影した画像を投稿すると、最短1分で全国の東大・京大・医学生を中心とした学生講師から回答をもらえる。

「manabo」における通話による回答例
管理画面では、指導時間や指導履歴、質問内容を確認可能

駿台は、指導者目線での活用方法のほか、一人ひとりの学びの最大効率化と指導者の負担軽減についてのソリューションを展開。「究極の個別最適化学習を実現する学習システム」をブース全体で強調していた。

「究極の個別最適化学習」を実現するソリューションや教材をアピール

学習者が自分で学ぶ力を付けるために生成AIを利用

聖光学院中学校高等学校 英語科教諭、Google for Education認定トレーナー 髙木俊輔氏

「AIの発達によって教師は不要になるでしょうか?」セミナーでそう呼びかけたのは、聖光学院中学校高等学校 英語科教諭、Google for Education認定トレーナーの髙木俊輔氏だ。

髙木氏は、中学3年生の担任と学年主任を兼務している。勤務校は男子校で、1クラスが35名から46人、5クラス分で計221名の生徒を指導しているという。これまで大人数のクラスで英語を指導するとき、「生徒一人ひとりの発音を指導したい」「個別指導の対応が難しい」という課題があった。

髙木氏が、「ELSA School(当時の名称はELSA Speak)」を導入したのは、2022年。髙木氏は、現在の授業環境や受験ニーズなどを振り返り、ICTとAIの導入で学習者の個別課題に対応することについて説明。AIは「労力的にあきらめていたことを実現するパートナー」だと語り、ELSA Schoolを利用した同じ生徒の1年後・2年後の動画をそれぞれ再生し、発音の改善について実例を紹介した。

ICTとAIの導入で学習者の個別課題に対応
AIは「労力的にあきらめていたことを実現するパートナー」
ELSA Schoolの利点と発音改善の取り組み

さらに、生成AI活用の方向性と、AIを活用した自学支援の実践方法を紹介。AIの登場によって、学習者がその気になれば自分で学べる環境が整ったことに触れた。一方で、学習には適切な指示・サポートと、目的を成し遂げるための方法を生徒に共有することが必須で「教師という存在はなくならない」と髙木氏は語っている。

AIを活用した自学支援

大学入学共通テスト「情報Ⅰ」は去年より難化、今後の対策は?

駿台予備学校 情報科講師 植垣新一氏

5月13日には、駿台予備学校 情報科講師 植垣新一氏がブースに登壇した。植垣氏は、駿台予備学校で講師を務めるほか、情報教育系YouTuberとしても活躍しており、情報Ⅰの授業動画・資料を600本以上無料提供している。

植垣氏によると、2年目となる2026年度共通テスト「情報Ⅰ」本試験では、全国平均が56.59点で、初年度から12.67点下がった。その理由として、情報Ⅰの基本問題をベースとした思考力が問われる問題が増えたことが挙げられるという。

情報Ⅰの基本問題をベースとした思考力が問われる問題が増え、初年度から全国平均12.67点下がっている

特に、コンピューターの記憶装置と補助記憶装置の特徴の違いなど、知っていれば解ける基本問題で正答率が低かったと説明。また、メールアドレスと送受信のフローに関する問題や、住民証明書の発行システム、画像の重ね合わせ(透過処理)と論理演算に関する問題などに関して振り返っている。

2026年度共通テスト「情報Ⅰ」に出題された、記録装置の特徴の違いを問う問題
2026年度共通テスト「情報Ⅰ」に出題された、メール送受信のフローの理解を問う問題

植垣氏は、情報Ⅰの教科書と大学入学共通テストで登場した用語の総意率に注目。ひたすら用語を覚えるのではなく、配点割合が高い思考力系の問題を解き、夏以降は時間を意識しながら本番レベルに即した問題集を解くことの重要性を紹介した。

大学入学共通テストで事前知識が必要だった主な用語の総意率
ひたすら用語を覚えるのではなく、思考力系の問題に時間をかけることが重要

さらに、共通テスト用プログラミング表記に慣れ、プログラミング力を強化するために植垣氏が執筆した対策書籍や、駿台予備学校の通年講座、情報AIドリルについても紹介している。

植垣氏が執筆した対策書籍『2027年版 情報Ⅰ 大学入学共通テスト対策 演習&過去問題集 動画付きでよくわかる』(著:植垣新一/発行:株式会社インプレス)
駿台予備学校では、昨年から14回×50分の「情報Ⅰ通年講座」を開始している。さらに夏季講習(6回)と直前対策講座(3回)も用意
📌「EDIX東京2026」関連記事まとめ
5月13日~15日に開催されたEDIX東京2026の関連記事をまとめています。製品レポートや各社ブース、セミナーの内容など今年の教育トレンドをチェックできます。
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大塚雷太

1971年生まれ。もっぱら編集をしています。大田区や東海道沿線のスーパー銭湯&日帰り温泉に行くことに目がありません。