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コニカミノルタ、教科書の単元に沿った「AI教材テンプレート」を提案 教育データのAIダッシュボードも

―「EDIX東京2026」レポート⑫

コニカミノルタジャパン株式会社のブース(撮影:編集部、以下同じく)

5月13日から15日にかけて東京ビッグサイトで開催された「第17回 EDIX(教育総合展)東京」では、今年も生成AIを活用した最新のソリューションが注目を集めていた。

学校現場では、生成AIを授業や校務にどう取り入れるかが大きなテーマになっている。一方で、授業の中で生成AIを使う場合、児童生徒がすぐに答えを得るだけでは、考える過程が十分に深まらない懸念もある。

コニカミノルタジャパン株式会社のブースでは、同社が提供する学校教育向けソリューション「 tomoLinks 」の生成AI機能「 チャッともシンク 」を中心に、児童生徒の思考を支援するAI活用や、教育データを教員の気づきにつなげる「 先生×AIアシスト AIダッシュボード 」を紹介していた。

「どうしてそう思ったの?」 問い返すAIで考えを整理

チャッともシンクは、児童生徒に答えを教えるのではなく、問い返しやヒントによって考える過程を支える生成AI機能だ。教員は、授業のめあてに合わせてAIの振る舞いを設定でき、児童生徒はそのAIと対話しながら学習内容について考えを深めていく。

AIとの対話を通じて自分の考えを整理することで、協働学習や探究学習に向かう前に、自分なりの意見を持ちやすくなる。

学校教育向け生成AI機能「チャッともシンク」の紹介コーナー

ブースでは、小学4年生理科「天気と気温」の授業を想定したデモが紹介された。児童が「晴れだと暑い」と入力すると、AIは「どうしてそう思ったの」と問い返す。朝と昼では何が違うのか、地面の温まり方はどう変わるのか。児童に考える視点を示しながら、自分の言葉で考えを整理できるよう促していく。

「チャッともシンク」授業の一覧から、小学4年生理科「天気と気温」を選択

こうした問い返しによって、言語化や具現化に自信がない児童生徒も、AIとの対話を通じて自分の考えを言葉にしやすくなる。

AIとの対話を通して、自分の考えを形にしていく

AIの問い返しは、教員が授業のめあてに合わせて設定できる。教員はAIに対して、答えを直接教えないこと、児童生徒の理由を聞くこと、学年に応じた言葉で伝えること、授業に関係のない話題になった場合は本題に戻すことなどを指定できる。

授業のめあてや流れに応じて、AIの振る舞いを設定可能

例えば、太陽の高さと地面の温まり方の関係に気づかせたい場合、教員はAIの設定画面で、その方向に対話を導くよう指示する。AIは児童生徒の考えを受け止めながら、授業のめあてに向かって考えを進められるよう支援を行う。

単元別の「AI教材テンプレート」で、選ぶだけで授業に活用

生成AIを授業で活用するうえで、教員にとって負担になりやすいのがプロンプトの作成だ。生成AIにどのような役割を持たせ、どこまでヒントを出し、どのような問い返しをさせるかを一から設計するには、一定の知識や経験が求められる。

そこで同社は、これまでの実証で使われたプロンプトを分析し、教科書の単元に沿った「 AI教材テンプレート 」を搭載した。テンプレートの画面は開発中で、これからテンプレートが追加される予定だが、[振り返り][ヒント][説明][添削][自由][単元特化]など、さまざまなテンプレートが利用可能となっていた。

授業で使うプロンプトをテンプレートから選択できる

教員は、単元や活動に合ったAI教材テンプレートを選ぶことで、プロンプトを一から作らなくても授業に活用できる。必要に応じて、自分の学級の実態や授業の進め方に合わせて内容を調整することも可能だ。

「ヒント係」のテンプレートでは、児童生徒のつまずきに合わせて小さなヒントを段階的に提示する

同社の担当者は、生成AI活用を学校現場に広げるには、プロンプト作成の負担を下げ、教員が授業の中で迷わず使える形にすることが重要だと説明した。授業のめあてや児童生徒の実態に合わせて使える教材として用意することで、生成AIを日々の授業に取り入れやすくする狙いである。

グループワークの前に、AIで自分の意見を整理

さらにブース内では、チャッともシンクを協働学習に生かす使い方も紹介されていた。グループワークでは、発言に自信がある児童生徒の意見が中心になり、自分の考えに自信がない児童生徒が発言しにくいことがある。こうした場面で、AIとの対話を通じてあらかじめ自分の考えを整理しておくことで、話し合いに参加しやすくなるという。

デモでは、児童生徒がAIとの対話を通じて整理した考えを付箋として投稿し、教員の画面に集約する流れを紹介。教員は集まった付箋を見ながら、似た意見をまとめたり、異なる視点を取り上げたりして、クラス全体の話し合いにつなげられる。

AIと対話しながら、自分の答えをまとめていく
整理した考えは、付箋として共有できる

一方で、児童生徒がAIと対話した内容を教員がどのように見取り、授業の展開につなげるかも重要になる。同社は、2026年度中にチャッともシンクへ「 対話ログ分析 」を搭載する予定だ。同機能は、児童生徒と生成AIの対話履歴を生成AIが分析し、児童生徒が「何について考えているか」「どのように思考が進んでいるか」を整理してリアルタイムで提示するもの。教員が児童生徒の理解度や検討過程でのつまずきを見つけやすくし、課題の再設計や指導方法の見直し、評価にもつなげる狙いがある。

児童生徒とAIの対話ログを分析し、教員の見取りを支援

対話ログ分析によって、教員は児童生徒の考えの傾向や多く出ている意見を把握しやすくなる。例えば、クラス全体で多く見られる考えをもとに話し合いを組み立てたり、少数意見を取り上げて視点を広げたりすることが考えられる。

生成AIとの対話で児童生徒の考えを引き出し、その過程を教員の見取りや授業展開に生かす。チャッともシンクは、児童生徒の個別の思考支援にとどまらず、協働的な学びを支える仕組みとしても提案されていた。

AIが見るべきポイントを提示、教員の気づきを支える新機能

2026年度に提供開始予定の新機能が「 先生×AIアシスト AIダッシュボード 」である。同機能は、出欠や学習状況、心の状態、振り返りなど、学校内に散在する教育データを統合して可視化し、生成AIが教員に見るべきポイントを提示するものだ。

「先生×AIアシスト AIダッシュボード」の画面

従来のダッシュボードは、グラフや数値を一覧できても、教員が「何を見ればいいのか」「次にどのような行動を取ればいいのか」を判断するには経験や時間が必要だった。AIダッシュボードでは、AIがデータを分析し、教員が確認すべき内容を「 気づきカード 」として提示する。

児童生徒の連続欠席に対し、状況確認を促す「気づきカード」

教員は、気づきカードから個別の詳細画面に進み、必要に応じてAIチャットに質問することができる。例えば、欠席の状況やドリルの取り組み状況について、AIに背景を尋ねることで、複数のデータをもとに状況を深掘りできる。

「先生×AIアシスト」がデータを分析し、具体的なアクションを提案してくれる

ただし、AIが示した内容は、教員の判断を置き換えるものではない。あくまで教員が児童生徒の状況を見取り、声かけや支援につなげるための手がかりとして設計されている。

京都市と挑む、教育データを「気づき」と「行動」につなげる試み

ブースでは、京都市教育委員会とコニカミノルタによるセミナー「教育データ活用 見える化の先へ、京都市教育委員会と考える教員の気づきと行動につながるダッシュボード」も行われた。

京都市教育委員会の林 和津慎氏は、GIGAスクール構想に基づき端末整備を進め、クラウドサービスやデジタルドリル、保護者連絡ツールなどを活用してきたと説明した。その一方で、教育データは各システムに分散しており、横断的に見ることが難しいという課題があることを指摘。さらに、多忙な教員が大量のデータを自力で分析し、日々の支援につなげることにも限界があると語った。

京都市教育委員会が掲げる「教育ダッシュボード」の課題感と目指す方向

これに対して、コニカミノルタは、先生×AIアシスト AIダッシュボードによって、単なる「見える化」で終わらせず、教員の気づきや行動につなげる考えを示した。データを可視化するだけでなく、AIが注目すべき点を提示し、教員が確認し、必要に応じて深掘りする。こうした流れによって、データ利活用を日常的な支援に結び付けようとしている。

コニカミノルタが提示した、教育データ利活用の目的(「教育データ利活用の加速化に向けた実証研究・伴走支援等実証機関 公募要領)より)

京都市では、2026年度に一部の小中学校と連携し、先生×AIアシスト AIダッシュボードの活用に向けた検証を進める予定だ。セミナーでは、教育委員会側が一方的に仕組みを決めるのではなく、実証校の教員からニーズを聞き取りながら、現場で使えるものを作っていく姿勢も語られた。

生成AIは、児童生徒の学びを支えるだけでなく、教員が一人ひとりの状況を見取り、次の支援を考えるための道具にもなりつつある。コニカミノルタの展示は、AIとの対話で児童生徒の思考を引き出し、その過程を教員の見取りや授業改善につなげる方向性を示していた。

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本多 恵

フリーライター/編集者。コンシューマーやアプリを中心としたゲーム雑誌・WEB、育児系メディアでの執筆経験を持つ。プライベートでは小学生兄弟の母。親目線&ゲーマー視点でインクルーシブ教育やエデュテインメントを中心に教育ICTの分野に取り組んでいく。