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教科の苦手意識は小中学校で大きく形成されるが、高校で理系学問の楽しさに気づくことも 〜スタディプラス調査

スタディプラス株式会社のStudyplusトレンド研究所は、学習管理アプリ「Studyplus」上で全国の高校生・浪人生・大学1~2年生を対象に実施した「文理選択と学部・学問の系統についての調査」の結果を発表した。

2023年6月~7月にかけて、Studyplusトレンド研究所が公益財団法人山田進太郎D&I財団と共同で実施した「文理選択に関するアンケート調査」の結果を踏まえて行った調査。教科への苦手意識・得意意識が形成される時期・理由に着目し、生徒がより良い文理選択をするための高等学校における学習指導・進路指導のヒント、大学の理系分野における生徒募集にあたってのヒントを探った。

調査結果のトピックスとしては、「理系への苦手意識」が文理選択に大きな影響を与えること、教科への苦手意識は小中学生で形成されること、理科は細分化された高校でつまずく傾向があること、一方で高校生になってから理系を好きになる割合も一定あることなどがわかった。

■調査の概要

  • 調査対象:全国の「Studyplus」ユーザー(高校生・浪人生・大学1~2年生)
  • 回答者:5,150名
    【学年分類】高校1年生:1,278名、高校2年生:1,433名、高校3年生:1,887名、浪人生:213名、大学1年生:252名、大学2年生:87名
    【文理分類】文系:2.391名、理系:2,644名、その他:115名
  • 調査方法:学習管理アプリ「Studyplus」上でアンケート回答を依頼し、オンラインで回答を回収
  • 調査時期:2023年11月10日〜11月13日

■理系への苦手意識が文理選択に大きな影響

前回調査の結果を受けて、今回は自由記述で文理選択の理由を調査。その上で記述された理由に関して、系統に対するポジティブ・ネガティブの割合と、回答理由をジャンル付けした割合を算出・分析した。

・【調査項目①】あなたが文系or理系に進むことを決めた理由を教えてください(自由記述回答をジャンル分けして分析)

回答理由をジャンル付けすると、文系は「理系の勉強が苦手」が37.4%と最多だったのに対し、理系の「文系の勉強が苦手」は10.6%で4位。「系統への苦手意識」から文理選択した生徒は、文系が理系を上回るという結果となった。

■教科への苦手意識は小中学生で形成、理科は高校生で形成される傾向も

前回と今回の調査で浮き彫りになった「理系への苦手意識」について深掘りし、苦手意識が芽生えた時期・理由に注目した。

・【調査項目②】あなたがもっとも苦手・嫌いな教科は何ですか?その教科が苦手・嫌いになったのはいつからですか?(単一回答)

英語・国語・社会・数学は、約7割が小中学生時点で苦手を自覚し、特に英語は中学生で自覚する傾向が見られた。一方で、英語や理系科目は高校1年生で苦手を自覚する割合も高く、理科は4割以上・数学は2割以上が高校生になってから苦手を自覚している。

・【調査項目③】あなたがもっとも苦手・嫌いな教科は何ですか?その教科が苦手・嫌いになった理由を教えてください(自由記述回答をジャンル分けして分析)

英語・国語は「難しい・できないから」の回答が目立った。より具体的には、英語・社会は「暗記が苦手」、国語は「答えが曖昧」が高かった。

理系科目は、文系科目以上に「難しい・できないから」の回答率が高く、半数近い割合となった。中でも数学は「計算が苦手」も多く見られた。

数学における頻出ワードに着目すると、小中学校で「計算」が苦手になったこと、成功体験が得られず負のループに陥ったことが傾向としてわかった。また、理科における頻出ワードに着目すると、高校入学後に細分化した「化学」や「物理」で苦手になったことが傾向としてわかった。

■高校生になってから理系を好きになる割合も一定あり、成功体験や学問の面白さに気付くきっかけ作りが重要

得意意識に着目。どのようなきっかけで教科を好きになるのか、また実際に文理選択をして学部を選ぶ際に、どのような理由を持っているのかを調べた。

・【調査項目④】あなたがもっとも得意・好きな教科は何ですか?その教科が得意・好きになったのはいつからですか?(単一回答)

7〜8割は、小中学生の間に得意・好きを自覚していることがわかった。また、理科は高校生に入ってから3割が好き・得意になったと回答しており、理系科目は高校1年生で得意・好きを自覚する割合が比較的高いことがわかった。

・【調査項目⑤】あなたがもっとも得意・好きな教科は何ですか?その教科が得意・好きになった理由を教えてください(自由記述回答をジャンル分けして分析)

文系科目においては、英語は「習い事・塾の影響」、社会は「教師や授業の影響」、国語は「読書が好き」といった回答が特徴的となった。

また理系科目は、「楽しい・面白い」回答割合が文系科目よりも高く、数学は「答えが明確」・理科は「教師や授業の影響」といった回答が特徴的となった。

得意・苦手意識が醸成されやすい小中学生以降、高校生になってから数学を得意・好きになった回答に着目すると、頻出ワードから、先生の授業・指導や、自発的な学習を通じた “解ける” 体験といった特徴が見られた。同様に、理科を得意・好きになった回答に着目すると、先生の授業・指導や、学問の面白さへの気付きといった特徴が見られた。

・【調査項目⑥】あなたが進学予定の(実際に進学した)学部・学問の系統を、決めた理由を教えてください(自由記述回答をジャンル分けして分析)

理系の学部・学問系統の結果に着目すると、工学・理工学系、理学(物理・数学・化学等)系、農・生命・環境系は「学びたいこと・興味・関心」が最多。医学系、看護系、薬学系は「夢や目標・就きたい職業」が最多という結果が得られた。

頻出ワードに着目すると、理系の学部・学問系統への進学理由として、日常での体験で興味を持った、高校までの好きな科目・得意科目をもっと勉強したい、家族やメディアを通じて知った職業の憧れ、といった傾向が見られた。