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生成AI活用、教員の6割が前向きも、負担軽減の実感は3割未満

アルサーガパートナーズ株式会社が、教職員283名を対象に実施した「教育現場における生成AIの活用実態」に関する調査結果を発表

アルサーガパートナーズ株式会社は、全国の教育業界で働く教職員283名を対象に生成AI活用実態に関する調査を実施した。その結果、教職員の6割が生成AIの活用に前向きな姿勢を示す一方で、業務負担が軽減されたと感じている教職員は3割未満にとどまっている。

調査結果サマリー

調査によると、生成AIを業務に活用している教職員は37.2%で、半数以上の教員がまだ活用していないことがわかった。

生成AIを業務に活用している教職員は37.2%

生成AIの利用に関する設問では、「とても前向き」(17.0%)と「やや前向き」(44.9%)の合計で、前向きと回答した教職員は全体の61.9%に達しており、活用率と意識の間にギャップがあることが浮き彫りになっている。

「とても前向き」と「やや前向き」の合計で、61.9%が生成AIの利用に前向きと回答

業務負担の軽減については、「はい」(28.6%)、「いいえ」(53.0%)、「わからない」(18.4%)となり、生成AIの導入で軽減を実感していない教員が多数派となった。

生成AIの導入で軽減を実感していない教員が多数

教員の職種別では、中学校教員のみが4割以上の割合で生成AIの効果を実感。ほかの校種では「変わらない」との声が多数を占めた。特に、「AIの出力が現場に適しているか、確認する手間が増えた」「生徒のアイデアがAIによるものかどうか、判断が難しい」という声もあり、AI導入によって新たな確認作業や管理業務が発生している側面もある。

中学校教員は、約4割が生成AIの効果を実感

一方で、AIによって業務負担が軽減したと回答した教員からは、「教材作成の時間が短縮された」(40.7pt)、「宿題や試験の採点が自動化された」(34.6pt)、「授業準備が効率化された」(30.9pt)といった成果が挙げられた。

AIによって業務負担が軽減した内容の上位は、「教材作成の時間短縮」「宿題や試験の採点自動化」「授業準備の効率化」

生成AIが教員と児童生徒の関係性に及ぼす影響については、「変わらない」との回答が64.0%と多数を占めている。「変わった」と答えたのは15.9%で、肯定的な変化として「生徒の質問の質が向上した」「個別・応用指導に集中できるようになった」が挙げられた。一方、ネガティブな回答として、「コミュニケーション量の減少」(31.1pt)という懸念が存在している。

生成AIの活用による教員と児童生徒の関係性について、約6割が「変わらない」と回答
児童生徒との関係性が変わった点は、「生徒の質問の質が向上」が最多

学習効率の向上については、「はい」の回答は22.3%にとどまったが、「即座に疑問を解消できる」「復習や予習の効率化」「個別最適な学習プランが得られる」といった場面で一定の効果が報告されている。

生徒の学習効率の向上については「いいえ」が46.3%
学習効率を感じる具体的な場面

アルサーガパートナーズでは、教育現場での生成AI活用は、教員の年代や学校環境によって差が大きいと指摘。教員からは「興味はあるけれど、業務に追われて使う時間がない」といった声がある一方、「積極的に活用する『インフルエンサー的存在』がいる学校では広がりが加速している」という声が寄せられているという。

調査を通じて、生成AIは教育現場において期待されている一方、業務内容や活用方法によっては新たな負担となる可能性もあることが明らかとなった。同社は、生成AIを無理なく試せる仕組みづくりと、現場の教員自身が「広げ役」となる草の根的な取り組みが、教育におけるAI活用を前進させる鍵になるとまとめている。

■調査概要
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査期間:2025年7月22日〜7月29日
調査対象:全国の教育業界で働く教職員
有効回答:283名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなならない
※複数回答の設問については、各項目の合計が100%を超えるため、数値は回答者全体に対する回答率(pt)で明示