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熊本県が不登校支援にメタバースを活用、DNPとレノボが支援

熊本県が、不登校の児童生徒に3Dメタバースを活用した居場所と学びの場「くまもとオンライン教育支援センター」を提供

熊本県教育庁は、熊本県内の不登校児童生徒に向けた支援として、オンライン教育支援センター事業を県内の5市町で開始した。対象は荒尾市・大津町・高森町・八代市・水俣市の5自治体で、児童生徒に3Dメタバースを通じた居場所と学びの場を提供する。

この取り組みは、大日本印刷株式会社とレノボ・ジャパン合同会社が熊本県から業務を受託し、株式会社レイメイ藤井と連携して実施するもの。事業の試行期間は2026年3月までとされており、オンライン空間で学習や相談、体験活動などが可能となる。

熊本県では、登校できるが教室には入りづらい児童生徒に対し、校内教育支援センターを通じた支援を行い、自宅から出ることはできるが学校に行けない児童生徒には、教育支援センターやフリースクールとの連携で対応してきた。

しかし、自宅で過ごす不登校児童生徒が全体の約半数を占めていたことから、学びとコミュニケーションの機会を増やすため、メタバースを活用した「オンライン教育支援センター」を設置した。

同センターでは、オンライン支援員が県職員の活動を補助する形でアバターとして空間に参加し、児童生徒の学習・相談・体験を支援。「対面」でのやりとりが難しかった児童生徒にコミュニケーションの機会を提供する。

さらに、メタバース内には「つながる広場」と呼ばれる屋外空間を設置。児童生徒が探究学習や体験活動を通じて社会との接点を持つ場として活用する予定で、イベントの開催や体験型コンテンツの追加が計画されている。

メタバース内の「つながる広場」で、イベントや探究学習を実施予定

今回の取り組みに際しては、各自治体や学校の理解促進のため、先行事例の紹介などが行われた。各学校がメタバース内での活動を理解することで、コミュニケーションが取りにくい児童生徒の実態把握につながるという。

大日本印刷とレノボ・ジャパンは、今後も不登校の児童生徒に向けて、社会との接点を持てるメタバース空間の提供を続けていくとしており、居場所と学びの選択肢の多様化を目指している。