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DNPの鑑賞システム「みどころキューブ」の学習効果を小学校の授業で実証実験

DNPの鑑賞システム「みどころキューブ」

大日本印刷株式会社(DNP)は、インタラクティブコンテンツシステム「みどころキューブ」を小学校の授業で活用し、子どもたちの探究力向上に向けた学習効果を検証する実証実験を行ったことを報告した。実際の学校授業で「みどころキューブ」を使用する初めての事例となる。

DNPは、三重県伊賀市立成和西小学校のデジタルアーカイブを活用した公開研究授業で、授業をコーディネートする大井将生氏(TRC-ADEAC株式会社所属/東京大学大学院情報学環の特任研究員)に、「みどころキューブ」を教材として提供した。

「みどころキューブ」は、文化財・芸術作品など様々なコレクションをキューブ(立方体)状のインタフェースを用い、テーマ・関係性など多様な視点から紹介できる鑑賞システム。直感的な操作で、キューブを回転したり、キューブの内側に入るなどの体験ができる。立方体の側面に表示されるテーマ情報で、鑑賞者の作品への興味・関心を喚起し、理解を促進させる。

今回の実証実験では「みどころキューブ」として、「みどころキューブ SaaS型」を利用した。Webサーバーを施設で用意するなどの手間がなく、Webブラウザーから、素早く簡単に利用を開始できる。

学校教育では、学習者が主体的に学ぶ「アクティブラーニング」が注目され、「探究的な学習」を促進する教材が期待されている。

今回の実証実験では、デジタルアーカイブ化された地域の歴史に関する資料の画像や情報を搭載した「みどころキューブ」を小学校の授業で使用し、子どもたちの学習理解や学習態度に変化が見られたかどうかを検証した。

教諭があらかじめ準備した教材用の「みどころキューブ」に子どもたちがアクセス。「みどころキューブ」内の資料や画像を回転させたり、キューブの中に入ったりすることで、多角的な視点から資料の関係を捉え、興味あるテーマを見つけながら自らの「問い」を設定した。また、「みどころキューブ」から外部サイトのデジタルアーカイブ資料にリンクし、詳しい情報にアクセスした。

  • 実施時期:2022年12月7日(水)10:45~11:30
  • 実施校:三重県伊賀市立成和西小学校6年生
  • 授業テーマ:第6学年における国語科授業「服部半蔵がつなげる、伊賀と東京」
  • 指導者:宮田諭志 教諭(成城学園初等学校教諭)

担当教諭や授業を受けた児童からは以下のようなコメントがあった。

  • 授業を実際にやってみるまでは「みどころキューブ」が使えるか不安もあったが、明らかに児童たちの「問いの誘発」につながったと感じている(宮田教諭)
  • 「みどころキューブ」を初めて使った。通常、資・史料は横に並べるだけだが、「みどころキューブ」では縦軸で時代のつながりが見えたり、立体的に見られたりするのが良い(担当教諭)
  • 普段の勉強は文字ばかりなので、文字だけでなく画像が立体的にあって分かりやすかった。また使ってみたい(6年生児童)
  • デジタルアーカイブの資料を使ってこんなに面白い授業ができるんだと驚いた(6年生児童)
  • 最初、地図上で伊賀と東京の関係性を見るものだと思ったが、触ってみて資料の関係する年代も見ることができ、資料の関係性を見るものだということがわかった(6年生児童)

今後、さらに子どもたちがデジタルアーカイブや図書館・博物館、現地調査等で調べた情報を付加した「みどころキューブ」を使い、子どもたちが学習成果を発表するプレゼンテーションの授業も実施していく予定だという。