【連載】EducAItion Times

Gensparkで簡単スライド作成術!伝える力をAIがサポート

EducAItion Timesは、「大人のきぼう こどもの未来」をテーマに、生成AIの活用情報をお届けします。本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」のメンバー8名が運営するもので、子供たちの好奇心を刺激する、新たな学びの提供をめざしています。

会社や学校、または社外活動において、新規プロジェクトで未経験の業務を任されるのは、嬉しさと同時に負荷も伴います。とくに基礎知識がない段階では、成果に至るまでの労力が増えがちです。さらにチームで進める場面では、口頭・書面・画像・スライドなど、媒体を問わず分かりやすく情報を共有するスキルが求められます。

Genspark(ジェンスパーク) を使えば、専門知識がなくても要点をすばやく整理し、そのままスライドに落とし込んで共有することが可能です。目指すのは完璧な資料ではなく、「まず伝える」「すばやく理解する」こと。短時間で“60点の叩き台”を作り、その後の業務効率や理解度を高める方法をご紹介します。

業務フロー全体の自動化に特化した「Genspark」

Gensparkは、2023年に設立されたアメリカのMainFunc Inc.が開発した次世代型AIプラットフォームです。2025年のAI業界では多くのツールがAIエージェント機能を搭載していますが、Gensparkのマルチエージェントは「 リサーチ → 情報分析 → 構成設計 → コンテンツ生成 → 編集・最適化 」という業務フロー全体の自動化に特化しています。

AIエージェントとは

AIエージェントとは、与えられた指示や目標に沿って周囲の情報を取り込み、自律的に判断・行動して結果を導くAIシステムです。単なるデータ処理にとどまらず、状況に応じて意思決定と実行を繰り返す点が特徴です。

Gensparkで活用可能なAIエージェント一覧(画像:筆者提供)

Gensparkでスライド作成する方法

Gensparkの始め方とスライド作成の方法を紹介します。Gensparkは、Freeプラン(無料)とPro/Plusプラン(有料)がありますが、最初の登録時は自動的にFreeプランが適用されます。

<始め方>
①公式サイト「Genspark(https://www.genspark.ai/)」へアクセス
②公式サイトのSign in(サインアップ・サインイン)をクリック
③サインイン方法を選択。画面の案内に従って認証すると、ダッシュボード(=ホーム画面)に入れます。

Gensaprkでスライド作成する方法工程①~③(画像:筆者提供)

<スライド作成>
④ダッシュボードから「AIスライド」を選択
⑤スライドのテンプレートを選択。お好みのスタイルを選択するか、もしくは、テンプレートを選択をしなくてもスライド作成は可能です。
⑥プロンプト入力。作成したいスライドの要件を入力します。

Gensparkでスライド作成する方法工程④~⑥(画像:筆者提供)

クレジットの確認方法

Gensparkの利用では、コンテンツを生成するたびにクレジットが消費されます。クレジットの確認方法、消費クレジットの仕組み、および実行可能タスク回数について以下に示しています。なお、Freeプランではタスクの実行回数に制限があります。

クレジットの確認方法と実行可能タスク数(画像:筆者提供)

AIエージェントに「おまかせ」でスライドを作成しよう

ここでは筆者が実際に体験した、「クラウドファンディングでイベントの資金を集める」という、これまで経験のなかった業務のスライド作成事例をご紹介します。

プロンプトのポイント

自動でスライドを作成する際は、 状況や目的などの詳細情報を入力 することで、生成されるスライドの内容がより目的に合ったものになります。2つのプロンプト例から、生成されるスライドを比べてみましょう。

<プロンプト例① 現状と目的を入力した場合>
現状説明
・イベントを企画している。
・私はクラウドファンディングで資金集めをする担当に任命された。
・私にはクラウドファンディングでの資金集めの経験がなく、チームメンバーに対して説明ができない。
目的
・他のチームメンバーにクラウドファンディングをできるようにする。
・クラウドファンディングのメリットとデメリットを説明する。
・資金集めにクラウドファンディングを利用するか、判断基準を説明する。

プロンプト例①で作成したスライド(画像:筆者提供)

続いて、現状説明や目的を入力しない場合のプロンプト例とスライドです。

<プロンプト例② 現状や目的を入力しない場合>
クラウドファンディングについての説明スライドを作成

プロンプト例②で作成したスライド(画像:筆者提供)

生成されたスライドはどちらも11〜12枚程度で、クラウドファンディングについてチーム内で説明できる内容になっています。しかし、この2つのスライドには大きな違いがあります。プロンプト①の目的である「資金集めにクラウドファンディングを利用するか、判断基準を説明する」という要素が、プロンプト②では生成されていません。

このように、意図したスライドを生成するためには、 スライドの目的を明確に記入することが大切で、必要な情報を正確に反映させることができます。

「クラウドファンディングの利用に関する判断基準」を明確化するためにプロンプト①が生成したスライド。目的を明示することで、伝わる構成に整理してくれる。(画像:著者提供)

スライドのファクトチェック

予備知識がない場合は、情報の信頼性がとても重要になります。そのため、生成されたスライドは必ず「 ファクトチェック(事実確認) 」を行いましょう。ファクトチェックの方法は2つあります。

① プロンプトで指示する
 自由度の高いファクトチェックが可能
 例)全ページのファクトチェックを指示する
   特定部分のみファクトチェックを指示する

② 生成後に「ファクトチェックコンテンツ」を実行する
 1ページずつファクトチェックを行える。

セーブポイント
ファクトチェックを実行すると、スライド内容が自動で更新されます。修正前のスライドを確認したい場合は、 セーブポイントから参照が可能 です。

ファクトチェックの方法(画像:筆者提供)

情報ソースの確認

必要に応じて、情報ソースの確認を行いましょう。どのサイトから情報を取得しているかを確認したい場合は、一覧表示を指示します。「情報ソース一覧を表示してください」とプロンプトを入力してみてください。

情報ソースの確認方法(画像:筆者提供)

表示された情報源を参照することで、プロジェクトへの理解を深めることができます。

スライドの編集方法

作成済みのスライドのレイアウトを変更したい場合は、編集を行うことができます。編集方法には、 Genspark内で編集する方法 と、 スライドをダウンロードして他ツールで編集する方法 の2種類があります。

Genspark内での編集方法は次の2つです。
① AI編集
編集したい範囲を選択し、プロンプトで指示を与えることで自動的に編集されます。(例:フォントの色を変えて / 画像をイラストにして)

② 高度な編集
Gensparkのスライド編集画面で、配色・配置・テキスト変更・フォント変更・サイズ変更・画像変更など、自由度の高い編集が可能です。

スライドの編集方法(画像:筆者提供)

外部ツールでの編集
Gensparkでは、生成したスライドをPDFやHTML形式で出力できます。出力後の編集には、Canva や Figma などのデザインツールが推奨されています。詳しくは、公式ブログ「Genspark AI Slides Edit」でも紹介されています。

表示とエクスポートの方法

作成したスライドを特定のファイル形式でダウンロードすることが可能です。このエクスポート機能は Plus/Pro/Team メンバーのみ利用可能で、Freeプランではダウンロードできません。

また、Gensparkで作成されるスライドは HTML形式 です。ブラウザで直接表示でき、URLで共有することも可能です。そのため、 共有時には情報の取り扱いに十分注意 してください(エクスポート形式:PDF/PPTX/Google Slides)。

表示とエクスポートの方法(画像:筆者提供)

番外編:Geminiや音声と組み合わせて、Gensparkでスライド作成術

今年の夏に公開された『親子で実践!Geminiを活用した夏休み自由研究の体験記』で使用されているスライドの多くは、 Genspark で作成されています。

このスライド作成では、事前に Gemini で企画を立て、その内容を Genspark で定型フォーマットを使用せずにスライド化しました。その理由は、Gensparkの スーパーエージェント機能 を使ってすべてを自動生成すると、細かい修正に時間がかかったり、理想的なスライドを作成できない場合があるためです。明確なイメージがある場合は、その内容を具体的に指示することで、より自由度の高い理想のスライドを作成できます。

定型フォーマットを使用しないオリジナルスライドの作成(画像:筆者提供)

また、前回の記事『AI文字起こしアプリで学びを記録し、誰もが参加できる学びへ』では、AI文字起こしツール「YY文字起こし」の活用方法をご紹介しました。これは、Gensparkでも、音声データや文字起こししたテキストを活用することで、簡単にスライドを作成できます。

今回は、Zoomの音声データをそのままGensparkに入力し、スライドを作成しました。36分の音声データを添付し、スライド作成の完了までに要した時間は、およそ10分。この方法を使えば、会議内容をすぐにスライド化してチーム内で共有することができます。

音声データからスライド作成する方法(画像:筆者提供)

いかがでしたでしょうか。
今回は、AIを活用して短時間でスライドを作成・共有し、その後の業務効率や理解度を高める方法をご紹介しました。

生成されたスライドには、レイアウトが整っていなかったり、不十分な点もあるかもしれません。しかし、完璧を求めすぎず、AIに任せる部分を増やしていくことが重要です。ぜひ一度、お試しください。

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IKIGAI lab.

140名のメンバーが所属する生成AIコミュニティ。監修:髙橋和馬・田中悠介。編集:新谷信敬。

新谷 信敬

5人姉妹の父。薬剤師。大手ドラッグストアで在宅医療に従事する傍ら、コミュニティ活動を通して生成AIを活用した取り組みに挑戦している。