【連載】EducAItion Times
13歳になった我が子が挑戦、ChatGPTでつくる自分専用AI
2025年9月12日 08:30
皆さんのご家庭では、子供たちの生成AIの使用について、どのようなスタンスをお持ちでしょうか。
2025年5月12日に、東京都は全都立学校で生成AIを活用した学習を始めると発表しました。
これにより東京都では、早くは小学生から、学校において生成AIに関わっていくことが考えられ、まさに生成AIネイティブ世代の幕開けとなりそうです。ここまで状況が変わると、家庭でどんな方針を取るかに関わらず、子供たちは外から生成AIの知識を持ち帰ることになります。コロナ禍で、デジタルデバイスを持たせるつもりのなかった子供たちが学校からタブレット端末を持ち帰ってきて、YouTubeが見放題になったように。
本稿では、我が家での事例をもとに、ChatGPTの「GPTs」機能をおさらいしながら、 親として「どこまで子供に任せるか」「どう安全に使わせるか」をどう判断したのか ご紹介します。
13歳になった子供に自由な使用を解禁――我が家の取り組み
我が家では2年ほど前から少しずつ、子供といっしょに生成AI(主にChatGPT)を使ってきました。
そして子供が13歳になった今、一人で使える年齢になったと判断し、自由な使用を解禁。著作権や、生成AIのハルシネーションについてはこれまで繰り返し伝えてきましたが、さらに以下の注意点を加えています。
- 親もたまにログを見ること
- どうしても見られたくないものを除いて、基本的にはやり取りを消さない(記録や振り返りのため)
- 自身で作成したGPTsは非公開で遊ぶ
ちなみに、なぜGPTsなのかというと、理由はプロンプトを記録しながら反応(アウトプット)を確かめ、そこから自在にカスタマイズしていける点にあります。時間をかけずにその面白さを味わうことができ、挫折することなく進められるのです。
改めて、GPTsってなに?
GPTsは、OpenAIが提供している「 カスタマイズ可能な会話型AI 」のサービスです。この機能はChatGPTの有料プラン(Plus以上)で作成でき、アカウントがあれば誰でも使用することが可能です。しかし無料版の場合はやり取りに上限があります。
過去の記事でもいくつかこのGPTsの作成方法をご紹介してきました。
13歳がこの夏作成した趣味のGPTs
そんな13歳がこの夏に趣味で作成したのが、 「原神」というゲームについて手助けするGPTs です。「原神大百科(非公式)」と名付け、そのプロンプトを一部公開します。
「 原神大百科(非公式) 」
原神は中国の企業 HoYoverse が展開する、現在世界中で大ヒット中のオンラインゲームです。豊富なキャラクターと世界観、練り込まれたストーリーが魅力で、元素反応を組み合わせて戦う戦略性も人気の理由です。
正直、親としては「やりすぎ注意」と思うところはあります。しかし人間は、大好きなことのためなら解像度高く考えられる、というのもまた真実。現在は敢えて見守ることで成長の様子を観察しています。
*なお、こちらは原神公式「二次創作に関するガイドライン」に沿って作成したものです。
GPTsの作成方法は、過去記事(愛犬のAIをつくろう!)でご紹介した通りですが、以下簡単におさらいです。
ステップ①
ChatGPTへの有料登録が終わったら、左メニューから「GPTを探す」へ。日本語サイトでは「GPTs」ではなく「GPT」と表記されています。
ステップ②
GPTs画面に遷移したら右上の「作成する」をクリック。
ステップ③
設定を入力します。チャット形式で作成することも可能ですが、今回も「構成」タブで入力しました。
また、どの言語モデルを使用するかは、2025年8月現在、「Auto」「Instant」「Thinking」から選べました。
先日、生成AIを学ぶIKIGAI lab.メンバーと話したことですが、特に難易度の高い推論を必要としない場合(検索などで答えが見つかる場合)、InstantまたはAutoでの使用をお勧めします。Thinkingを使用するよりもリソース消費が少なく、環境負荷も抑えられます。
以下、プロンプトの前半部分です。
原神について手助けするGPTs!
パイモンになりきって優しく教えてあげてね!
パーティ編成や、ボスの倒し方、立ち回り方など様々……。完全おふざけな内容でもノってあげて!
【パーティ編成について】
・「知識」の資料にも書いてある通り、様々な元素反応がある。中でも蒸発、溶解、超開花、拡散(感電拡散がおすすめ)は強力。超開花と拡散は初心者でも組みやすく、溶解と蒸発は倍率がトップレベルに高い。
・蒸発は炎→水で2倍のダメージ、水→炎で1.5倍。溶解も同様(炎を氷、水を炎に置き換えた時)。
・超開花は「草原核+雷」で発動でき、敵を追尾する草弾を放つ。倍率は「烈開花」と同じく開花の1.5倍。
・氷砕き、超伝導のパーティはほぼネタ。
【キャラについて】
キャラは主に、探索人権・サポーター・アタッカー・サブアタッカー・ヒーラー・シールダーに分かれる。
下は2025年7月27日時点のものである。
アタッカー:マーヴィカ、スカーク、アルレッキーノ、ヌヴィレットが主な強キャラである。マーヴィカはシトラリ、シロネンと組む溶解パーティが強く、現時点最強キャラ。スカークは凍結特化のキャラで、エスコフィエが必須。アルレッキーノは溶解、蒸発が主で、マーヴィカには劣る炎アタッカーだが、まだまだ使える。ヌヴィレットはチャージ重撃メインのお手軽火力が良く、フリーナと組まれることが多い。
サブアタッカー・サポーター:エスコフィエ、香菱、ベネット、シロネン、行秋、万葉、フリーナ、夜蘭、ナヒーダ、シュヴルーズ。こちらは元素によってかなり異なる。エスコフィ
【週ボス】
週ボスとは、週に一回報酬が解放されるボスのことである。キャラの天賦レベルアップに必ず必要。そのため、「週ボスマルチ」や「週ボス巡り」などの用語がある。
トワリン:初心者の頃は誤解しがちだが、弓キャラいなくてもクリアできる。爪をかけたときなどに攻撃するだけでOK。弱い部類。
アンドリアス:こちらも弱い。攻撃方法が単純でギミックも少ない。地面を凍結させた範囲に攻撃を仕掛けてくる。意外とダメージは大きいので注意。
タルタリヤ:コイツは最初強すぎたせいで弱体化され、めちゃくちゃ弱くなった。第二形態の鯨の攻撃は要注意。
淑女:初心者だとなかなかに苦戦する。第一形態の氷のバリアは晶蝶のような紅い蝶をとり攻撃することで破壊可能。第二形態はひたすらダメージを与えるだけ。四方にあるギミックにダメージを与えることで、自身の温度を調整することができる。温度管理に注意。
若陀龍王:攻撃を与えた元素によって、形状が変化する。入り口部分でどの元素を吸収してどんな形状になるのか確認することができる。シールドを張らない限り持続的なダメージを受けてしまうので注意。
【精鋭狩り】
「精鋭狩り」とは、モラ稼ぎのためにモラをたくさん落とす(200〜600モラ)強めの敵を倒すことである(敵の詳細は知識の欄に貼ってる)。1日400体が上限。
【パイモンについて】
パイモン
・溺れかけているところを旅人に助けられて、それ以降旅人に着いて行っている。
・食べ物には目がない。小さく、マスコットのよう。
・旅人の最高の相棒(非常食?)で、いつも手助けをしているが、逆に助けられることもしばしば。旅人との連携が上手い。
・「〜だな。」「〜じゃないか。」「〜だろ?」「おう!オイラ〜だぞ。」「うーん、〜だからな…。」という口調で、一人称は「オイラ」。
プロンプト構成のポイントと注意点
GPTsに指示を与えるプロンプトは、単に知識を答えさせるだけでなく、「 どんなキャラクターとして 」「 どんな雰囲気で 」と答えてもらうかを指示することで楽しさや没入感が変わってきます。
たとえば、「先生風に説明して」と指示すれば丁寧な解説が返ってきますし、「友達のように砕けた口調で」と指示すればカジュアルなやり取りになります。
今回紹介した「原神大百科」のようにキャラ設定や会話のトーンを指示しておくと、ゲームの世界とよく似たやり取りができます。上記のプロンプトについて、構成のポイントをまとめました。
- GPTの役割を定義(◯◯について手助けする)→「原神について手助けするGPT!」
- キャラ設定を付与(◯◯になりきって答える)→「パイモンになりきって優しく教えてあげてね!」
- 応答トーンの指示(真面目/ユーモラス/おふざけOK など)→「完全おふざけな内容でもノってあげて!」
👉この部分で「世界観」と「会話トーン」を固定化。キャラクター性を与えるのが重要。
【説明】
- よく聞かれるカテゴリを整理(例:キャラ解説、戦術、用語辞典など)→パーティ編成のコツ(元素反応や倍率など具体知識)、キャラ解説、週ボス攻略、精鋭狩り、など。
👉具体例や数値を添えて簡潔にまとめる
【テーマ別知識】
- バックストーリー(簡単でOK)→パイモンの背景設定(旅人に助けられた、食いしん坊、相棒)
- 口調指定(語尾・一人称・独特の言い回し)→語尾や一人称を具体的に提示「オイラ」など
- 性格の方向性(陽気/真面目/ツンデレ/皮肉屋など)→お調子者、相棒感
👉単なる知識ベースではなく「キャラで喋らせる」ための人格設定。これが没入感を作る。
【キャラ設定】
このプロンプトの強みは、
・キャラらしさ(没入感)
・カテゴリ整理(ユーザーが聞きやすい)
・知識+人格のバランス
という3本柱。他のテーマでも、この型に沿って「役割」「知識」「キャラ設定」を組み合わせると、楽しく使える特化型GPTが作れます!
注意点としては、「原神」は公式が二次創作を認めるガイドラインを公開しているため、ファン活動や学習用途の範囲であれば楽しめますが、他のアニメ・ゲーム作品では必ずしも同じとは限りません。商用利用・無断転載・再配布は避け、必ず各作品の公式ガイドラインや利用規約を確認してください。
思春期の子供とAI
子供は最初、「何を書けば良いのかな?……」と迷っていましたが、今まで一緒に作成したGPTsを見ながら試行錯誤して、あっという間に使いこなすようになりました。
ちなみに、たまにログを見返すと、日々の出来事や感じたこと、疑問に思ったことなどを自分のGPTsに相談しているようです。
思春期に入ると親に直接自分のことを話してくれるとは限りません。けれど、こうしたログから「今どんなことに関心を持っているのか」を知れるのは、思わぬ副産物でした(*あくまでも子供には断ったうえで閲覧です)。
デジタルネイティブ、そして生成AIネイティブの世代。
子供たちがどう生成AIを活用し、どう成長していくのか。今後も大いに期待しています。
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