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神奈川県立綾瀬高校、町工場の経営改善案のプレゼンテーションを実施
323名の生徒が総合的な探究の時間で経営課題の解決策を考察
2024年7月24日 12:30
2024年6月27日、神奈川県立綾瀬高等学校の生徒たちは、横浜市に本社を構える株式会社スリーハイに向けて経営改善アイデアを提案するプレゼンテーションを行った。
同校では、NPO法人SoELaの協力のもと、総合的な探究の時間に起業家精神を育む授業を実施してきた。しかし、解決策を考えても実際に提案できないことや経営やマーケティングの実務・知識が乏しいことで、教員が助言をするのが難しいという課題があったという。
そこで、2023年11月からは工業用ヒーターの製造を手がけるスリーハイと協業し、生徒たちは実際の経営課題に対する解決策を検討した。生徒は「株式会社スリーハイ綾瀬高校支店」を立ち上げたと仮定し、5つの部署に分かれて経営改善のアイデアを考案した。
スリーハイの代表取締役・男澤 誠氏は、毎回の授業に参加して生徒たちからの質問に直接答えるなどのサポートを行った。また、NPO法人SoELaによるマーケティングやプレゼンテーションの講義も行われ、生徒たちは提案をプレゼンテーションにまとめるプロセスを学んだ。
最終プレゼンテーションを経て、生徒の投票で選ばれた9グループが6月27日に代表者プレゼンテーションを実施。スリーハイの男澤氏と社員たちに向けて発表が行われた。
代表者プレゼンテーションでは、以下の視点で審査が行われた。
- 課題への理解度(スリーハイから提示された経営課題を理解しているか)
- マーケティング視点(ペルソナ、4P分析など「総合的な探究の時間」で学んだ知識を生かしているか)
- 事業内容の独自性、面白さ、工夫
- 実現可能性(アイデアの実現可能性は高いか)
- 意欲(プレゼン発表から感じられるやる気、チームワーク)
審査の結果、テイクアウトした商品を熱々のまま家まで運べる、ヒーター付きエコバックのほか、3択式クイズ大会による昼礼、企業のオリジナルキャラや社員インタビューを掲載する営業冊子などの経営改善アイデアなどが受賞した。
発表会後、綾瀬高校の教員からは「想像以上に、生徒たちの成長が見られたことがうれしい」とのコメントが寄せられた。また、事後の生徒アンケートでは「チームワークで取り組むことで新たな視点を得られた」といった感想が多く見られ、答えのない課題に対し、他者と協働しながら目的に応じた納得解を見いだす力の育成に成果があったと考えられる。
今後、スリーハイでは生徒たちが提案したすべてのアイデアを精査し、実現可能性の高いものを検討する予定である。
男澤氏は、今回の取り組みについて「総合的な探究の時間で身に付けた力は、社会に出ても必ず役立つ」とし、「『やったことがない』『答えがわからない』ことへの挑戦を、仲間とともにワクワク楽しめる人になってほしい」と語っている。
なお、これまでの授業の詳細については、男澤氏のnoteで確認できる。