ドワンゴ設立のオンライン大学「ZEN大学」、カリキュラムや教員予定者などを発表

　一般社団法人日本財団ドワンゴ学園準備会は6月6日、2025年4月開学予定のオンライン大学「ZEN大学」（仮称）（設置構想中）のカリキュラム、課外プログラム、教員予定者などを発表した。学長には九州大学名誉教授、JST/CRDS上席フェロー、NTT基礎数学研究プリンシパル 若山正人氏が就任予定とした。

　ZEN大学は株式会社ドワンゴと公益財団法人日本財団が提携、一般社団法人日本財団ドワンゴ学園準備会を設置して開学を進めているオンライン大学。多様化する教育環境・教育格差に対応した新構想のオンライン大学であるとしている。

　6月1日に設置学部は「知能情報社会学部」、初年度入学定員は5000人（総定員2万人）、1年間あたりの授業料は38万円の予定と発表されているが、今回、さらに詳細な情報が発表された。

学部とカリキュラム

　カリキュラムとして、知能情報社会学部では、「人文・社会」「情報」「数理科学」「デジタル産業」「クリエイティブ」の関連科目を設置する。授業動画としてドワンゴで全135科目1万2150本の動画を制作し、2025年4月の開学時に72科目6480本、2027年3月にすべて公開予定。授業動画の配信は、オンライン学習システム「N予備校」をリニューアルした「ZEN Study」にて提供する。

　それぞれの科目のカリキュラムとして「人文・社会」では地域、日本、世界の素養を身に付ける「ソーシャルリテラシー」、経済や企業の動きを知り自らのキャリアにつなげる「ビジネスリテラシー」、物事の捉え方や考え方を獲得する「メタリテラシー」のもと科目を構成する。

人文・社会

　「情報」はプログラミングの基礎を学び、段階的にITやアプリの開発、データサイエンスのスキルを身に付け、国家資格を目指せる知識を習得し、実際に開発を行う実践的な科目とする。

情報

「数理科学」は、基本的な数学のカリキュラムに加え、どう社会に応用するかをテーマにした学びを展開、経済や情報分野に活かせる実践的な科目を設置。さらに専門的に学びたい学生にはガロア理論やIUT理論などの科目を開講予定。

数理科学

「デジタル産業」では。アニメ、ゲーム、マンガ、IT、ネット領域を中心に、産業構造と歴史と各業界が繁栄に至った重要な出来事について学ぶ。そのうえで産業や時代による価値観の違いなどを知ることで、時代の変化に対応する思考力と新たなモノを生み出すために必要な知識が身に付く科目とする。

デジタル産業

「クリエイティブ」は最新のAI・デジタルツールを活用して、学生が実際にモノづくりを行いアウトプットすることを目指す科目。構築する過程を通して社会で活躍できるスキルと企画想像力を身に付ける。

クリエイティブ

研究プロジェクト

　未来の発展へとつなげる取り組みとして、数学、AI、コンテンツ産業など、さまざまな領域で研究プロジェクトを立ち上げる。今回発表されたプロジェクトは3つ。

　「IUGC」は日本発の世界的な数学理論であるIUT理論を推進・普及し、数学の未来を切り開いていくための研究施設「IUGC（宇宙際幾何学センター）」を設立。所長には加藤文元氏、副所長にはイヴァン・フェセンコ氏が就任予定。

「第二松尾研」はAI研究の第一人者、東京大学大学院教授の松尾豊氏による新たな研究室。ZEN大学の第二松尾研では「AIをより身近に、最適に使えるスキルを磨く」をテーマとし、東京大学松尾研究室との人材交流や共同勉強会なども実施予定。

「歴史プロジェクト」は客員教授の井上伸一郎氏、浜村弘一氏が担当。IT、ゲーム、マンガ、アニメ、ネット文化といった日本のコンテンツ業界の歴史を社会の共有財産として整備する。業界のキーパーソン、クリエイター、技術者などへ取材をして一次資料として記録し歴史資産を形成する。

課外プログラム

　日本さまざな地域に滞在、自治体や企業と連携して問題解決や共同プロジェクトに参加する「地域・企業連携プログラム」を提供。社会が変化していく現場に身を置き、実社会で求められる力を身に付ける。

課外プログラム

教員予定者

　今回、チェアマン、学長、副学長、教員予定者が発表された。

　チェアマンには東京大学教授、OECD教育2030理事 Teach for All Global Board Memberの鈴木寛氏、学長に若山正人氏、学部長兼副学長にアリゾナ州立大学組織研究デザインセンターグローバル・リサーチ・フェロー 学校法人角川ドワンゴ学園理事の渡邉聡氏、もうひとりの副学長に慶應義塾大学名誉教授、大学院大学至善館特命教授の上山信一氏が発表された。

　教員予定者としては、前述の4名を含む合計44名の教員予定者が発表された。