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岐阜大学、工学部電気電子・情報工学科情報コースの学生にAIシングルボードコンピュータ「NVIDIA Jetson」を支給

AIプロジェクトの設計、実装、評価に利用

国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学は、NVIDIAによるエッジ向けAIシングルボードコンピュータ「NVIDIA Jetson」とNVIDIAの教育プログラムを導入すると発表した。工学部電気電子・情報工学科情報コースに所属する学部3年生約70名にそれぞれ1台「NVIDIA Jetson Nano開発者キット」を支給する。

「NVIDIA Jetson Nano開発者キット」は、NVIDIA Jetsonの中で最小の「NVIDIA Jetson Nano」をベースに、ディスプレイやネットワーク、カメラといったデバイスを接続するコネクタなどを搭載した製品。CPUとしてクアッドコアARM Cortex-A57 MPCoreプロセッサを、GPUとして128 コア NVIDIA MaxwellアーキテクチャGPUを搭載。最新のAIアルゴリズムに対応可能な472 GFLOPの性能を持つ。

NVIDIA Jetson Nano開発者キット

岐阜大学は全学にAI、IoT、データサイエンスの最新技術を供給するとともに、学部間をまたぐ研究組織形成の窓口として2019年に人工知能研究推進センターを設立した。また、全学の学生に対し数理・データサイエンス教育を導入し、文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」にも認定されている。

今回の工学部電気電子・情報工学科情報コースは、情報科学の基礎理論だけではなく、実践的な科目が多いことが特徴で、プログラミングの基礎から応用、習得した技術を用いた制作やグループワーク、体験型科目にも力を入れている。今回Jetsonが導入されることになったのは、3年生が受講する「情報工学実験Ⅲ」。

実験科目を担当する岐阜大学人工知能研究推進センター長の加藤邦人教授は、これまでも「情報工学実験Ⅰ~Ⅲ」では学生がマイコンを活用した作品づくりに取り組んできたが、従来の簡易的なマイコンでは性能不足を感じていたとコメント。それに対してJetson Nanoの演算性能により、学生がより自由な発想で高度なAI作品を生み出すことができるだろうと語っている。

「情報工学実験Ⅲ」は2023年10月から2024年2月までの4か月間実施され、エッジAIの仕組みを理解したうえで学生自身がAIプロジェクトを設計、実装、評価するアクティブ・ラーニングを促す。

手掛けたプロジェクトでは、AIとJetsonの基礎的な実践スキルを習得した証明であるNVIDIAの認定資格「Jetson AI Specialist」の取得を目指す。Jetson AI Specialistの取得過程には、NVIDIAが提供する無料の教育キットのオンライントレーニングやテストの受講などが含まれ、加藤教授も今回科目内容を考案するうえでこの教育キットを参考にしている。また、学生はNVIDIAの開発者向けコミュニティサイトで公開されている、Jetsonを用いた世界中のAIプロジェクトを参考にすることもできる。

<「情報工学実験Ⅲ」のシラバスにおける、到達すべき目標>

  • Jetson Nanoを用いた画像処理、ロボット制御、音声処理技術について理解する
  • 理解した技術を用いて実際に組み込み開発を行う
  • 成果物をプレゼンテーション、デモンストレーションする
  • 成果物のアイデアによってJetson AI Specialist認定を受ける

<授業計画>

  • 1週目:Jetson Nanoの基礎
  • 2週目:ディープラーニングの学習とJetsonでの実行
  • 3週目:Jetson Nanoを用いた音声処理の実験
  • 4週目:Jetson Nanoを用いたロボット制御の実験
  • 5週目:Jetson Nanoを用いた画像認識の実験
  • 6週目:自主アイデアの立案と計画作成
  • 7-14週目:自主アイデア制作
  • 15週目:成果発表