【連載】EducAItion Times

忙しい先生へ!60分の研修動画を5分で要点整理できる、お助け「NotebookLM」の活用術

EducAItion Timesは、「大人のきぼう こどもの未来」をテーマに、生成AIの活用情報をお届けします。本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」のメンバー8名が運営するもので、子供たちの好奇心を刺激する、新たな学びの提供をめざしています。

4月、新年度がスタートし、文部科学省のYouTube動画チャンネルなどの研修動画を視聴して学び、その知見を教育実践に役立てたいと思っている先生も多いでしょう。内容が充実した価値ある研修動画だからこそ、限られた時間の中で最大限に活用したいものです。

そこで、今回はGoogleのAIノートツール「NotebookLM」で効率的に動画学習に取り組める方法をご紹介します。

多忙な先生方の悩み:教員研修ビデオで効率よく学びたい

「YouTube動画の研修内容を効率的に学びたい」
「自分の課題に関連する部分を重点的に学びたい」
「実践につながる要点だけを短時間で把握したい」

限られた時間の中で専門性を高め、授業改善を図りたいと願う先生方からの声が聞こえてきます。

教育関連のYouTube動画は質の高い情報が凝縮されている宝庫です。一本あたり30分~60分の動画には、実践事例や理論的裏付けなど多くの学びがありますが、日々の授業準備や校務分掌の合間にすべてを視聴するのは困難です。意欲はあっても時間の制約が学びの障壁になっているのが現状です。

「NotebookLM」で動画学習を最適化!

そこで活用したいのが、GoogleのAIノートツール「NotebookLM」です。

NotebookLMは、YouTubeのURLを含むさまざまな資料をアップロードすると、一瞬で概要が表示されます。そして、対話形式で学習を支援するツールです。まるで、その動画の内容に精通したアシスタントが、あなたの質問に答えてくれるような使用感です。現在、無料で使えて、ハルシネーション(AI特有の誤った情報生成)が少ないのが特徴です。

NotebookLMで表示された60分の動画の概要

また個人情報の扱いも心配ですが、NotebookLMには「お客様のプライバシーを重視しており、NotebookLMのトレーニングに個人データを利用することはありません。」と説明があります。アップロードしたデータや対話履歴を学習されないこともメリットで、安心して活用することができます(※学校現場で活用する際は、各自治体や学校の規則に沿って利用するようにしましょう)。

NotebookLMの個人データに関するメッセージ

NotebookLMでYouTube動画と対話する3ステップ

ここからは、使い方を説明します。

ステップ1:NotebookLMにアクセス
まずは、NotebookLMのWebサイト( https://notebooklm.google/ )にアクセスし、[NotebookLMを試す]をクリックしましょう。Googleアカウントでログインするだけで、すぐに利用を開始できます。

NotebookLM

ステップ2:YouTubeのURLをアップロード
①NotebookLMの画面左側にある[+新規作成]をクリックし、新しいノートブックを作成します。

②YouTube動画のリンクを取得する:[共有]をクリックしてURLをコピーします。

今回は、例として文部科学省チャンネルの「これからのGIGA!!!教科の学びをどう深める!?」のYouTube動画リンクを入れてみます。

YouTube動画リンクを取得する方法

③[ソースを追加]の画面で[YouTube]を選び、コピーしたURLを貼り付けます。

NotebookLMにYouTubeリンクを貼り付ける方法

ステップ3:対話的に学ぶ
URLのアップロードが完了すると、NotebookLMが自動で動画の内容を分析し、概要を生成します。ここからが本当の学びの始まりです。

今回は「子どもたちの主体性や対話的な学びを引き出す工夫を教えて」と質問してみました。すると、以下のような回答が返ってきました。

NotebookLMへの質問と回答

1時間の動画の内容の中から、質問した「子どもたちの主体性や対話的な学びを引き出す工夫」についての情報を瞬時にまとめ、回答してくれました。ここから、さらに質問していくことで、知りたいことをより対話的に深く学ぶことができます。

もっと詳しく知りたい場合は、YouTubeの動画を直接観るとよいでしょう。

以下のような質問で、効率的に動画内容を探索できます。
・概要把握: 「この動画の主要なポイントを3つ箇条書きにして」
・実践的なヒント: 「生徒の情報活用能力を高めるための具体的な方法は?」
・事例収集: 「この動画で紹介されている授業実践例をすべて列挙して」

※NotebookLMは全てのYouTube動画に対応しているわけではありません。 特に公開されて間もない最新の動画や、視聴回数が少ない動画では要約機能が正常に動作しない場合があります。

教員の個別最適な学びにつなげよう

NotebookLMを活用したYouTube動画学習は、単なる時間短縮ツールではなく、教員の学びの効率を高める新しい学習方法です。限られた時間の中で、効率よく、そして自分が知りたいことを質問して把握することができます。

重要なのは、このツールが可能にするのは「効率化」だけでなく「対話的に理解を深められること」と「自分に合った学び方を選べること」ということです。自分が知りたいことを、NotebookLMと対話しながら学ぶことができます。「主体的・対話的で深い学び」を教員自身が実践する際のサポートツールになります。あなたが知りたいと思ったこと、もっと深く学びたいと思ったことを、NotebookLMを活用し、対話的に学んでみましょう。

NotebookLMは、Googleアカウントさえあれば、誰でも無料で利用できます。まずは、ご自身の関心のある教育関連動画のURLをアップロードして、その驚くべき効率性と学びの深さを体験してみてください。教員も新しいツールを使いながら学びをより楽しくしていきましょう。

また、NotebookLMの回答は、参考として活用し、詳しく知りたいところや事実を正確に把握したい場合は、出典や元の動画を参考にするようにしてください。

※学校現場やGoogleの組織アカウントで使用する場合、NotebookLMの活用の可否は各自治体によって異なります。自治体や学校のルールを確認しましょう。公開されたYouTube動画の活用は一般的に問題ありませんが、内部資料などをアップロードする際は適切な判断が必要です。

IKIGAI lab./黒田 一之

教員。大学院生。Microsoft認定教育者。生成AIを活用した特別支援学校教員の校務支援について研究中。生成AIの知見を得るためハッカソン大会等に出場・入賞経験あり。IKIGAI lab.:140名のメンバーが所属する生成AIコミュニティ。監修:髙橋和馬・田中悠介。編集:新谷信敬。