【連載】EducAItion Times
子供と大人の対話が楽しい、自宅でできる画像生成AIを使うワークショップ
2024年10月18日 06:30
今回は、子供と大人が対話をしながら楽しめる、画像生成AIを使ったワークショップをご紹介します。子供たちの「言語化力」と「コミュニケーション力」を育みながら取り組めるのが特徴です。
ワークショップの概要
このワークショップは、4歳から12歳までの小学生以下を対象にしています。子供たちの豊かな想像力と画像生成AIの技術を組み合わせて、独創的な画像を作り出します。
子供たちは自分の好きな色、形、いきもの、オブジェクトなど様々な要素を組み合わせて、自由な発想を言葉にして相手に伝えます。大人は「言語化」のサポートや「画像生成」を行います。作成の過程を通じて、楽しみながら他者とコミュニケーションをとり、相互理解を深めていくことがワークショップの目的です。
実践ワークショップ
ワークショップは、アイディア出し、キーワードの抽出、プロンプトの作成、画像の生成、画像の評価と改善、という5つのステップで構成されています。
プロンプト(Prompt)とは、生成AIに対して行う質問や指示のことです。画像生成においては、生成したい画像の特徴や要素をテキストで表現したものを指します。
今回は4歳の女の子、りんちゃんと一緒に画像を生成した際の実例を基に手順を確認していきます。
まず、子供たちと自由に話し合って、どんな画像を作りたいかアイディアを出し合います。「宇宙を飛ぶ猫」や「人魚とおしゃべりするプリンセス」など、子供たちの想像力豊かなアイディアが出てきます。大人は質問を通して、具体的に表現できるようにサポートします。
次に、大人と子供たちが話した内容の中から、画像生成に必要な「言葉」を「短い語句」として抜き出します。表現をできるだけ具体的な形にすることがポイントです。
抽出したキーワードを使って、画像生成AIに入力するプロンプトを作成します。プロンプト作成においては、テクニックを気にせず抽出したキーワードをそのまま入れてください。語句と語句の間は「スペース」または「、」を入れます。
作成したプロンプトを画像生成AIに入力し画像を生成します。画像生成AIサービスには年齢制限が設けられているものもあるので、大人が使用します。
生成された画像は最初に大人が確認します。表現や形に問題がないことを判断した後、子供たちと一緒に画像を確認します。「これ好き」「他のがいい」「すごいのできた!!」「パパと一緒に作れて嬉しい」、いろんな感想が出てきます。全ての感想を大切にします。
期待通りの画像ではない場合は、プロンプトを修正して再生成します。その際に、どこが嫌だったのか、どうすれば好みの画像ができるのかを対話の中から聞き取るようにしましょう。
りんちゃんとの対話で生成された画像が、こちらです。
ワークショップの準備
今回のワークショップに使用した画像生成AIは、アニメやマンガ風の2次元イラストを簡単に生成できる「niji・journey(にじジャーニー)」になります。年齢制限があり、13歳以上であることがサービスの利用条件となります。13歳未満の子供と一緒に体験する場合、必ず大人の方が操作、利用する必要があります。
画像生成AI「niji・journey」を使用する理由は3つあります。
- 生成される画像が可愛い:簡単に可愛らしい画像が生成されるため、低年齢の子供でも興味を持ちながら生成AIに関わることができます。
- 日本語で画像生成が可能:日本語で画像生成が行えるため、言語表現が与える影響について理解しやすいです。
- 簡単な操作:メッセージを送る、ボタンをクリックするなどの簡単な操作で画像生成が可能です。
「niji・journey」は、Discordまたはスマホアプリで利用できます。スマホアプリには無料トライアルが付いており、一定枚数の画像生成を無料で行うことが可能です。Discordでは無料トライアルはありません。サービスを使用するには有料プランへの加入が必須となります。
今回は、PCを使ってDiscord上で画像生成を行う方法を選択しました。その理由は、スマホの画面だと複数人で確認する際に画面が小さく、見づらくなるためです。PCを使用することで、より多くの人が一緒に画面を見ながら共有体験ができます。以下の画像でDiscordでの準備方法を説明します。公式サイトの説明はこちら。
また、Discordでの「niji・journey」の基本操作についても、以下の画像を参考にしてください。
「niji・journey」を使って、安全かつ適切に画像生成を利用する注意事項を記載致します。
- 個人情報の保護:Discordでは、不特定多数の人がプロンプトを閲覧できる状態にあります。名前等の個人情報を入力しないようにしましょう。
- 適切なコンテンツ:不適切な内容や暴力的な表現を避けるため、画像生成AIに入力するプロンプトは慎重に選びましょう。また、生成された画像は手や腕、首、体の形が不自然に歪んでいる場合があります。必ず大人が確認し、適切であると判断した後、子供たちに共有してください。
- 著作権と倫理的配慮:有名なキャラクターや著作物を模倣するような指示を出さないようにします。また、生成された画像が著作権を侵害していないか、適切に確認する必要があります。
ワークショップを終えて
自分の気持ちや考えを言葉で表現する「言語化」は相手が人でも生成AIでもコミュニケーションを行う上で重要なスキルになります。今回のワークショップを通して、子供たちは自分の「アイディア」を「言語化」してイメージを作ることを体験しました。親として、子供の「好き」や「大切」にしているものを改めて知る機会になり、より子供のことを理解できたと感じています。
「EducAItion Times」では今後も生成AIを活用した、学びの方法や実践方法をご紹介してまいります。ぜひ次回もお楽しみください。