【連載】EducAItion Times

忙しい先生必見!AIツール「NotebookLM」で教育動向を手軽にキャッチアップ

EducAItion Timesは、「大人のきぼう こどもの未来」をテーマに、生成AIの活用情報をお届けします。本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」のメンバー8名が運営するもので、子供たちの好奇心を刺激する、新たな学びの提供をめざしています。

「最新の教育動向についていけない」「重要な情報を見落としそう」「資料を読む時間がない」…日々の業務に追われる先生方から、このような悲鳴にも似た声が聞こえてきます。

教育現場は常に変化し、文部科学省からは生成AIのガイドラインや次期学習指導要領の答申(*1)など次々と新しい情報が発信されています。しかし、授業準備、生徒指導、校務などに忙殺される中で、これらの情報をタイムリーにキャッチアップし、理解し、日々の指導に反映させることは容易ではありません。

そこで活用したいのが、GoogleのAIノートツール「NotebookLM」です。どんなことができるか紹介しましょう。

(*1)専門的な事柄について、有識者や専門機関が意見を述べること、またはその文書。特に教育分野では、中央教育審議会(中教審)が教育政策について文部科学大臣に提言する答申が重要視されています

「NotebookLM」で先生の情報収集をサポート!

NotebookLM

NotebookLMは、アップロードした文書に基づいて、対話形式で学習や情報検索を支援するツールです。まるで、資料に精通した助手が、あなたの質問に答えてくれるような使用感です。現在、無料で利用することができ、ハルシネーションが少ないのが特徴です。

たとえば、最新教育動向を把握したいとき、下記のような課題がありますが、NotebookLMを活用することで効率的な解決策が得られます。

【課題】
・最新の教育動向をキャッチアップする時間がない
・情報が多すぎて、どれが重要なのか判断が難しい
・ガイドラインや答申を読み込む時間がない
・分からないことがあっても質問できない

【NotebookLMによる解決策】
文部科学省が公開しているYouTube動画のURLや、「生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」、中央教育審議会(中教審)の答申などの資料をNotebookLMにアップロード。「この動画の要点は?」「ガイドラインのポイントは?」「答申で示された今後の方向性は?」などと質問することで、最新情報を効率的にキャッチアップできます。

NotebookLM活用の3ステップと質問例

NotebookLMの利用方法を紹介しましょう。

ステップ1:NotebookLMにアクセス

「NotebookLMを試す」をクリックしてスタート

まずは、 NotebookLMのウェブサイト にアクセスし、「NotebookLMを試す」をクリックしましょう。Googleアカウントでログインするだけで、すぐに利用を開始できます。

ステップ2:資料をアップロード
①NotebookLMの画面左側にある「+新規作成」をクリックし、新しいノートブックを作成します。

「+新規作成」をクリックし新しいノートブックを作成

②「ソースを追加」から「コンピュータからアップロード」をクリックし、情報を読み解きたい資料を選択します。または、Googleドキュメントのリンクなどを「新しいソースを追加」の右欄から選択、直接入力します。今回は、中央教育審議会の答申「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方(諮問)」の3つのPDF資料をアップロードします。

「ファイルを選択」から読み解きたい資料のファイルをアップロード

ステップ3:NotebookLMに質問! 最新情報を効率的に掴む
資料のアップロードが完了すると、画面中央に資料の概要が自動生成されます。まずは、この概要に目を通し、大まかな内容を掴みましょう。 次に、画面右側の「よくある質問」をクリックしてみましょう。資料の要点を把握するためのFAQが自動で生成されます。

「よくある質問」をクリックで、自動でFAQを作成

生成されたFAQは、以下の通りです。よくある質問とそれに対する回答が表示されます。

生成されたFAQから要点を把握

さらに、画面下部の入力欄から、NotebookLMに自由に質問することができます。

入力欄への質問

試しに、「現行学習指導要領の課題と、未来社会への対応策は何か?」という質問を投げかけてみます。すると、以下のような回答がかえってきました。

「現行学習指導要領の課題と、未来社会への対応策は何か?」という質問への回答

また、効果的な質問をすることで、より具体的な回答を得ることも可能です。以下のような質問例を投げかけてみるのも良いでしょう。

【効果的な質問例】
― 中教審の答申で示された、今後の教育の方向性で、特に重要なポイントは何ですか?
― 個別最適な学びと協働的な学びをどのように実現するのですか?
― この資料の中で、特に注目すべき箇所を3つ挙げ、それぞれ要約してください
― この資料に基づき、今後の授業で取り入れるべき点を5つ挙げ、それぞれについて具体的な実践例を提案してください

NotebookLMは、最新の教育動向を効率的に把握し、日々の授業に活かすための強力なツールになります。示された回答はあくまでも「たたき台」ですので、先生方自身で情報を精査し、実践につなげることが重要です。

NotebookLMで拡がる可能性!

NotebookLMの活用シーンは、最新教育動向の把握だけにとどまりません。ここでは、先生の日常業務をサポートする活用例をご紹介します。

NotebookLMの校務での活用例と質問例

    ・アンケート調査の分析:NotebookLMにアンケート結果を読み込ませれば、自由記述の内容を自動で要約したり、意見をカテゴリー別に分類したりすることができ、生徒や保護者の声を的確に把握できます。

    ・学習指導要領の要点把握:膨大な学習指導要領の中から、「主体的対話的で深い学びとは何か?」等、基本的な概念の重要なポイントを、NotebookLMへの質問を通して素早く抽出できます。

    ・会議・研修資料の効率的な要約:会議や研修前に、資料の要点をNotebookLMで事前に確認することで、当日の議論についていくための時間を短縮し、内容理解を深めることができます。

    ・いじめ対応マニュアルの確認:NotebookLMに具体的な状況を質問すれば、いじめ対応マニュアルに基づいた手順を即座に確認でき、迅速で適切な対応を支援します。

このように、NotebookLMは先生方の「時間」を生み出し、教育の質を高めるための強力なパートナーとなるほか、Googleアカウントがあれば無料で利用できます。ぜひ、様々な場面でご活用ください。

※※NotebookLMの活用の可否は各自治体によって異なります。自治体や学校のルールを確認しましょう。NotebookLMに資料を読み込ませる際は、管理職や各自治体の規定に従って、個人情報だけでなく著作権にも十分配慮して行うことが重要です。特に、インターネット上で入手した資料や、書籍・論文などを無断でアップロードすることは著作権侵害にあたる可能性がありますので、注意が必要です。 学校で作成された内部資料や、著作権法上問題のない資料、利用が許諾されている資料を適切に活用しましょう。

IKIGAI lab./黒田 一之

教員。大学院生。Microsoft認定教育者。生成AIを活用した特別支援学校教員の校務支援について研究中。生成AIの知見を得るためハッカソン大会等に出場・入賞経験あり。IKIGAI lab.:140名のメンバーが所属する生成AIコミュニティ。監修:髙橋和馬・田中悠介。編集:新谷信敬。