【連載】EducAItion Times

GPT-4oを活用した、忙しい保護者もできる家庭学習の新提案

EducAItion Timesは、「大人のきぼう こどもの未来」をテーマに、生成AIの活用情報をお届けします。本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」のメンバー8名が運営するもので、子供たちの好奇心を刺激する、新たな学びの提供をめざしています。

子供も大人も大忙し!学習プリントの効率化を目指して

今の子供たちは非常に多忙で、日々の学校課題と習い事や塾通いに追われる毎日です。コロナ禍以降、公立の小中学校でもタブレットが配布されるなど、学習のデジタル化が進んでいるとはいえ、まだまだプリント学習が一般的に行われているのが現状。そのサポートをする保護者もまた、共働きなど忙しい日々を送っています。

子供たちにいざ「ここ教えて」と言われても「ちょっと待って」「あとでね」としか返せない。

そんな問題を解決する一助となるよう、今回は我が家で行った、生成AIを利用して自宅学習を効率化するための方法をご紹介します。特にGPT-4oの力を活用した、学習プリントの処理や解答作成をサポートする方法を掘り下げていきます。

【注意】「生成AIに答えを聞く」のではなく答え合わせの際に解説を補助する役割を担うものです。文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」では、下記のとおり記載されているため、これを遵守しましょう。

文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」P5より抜粋

GPT-4oで詳しく解説、家庭学習で使える問題も作成

それでは、GPT-4oを使った学習支援の具体的な方法を見ていきましょう。今回の提案は、スマートフォンを使ってプリントをデジタル化し、GPT-4oを活用して解答や解説を作成するという流れです。

●プリント学習をGPT-4oで!算数編
まず、学習プリントの問題文をスマートフォン(またはタブレット)などで撮影します。

問題文を撮影する。画像の問題は著者が作成

撮影した画像をGPT-4oにアップロードし、AIに文字認識をしてもらいます。そのテキストデータをもとに解答や解説を生成します。このプロセスにより、家庭学習の質を高めることができます。

きちんと文字起こしをして解説を始めてくれました

ここで、違う解き方もできるか聞いてみます。たとえば、算数の問題に対して「小学生の解答方法として適さないので、xyは使わないで解答を求める方法があるか?」などと指示を出すと、さまざまなアプローチで解答を導くことができます。

解法を使うメリットと考察まで説明してくれました…

●プリント学習をGPT-4oで!国語編

GPT-4oを活用することで、特定のテーマや形式に沿った問題を作成することも可能です。たとえば、国語の学習において、和語に特化した問題を作成することで、言葉の意味や使い方についての理解を深めることができます。

ただし、GPT-4oの文字起こし機能はたまに違う文字に変換したりするハルシネーション(※)と呼ばれるエラーを起こすので、確認は必須。大量のテキストを一度に読み込ませないようにするなど、使用には工夫が必要です。

※ハルシネーション・・・AIモデルが生成する不正確な結果や誤解を招く結果のこと。これらのエラーは、不十分なトレーニングデータ、プロンプトの曖昧さ、モデルのトレーニングに使用されるデータのバイアスなど、さまざまな要因によって発生する可能性があります。

先ほどと同様、学習プリントのテキスト部分をスマートフォンなどで撮影して、文字起こしをしてもらいます。

ハルシネーションが起きていないか、文字起こしした本文は必ず一度確認する

次に、一問一答形式の問題を作ってもらいます。GPT-4oに「これらの単語を覚えるための問題をつくってほしい。『落ち着きを失って、どうしていいかわからなくなる』を意味する言葉は?というふうに、一問一答の形式で」と入力すると一瞬で問題を作成してくれます。ただし、答えまで出してくれるので修正が必要です。

そうそう!その調子。しかし答えまで書いちゃうので指示を修正

答えを修正するときは、「答えはこちらで書きます。1問ずつだしてください」と入力すると、今度は一問ずつ、問題だけを出して、回答に対して採点もしてくれます。

バッチリですね。「わかりません」と答えても、ごく自然に受け答えしてくれます

最後はA4の表形式で書き出してもらい、印刷できるようにします。「これらの問題をA4プリントして書き取りしたいので表形式で書き出して。こたえは空欄で」という具合に指示をすれば、自宅学習で使えるプリントをつくることができます。

子供たちには「全部覚えられたらテストするからね」と最初に伝えておくとやる気を出してくれます。最後のテストの採点は保護者が行う、「がんばったね」「ここが難しかったかな?」など振り返りやコミュニケーションの時間を大切に。

学習のバリエーションと効率化がAI活用のメリット

このように生成AIを活用することで、「単語帳を作成する」「親が解説を読んで考えてから子共に教える」、など手間がかかっていた作業が短時間で済むようになります。単語学習なら生成AIにランダムで出題してもらえれば、覚えるまで永遠に繰り返すことができます。

また、算数など答えの導き方が一つでない場合は、解答のバリエーションを増やすことができ、子供たちにとって新しい考え方を知る術となります。

やりすぎは厳禁!子供たちの力を信じて

最後に、生成AIを利用する際の注意点をお伝えします。AIの能力は非常に便利ですが、過度に頼りすぎると子供の学ぶ力を阻害してしまうこともあります。大切なのは、AIを「バックアップツール」として位置付け、子供たちの思考能力をいかに伸ばすか、を尊重することです。親として、生成AIの利便性に甘えることなく、効率化によって浮いた時間をコミュニケーションに当てるなど、工夫しながら子供たちの成長を見守っていきましょう。

生成AIを使えば、家庭学習の効率化と多様化が可能になります。AIが提供する新しい学びのアプローチを活用して、子供たちの好奇心を引き出し、日々の学習をより効果的に進められるよう、ぜひ試してみてください。AIは万能ではありませんが、大人が賢く活用することで、子供たちの学びを大きくサポートすることができます。

IKIGAI lab./稲垣 歩

中学受験を控えた小6の母。AIを使い、効果的な勉強方法や日々のタスクマネジメントを模索中。都内制作会社でクライアント企業の広報業務支援に従事する。IKIGAI lab.のファッション領域担当。 IKIGAI lab.:140名のメンバーが所属する生成AIコミュニティ。監修:髙橋和馬・田中悠介。編集:新谷信敬。