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13ステージを走り抜けタイムを競おう!教育版マイクラでeスポーツを体験(ゴールドレース編)

――教育版マインクラフト ワールド紹介その⑬

最終ゴールまでのタイムを競うゴールドレース

教育版マインクラフトのゆるいeスポーツとして、「クリエイティブクラッシュ:働きバチ ネクターハント」を2回にわたってお届けしたのが2021年のこと。それから、はや数年。eスポーツのカテゴリにも随分と変化があり、残念ながら「ネクターハント」は現在主題ライブラリから消えている。

しかし、教育版マインクラフトのeスポーツについては、クラブの立ち上げやビルドバトル形式のチーム対抗戦といった新しい試みが広がってきている。

今回はeスポーツの中でも比較的はじめやすい「ブロックビアードのゴールドレース」をとりあげる。マイクラ世界で作られた全13のステージからなるコースを走破して時間を競い合う、タイムアタック式のワールドだ。

ゴールドレースに挑戦しよう

それでは、レースの様子を見ていこう。

サインインしてプレイを選び、「主題ライブラリ」-「eスポーツ」-「スピードラン」の中にある「ブロックビアードのゴールドレース」を選ぼう(以下、ゴールドレースと呼ぶ)。

「主題ライブラリ」の「eスポーツ」の中から「スピードラン」を選び、「ブロックビアードのゴールドレース」を選ぼう

詳細画面から「ワールドの生成」を選び、ワールドが生成されると、ブロックビアード氏が待つレースのスタート地点になる。

ゴールドレースの詳細画面

ただレースの場所らしい方向に進もうとしても、見えない壁があって先に進むことができない様子。

ブロックビアードに話しかけるとレースの内容について英語で説明してくれる。イマーシブリーダーを使うと、日本語に翻訳できるので表示してみよう。簡単にまとめると時間を競うタイムアタック方式のレースで、マインクラフトの知識とスキルが試されると言っているようだ。

ブロックビアード氏に話しかけよう
イマーシブリーダーで翻訳しよう

レースをはじめるには「Start race」ボタンをクリックする。

すると、画面中央にタイマーが表示され時間が進み出す。空っぽだったインベントリ(持ち物)には、リンゴとボートがセットされている。リンゴはレース中に自由に食べてよい。ボートをどのタイミングで使うかは自由だが、レース攻略のためにうまく使う必要がある。

これ以後、説明らしいものはほとんどなく、前進、走る、ジャンプ、走る+ジャンプを使ってひたすら進んで行くのがレースの基本だ。

最初は水路上の障害物コースからスタート

それでは、最初のステージ1からレースの進め方を見ていこう。まず目につくのは水路に作られた障害物コース。ブロックを飛び越え、隙間の水路を進んで行く。頭上に障害のブロックもあるので、ジャンプしやすいところを探しながら進んで行こう。

レース開始直後の様子。タイマーが動き出し、最終ゴールするまで時間は進み続ける

水路が終わると、蜘蛛の巣が並ぶエリアに。ひっかかるとスピードが奪われるのでなるべく避けて進もう。

途中、チェストがなにげなく置いてある。開けるとブーツとダイヤの剣があるので貰っておこう。ブーツはスピードアップのエンチャントがついているので活用しよう。

水路に続いては蜘蛛の巣がならぶ地形に、途中のチェストも忘れずに

あたりをよく見渡すともっと楽に進めるルートもある。初見で気がつくかどうかは別だが、全体のマップ探検も重要だ。

ルートを選べば、もっと楽なコースもあり、なぜか牛がいたりする

進んで行くと、金色のリングが回転しているのが見えてきた。これが各ステージごとのゴール(チェックポイント)である。正確にくぐらなくても近くを通過すればいいのだが、認識されない場合もあるので気をつけよう。効果音が鳴り、そのステージのクリア時間が表示され記録としてたまっていく。

ゴールのリングは確実に通過して記録を確かめよう

前半ステージの仕掛けと攻略ポイント

「ゴールドレース」は、全部で13のステージで構成されている。残る12のステージを攻略していかなければならない。その全ての詳細をここで説明すると攻略本みたいになってしまうので、ステージ前半のポイントから紹介しておこう。

まず初見でとまどうのがステージ3。階段を上った先のハシゴやツタを使って島の高台を登るコースになっている。どこをどう登っていけばゴールにつけるのか、最初はいったりきたりしてルート探しをすることになる。

実はこのステージ、より簡単なルートが存在し、それに気がつけばさっさと登ることができる。

ステージ3は登っていくコースから。ところころに仕掛けもあり、ルートの看板があったりする
ステージ3のコース

高台の上についても、そこからチェックポイントまでは雪の道が続いている。壁沿いに進んでいけばいいのだが、油断すると粉雪に埋もれて凍死することもある。ステージの途中でライフが0になると、そのステージの最初にリスポーンされるので、また登るところから始めないといけない。ちょっとショック。

登り切ったところから雪道が続く。うっかりすると凍死することも

次のステージ4は、この雪道の続きから。それが終わると、今度は登ってきた高台から降りていくルートがまっている。スライムブロックなどのアイテムを上手く狙って飛び降りるルートと、階段を頑張って降りるルートの2つから選べる。

飛び降りるときは、少しの位置のずれで、あわや一瞬でライフ0になり、雪の道の最初にリスポーンされる。これは精神的にかなり応える。筆者も初見のときはしばらくやる気をなくした。実は安全に飛び降りる裏技的な方法もあるが、それは皆さんで発見してほしい。

最初は、時間はかかるが階段ルートが安心だ。

ステージ4の雪道からの降下コースは初見では難関
ミス1つでライフがゼロに。安全な階段ルートもある

後半のステージは、バラエティに富んだ地形と仕掛けが続く

この先は、地下の廃坑、ネザー風のマグマアスレチック、海からの水路コースとバラエティに富んだ地形やしかけが続く。

マグマアスレチックは難関の1つ。得意な人はともかく、筆者は大の苦手である。何度もマグマに落ちて先に行く気力がなくなることも。ただよく見ていくと、実は安全に渡るためのアイテムが隠されているので、びびりな大人も探しながら進んでほしい。子どもたちはキャアキャア言いながらめげずに取り組んでくれる(はず)。

びびりな大人が足がすくむマグマアスレチックのエリア
隠されたチェストや友好モブも

ステージ9から12にかけての水路のゾーンでは、水中を泳いで進むかボートの活用場所でもある。場所によってはイルカと仲良く泳げるところもあり、なかなかいい気分。空気切れに気をつけながら行こう。

イルカと泳いだり、ショートカットしたりと楽しい水路のステージ

最後のステージ13は、これといった障害物がない。平坦なルートを全速力で進める。観客の皆さんが応援してくれる中、いい気分で最後のゴールをくぐると、ここまでのトータルタイムが表示される。

最後のステージ13では、観客の皆さんに出迎えられてのゴールが待っている

このゴールドレース、途中からリセットして一番最初に戻る機能はついていない。やり直したいときはもう一度ワールドの作成から行う必要がある。また、マルチプレイにも対応している。グループで集まって行うことも可能だ。

ただ動きが少々変わっている、グループの中で最初の誰かがそのステージをクリアすると、残った全員がゴールの場所までテレポートされるのだ。つまり、グループの中で順位を決めるのではなく、1つのチームとして記録を目指すのである。

筆者のように遅い人はなにもしないうちにどんどんステージが進んで行ってしまうので若干の寂しさはあるが、うまくステージごとに分担しておけば、トータルタイムを縮めることも可能だろう。団体戦のような競い合いも面白そうだ。

リアルな体験会は大盛りあがり

昨年の11月に、立命館大学びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)で「Code for Japan Summit 2024」が4年ぶりにリアル開催された。日本各地のシビックテック団体のお祭り的なイベントで、今回は台湾の初代デジタル担当大臣オードリー・タン氏がキーノートスピーチをされるなど盛り上がりを見せていた。筆者はその一角でこのゴールドレースを使ったeスポーツ体験会を担当させて頂いた。

事前に申し込みを受付し、各自PC等は持参してもらった。当日のべ20組以上の子どもたちと保護者が大学の教室で並んでマイクラをしている様子はなかなか珍しいかも。

筆者は用意した教育版のアカウントを印刷した紙を配布し、サインインからのワールド作成をガイド。各自がワールドを作成し、タイムアタックをする方法をとった。ワールドに入ったところで、「Start race」を押すように指示し、「はいここから全13ステージがんばってね、どうぞやってください」と一言で終わり。

開始を待つ皆さん、お子さんはすでにマイクラ世界に興味津々

ひどい案内係もいたものだが、ほとんどがマイクラ経験者だったので、哀しいくらいに没入して進んでいる様子。見回りながら質問があればちょっと対応するぐらいで予定の3時間はあっという間にすぎてしまった。

何か発見する度に報告してくれる子、集中してゴールをひたすら目指す子、失敗しても諦めずに挑戦する我が子の様子に感心する保護者も。

散策をさんざんしたあとで「よーしタイムアタックするかー」と10分台を叩き出す子もいれば、50分以上かけてじっくり回りつつ最終ゴールする子もいた。それぞれが自分のペースで進めてくれたのはマインクラフトの面白いところである。

さすがの子どもたちでも初見でひっかかりやすいのはステージ3から4にかけての雪の道。どうしたら雪の上を安全に行けるかなあ?と問うと「皮のブーツを履けばいい」というアイデアが。しかし、皮のブーツなどどこにもなかったのだが・・・ちょっとまてよ。ステージ1の最初のところに牛がいて作業台があったな!

「もしかして作れるかなあ?」
「やってみる!」

こうしたコミュニケーションからの気づき、実際にやってみる姿勢など、マイクラを使ったeスポーツが非認知スキルを鍛えるのは間違いなさそうだ。

コミュニティのつながりを生む手軽なマイクラeスポーツ

この体験会にあわせて、ゴールドレースの結果を集める簡易サイトを用意していた。うっかりそのまま放置していたのだが、スゴイ記録が出たという投稿がある日届いていた。しかも、団体戦やりませんかという「果たし状?」付きである。まじか。興味がありそうな学校関係者/クラブを巻き込んで計測会をやってみようかな。

ちなみに、初見でクリアできる子の記録はだいたい10分台。10分を切るのは少数派だが、研究して練習すればぐんぐん短縮できる。

ゴールドレースのタイムアタック動画もYouTubeに投稿されており、今のところの世界最速はなんと6分を切っている(相当すごいことをやっている・・)。お知らせいただいたすごい記録は6:32。わたしの周りの最速記録が6:19.80。ちなみに筆者の自己ベストは、8:40.25。世界記録への道のりは遠く険しい。

昨年のIT教育イベントISTE Live 2024では、教育版マイクラのビルドバトルを使ったeスポーツ大会が会場で行われたようだ。こちらのタイプも機会を見つけてやってみたいと思っている。

新妻正夫

教育ライター/ICTコンサルタント。MIEE2022-2023、Global Minecraft Mentor。2012年よりCoderDojoひばりヶ丘を主宰、STEAM分野で豊富な経験を持つ。コワーキング協同組合理事、ペライチ公式埼玉県代表サポーター他、多方面で活動中。 教育版マインクラフトを活用した緩(ゆる)イースポーツ「はちみつカップ」の普及が最近のマイブーム。