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2023年のパソコン出荷台数は3年連続減少も、金額は2年連続で成長 MM総研調査

2024年はAI-PCの普及に注目が集まる

ICT市場調査コンサルティングのMM総研は、2023年(2023年1月~12月)の国内パソコン出荷台数を調査し、その結果を発表した。

出荷台数は1093.5万台で前年比3%減と、3年連続の減少となった。メーカー別では、首位のNECレノボが268.8万台を出荷し、シェア24.6%となった。2位は日本HPで出荷台数100万台・シェア17.0%、3位は富士通クライアントコンピューティング(FCCL)で出荷台数98.9万台・シェア14.4%という結果となった。

国内パソコン出荷台数シェア(2022年/2023年)

MM総研では、出荷台数の減少の理由として、2023年は部品不足や不安定だった中国生産が落ち着いたが、円安によるパソコン平均価格の上昇の影響もあり、個人市場を中心にパソコン需要が伸び悩んだことを挙げている。

また、その他メーカーに含まれるASUSの携帯ゲーム用PCが10万円前後の手ごろな価格帯でヒットし、首位のNECレノボが大企業向けにChromebookの大口案件を獲得するなど、利用者の用途にあわせた中位価格帯の製品が需要開拓につながるケースもみられたとしている。

国内パソコン出荷台数シェア詳細(2022年/2023年)

一方、出荷金額は1兆2520億円で前年を3.2%上回った。出荷平均単価は11万4499円で、2022年の10万7594円から6905円上昇し、2年連続で10万円を超えた。この結果を受け、MM総研では円安による部品や海外生産コストの上昇と、ハイスペックなモバイルノートパソコンの需要増が重なり、単価を押し上げていると分析。2024年はAI処理をパソコンで実行するAI-PCが各社から本格的に登場し、さらに平均単価を押し上げる可能性があると指摘した。

国内パソコンの出荷金額と平均単価の推移

MM総研は、2023年のパソコン出荷台数が1093.5台に着地したことについて、ほぼ予測通りの結果であったと表明。2024年は、消費の矛先がレジャーなど外出に向いていることに加え、円安に起因したパソコン価格の上昇が買い替えを鈍らせているとして、個人向けの縮小が続くと予想している。

一方法人向けは、2023年に若干減少したものの、2025年に予定されるWindows OSの更新需要や、GIGAスクール端末の入れ替え需要が2024年から徐々に発生することから、出荷台数が増加すると見込んでいる。

国内パソコンのルート別出荷台数

2024年は各メーカーから、AI処理を高速化するAI-PCが多くラインアップされる一年となる。MM総研は、グループウエアや業務用アプリと組み合わせた生成AIの利用で仕事の生産性を高める効果が期待されるほか、画像・映像生成に高い効果を発揮するAI-PCがAI利用のすそ野を広げ、注目が集まるとコメントしている。