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NEXT GIGAの端末更新、9割の自治体が政府予算を想定、MM総研調べ

BYODを視野に入れる自治体は1割、生成AI活用を推奨する自治体もあり

児童生徒の端末更新時に想定している予算

 株式会社MM総研は、「小中GIGAスクールにおけるICT整備動向調査」の結果を発表した。全国すべての自治体に調査を依頼し、回答のあった自治体の9割が2025年ごろの大型更新、いわゆるNext GIGAでの端末更新は政府予算を想定をしているという。

 この調査は2023年5月に実施、全国1741自治体の教育委員会に調査を依頼、1246自治体から回答があった。国公立小中学校では2025年ごろにいわゆるNext GIGAと呼ばれる「児童生徒用の端末更新」や「次世代校務支援システムの導入本格化」などICT環境の大型更新を迎えるが、それに対しての動向を聞いたものとなる。

 まず、児童生徒用端末の更新については、94%の自治体が政府のGIGAスクール関連予算を想定していると回答があった。このうち約3割の自治体が独自予算で組むことも想定しているが、それでも政府予算を前提に、追加で必要なところに対して自治体独自予算をあてると考えているという。

 端末については保護者負担を検討しているところは2%と少なく、その場合、個人所有の端末利用(BYOD)で運用できるかを聞いたところ、BYODで「問題なく運用できる」としたのは1%。「多少問題は出るが運用できる」としたところを合わせても約1割ほどとなった。

 さらに、教育委員会で端末やOS指定などを行い、端末統一をすることを約8割の自治体が想定するが、入学時に保護者負担で端末を購入させるためのハードルがあるとしている。

BYOD端末の利用意向

 一方、次世代校務システムについては「クラウドを利用する」が約8割となったものの課題もある。

 次世代校務システムは文部科学省が、場所によらない校務や人事異動の際の負担軽減を目的に2025年から導入を本格化させ、クラウド活用も推進される。

 しかし、回線を校務系と学習系を統合するとの回答は約1割にとどまり、セキュリティポリシーを策定していない自治体は全体の約4割あることや、約1割が行政専用のネットワークであるLGWAN経由で校務システムを利用していることから、すぐに文部科学省の方針に沿えない。その結果、教員が教室に端末を2つ持っていくなどの負担増が想定されるとしている。

次世代校務システムにおけるICTインフラの選定方針

 また、ChatGPTをはじめとする「生成AI」についても聞いているが、文部科学省のガイドライン発表前ということもあり、回答があった1185自治体のうち、活用を推奨する方針のところは1%以下の5団体にとどまり、96%に相当する1132自治体は推奨も制限もしていないと回答した。

 なお、生成AIの活用を推進するとした5団体のうち3団体は小中学校の児童生徒数が1000人未満の町や村で、最も規模が大きな自治体でも児童生徒数は1万人を超えていない。その一方で5団体はプログラミングや英語教育などデジタル活用が進んでいる。

 MM総研では「デジタル新技術を活用する場合、必ずしも組織の規模や地域差は関係なく、人材確保や技術サポートがあれば小規模組織の方が俊敏に対応できる可能性を示している」としている。