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電子黒板 国内稼働台数は約32万台 前年度から19%増、MM総研調べ

「2022年度通期 国内電子黒板稼働台数調査」結果発表

国内の電子黒板稼働台数推移(出典:MM総研)

ICT市場調査コンサルティングのMM総研は、「2022年度通期 国内電子黒板稼働台数調査」について発表した。2023年4月から5月にかけて教育委員会、大学、民間企業にアンケート調査を実施し、国内における電子黒板の稼働台数を推計した結果だ。

今回発表されたのは以下のとおり。調査の詳細については、市場分析レポートとして近日中に発売予定となっている。

■国内の電子黒板稼動台数は31.9万台、うち文教領域が78%

国内における電子黒板の稼働台数は、2022年度末時点で31.9万台と推計された。前年度比19%増。このうち、文教が約24.9万台で全体の78%を占める。一方、民間企業は約7万台。

■民間企業は会議目的で導入

民間企業での主な導入目的は「コミュニケーションの円滑化、情報共有」や「Web会議の質の向上」で、それぞれ50%以上を占めている。設置場所では「中・小会議室」、「大会議室」がそれぞれ63%と58%で、民間企業では会議での活用を中心に、電子黒板の導入が進んでいることがわかる。

■民間企業ではオールインワン型に伸び

民間企業では、OSを搭載し、マイク・スピーカー・カメラも電子黒板に組み込まれたオールインワン型が伸びている。2019年にはオールインワン型が11%だったのに対し、2022年には32%となっている。Web会議での利用が目的のためと思われる。一方、文教ではオールインワン型の比率は10%程度にとどまる。

■民間企業の需要喚起策が必要

MM総研では、GIGAスクール構想によって文教の伸びが特に大きいが、教育ICT化の機運が落ち着き政府支援がなくなると、市場が急激に冷え込むリスクを抱えていると分析している。

一方、民間企業では導入率が9%にとどまるが、検討者も15%ほどいることから、今後の伸びしろは大きいとしている。

ただし、電子黒板が発売されてから10年以上経つことを考えると、これまでと同様の用途での訴求だけでは急激な伸びは期待できないとし、生成AIとの組み合わせ事例など起爆剤となるような新たなニーズを掘り起こす必要があるだろうとレポートしている。

■調査概要

以下3つの調査(実施時期/対象/有効回答件数)を組み合わせて稼働台数を推計している。

  • 教育委員会調査(2023年5月/全国自治体1,741団体を対象/有効回答件数1,246団体)
  • 大学調査(2023年4月/国公立および私立の802団体を対象/有効回答件数342団体)
  • 民間企業調査(2023年5月/民間企業でIT機器やオフィス什器の購入決裁権者もしくはサポート担当者/有効回答件数11,839社)

調査方法:教育委員会及び大学は電話アンケート調査、民間企業はWebアンケート調査

電子黒板の定義:パソコンの画面に表示した資料や写真などを投影し、画面の映像に書き込みや拡大縮小などをするなど変更を加えられるディスプレイ型もしくはプロジェクター型の製品を指す。ディスプレイ型のうち、OSを搭載し、マイク・スピーカー・カメラなどを一体化している製品をオールインワン型と定義した。