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STEAM・AI・健康管理も網羅、韓国発「学び+α」な教育ツールが面白い
―「EDIX東京2025」レポート⑪
2025年5月28日 06:30
2025年4月23日から25日の期間で開催された「第16回 EDIX(教育総合展)東京」。会場には海外企業も多く出展しており、今年は「DISCOVER KOREA 2025」と題して、韓国企業の製品・教育サービスの展示に力を入れていた。本稿では、そんな韓国ブースから、気になる製品をピックアップして紹介しよう。
第16回 EDIX(教育 総合展)東京レポート 目次
CodeWiz:マイコンボードで楽しく学ぶコーディング
AIやIoTを活用した教材を提供するCODABLEは、コーディング教育デバイス「CodeWiz(コードウィズ)」と、AIビジョンカメラ「OzEye(オズアイ)」を紹介。また、オンラインコーディング教育プラットフォーム「CoGym(コジム)」の展示も行っていた。
▶3インチ有機ELディスプレイ、6つのタッチセンサーを搭載
▶Wi-FiとBluetooth接続に対応
▶ScratchやPythonにも対応
▶AIカメラ「OzEye」と組み合わせた楽しみ方も
CodeWizは、教育向けの小型マイコンボード。本体に約3インチの有機ELディスプレイと6つのタッチセンサー、左右のボタン、5つのLEDライトを搭載。Wi-FiとBluetooth接続に対応しており、ケーブルレスで利用できるのが特長。
コーディングは、「CoGym」で行う。生徒用画面はパソコン・タブレット端末・スマートフォンで操作でき、小学生でも簡単に楽しめるScratchのブロックコーディング以外に、Pythonや電子工作で利用するArduino IDEに対応している。
展示ブースで目を引いたのは、遊び心あふれる工作キットの数々だ。ダンボールのキットを組み立てて楽器を作り、演奏する「WIZBAND」や、「OzEye」と組み合わせて豊富なギミックを楽しめる「AIスマートスクール」など、自然と手を伸ばして遊びたい・創りたいと思わせる魅力的な製品がそろっていた。
VINU:低学年向けのアンプラグド・ロボット教材
プログラミング教材やオンラインスクールを展開するALUX(エーラックス)は、プログラミングロボット「VINU(ビヌ)」と、プログラミングドローンの「コーディングドローン」や「コーディングライダー」を展示。学習と遊びの機能を兼ね備えた製品を紹介し、多くの来場者が体験していた。
▶小1〜小3向けに設計されたコンパクトなプログラミングロボット
▶タッチペン操作の「VINUパッド」と連携
▶ボードゲームなどの組み合わせで論理的思考を育成
▶小中高向けにコーディングドローンも用意
まず目に留まったのは、子供の手に収まるコンパクトサイズのVINUだ。ALUXが開発し、日本では株式会社followが販売をしている。対象年齢は小1から小3で、フルカラーの液晶ディスプレイを搭載した「VINUパッド」と二輪の「VINUカー」で構成。VINU本体のみでも楽しめるよう、場所を選ばずに学習できるアンプラグドコーディングロボットとして設計されている。
VINUパッドは、タッチペンで画面をタップして操作が可能。「絵パズル」やブロックコーディングを学べるゲームなど、豊富な学習コンテンツを用意している。VINUは、傾き・距離・音・色・光といった多様なセンサーを搭載しており、子供たちを夢中にさせる仕掛けが魅力的だ。
さらにオリジナル教材の「VINU CAR BOOK」やボードゲーム「PUSH&RUN BOARD GAME」と組み合わせることで、子供たちの論理的思考力と発想力、課題解決力の育成を図ることができるという。
小中学生のプログラミング学習に適したコーディングドローンは、付属のコマンドカードで操作が可能。ドローン内蔵のカラーセンサーが付属カードの色を読み取り、カードに定められた命令に従ってドローンが飛行する仕組みだ。
コントローラーには傾きセンサーが搭載されており、直感的な操縦も可能。さらに、コントローラーをパソコンに接続することで、ScratchやPythonによるコーディングにも対応する。
中高生向けのコーディングライダーは、部品ごとの修理や交換が容易なモジュール構造を採用。コーディングドローンと同様に、ScratchやPythonによるコーディング飛行が可能だが、キーボード操作やPCカメラを使ったハンドサイン・体の動きによる操縦にも対応する。また、干渉防止センサーを搭載しているため、複数の機体を使用する集団飛行も可能となっている。
MaxAI World:AIで学ぶ多言語マンツーマン英会話
WeaversBRAINは、AI技術を活用したマンツーマンのオンライン英語コーチングサービス「MaxAI World」を紹介。同サービスは、AIが授業や動画を自動作成し、AIチューターとのリアルタイムなコミュニケーションを通して、語学学習をサポートするもの。英語以外にも、日本語や韓国語、中国語など多言語に対応している。
▶AIによるマンツーマン英会話コーチング
▶授業や教材をAIが自動作成し、学習者に応じて提供
▶英語・日本語・韓国語・中国語など多言語対応
▶ネットラーニングとの業務協約により国内展開が進行中
ブースでは、実際にデモを体験することができた。マイクに向かって話しかけると、学習者の発話に対して、AIチューターがフィードバック。学習者の弱点や好みに合わせてフィードバックし、動的に指導内容を調整する。
なお、5月19日に同社と株式会社ネットラーニングによる業務協約が発表された。日本のオンライン学習に、今後MaxAI Worldがどのように活用されていくのか、注目が集まりそうだ。
Real PT:AIが提案するストレッチ&姿勢矯正
スマート技術を活用し、体育活動の向上や健康増進を目指すKorea Body Informationは、AI技術を活用して利用者の身体の状態を計測・分析し、一人ひとりに最適なエクササイズを提案するシステム「Real PT」を展示した。
▶AIが姿勢を分析し、最適なエクササイズを提案
▶頭・肩・骨盤・膝など身体のゆがみを細かく分析
▶学校・高齢者施設などでの導入実績あり
▶専用アプリで家庭でもストレッチや健康管理が可能
同システムでは、カメラで利用者の全身画像を撮影し、AIが身体のさまざまな箇所を分析。頭の傾きや左右の肩の高さの違い、骨盤の角度や高さ、膝の曲がり具合などを詳細に調べる。ブースではデモを行っており、筆者も計測。すると、「スマホ首」という結果に……。
分析後は、結果に基づいて、利用者に「一番必要なストレッチ運動」を提案。例えば、腰のゆがみを矯正するための運動などが表示される。利用者は、タブレットなどで提案内容や音声ガイドを確認しながら運動に取り組める。
韓国では、小学校から中学校・高校まで、多くの学校が同サービスを導入しており、健康増進センターや老人向け施設などで利用されているという。年に1回または2回程度計測を実施し、入学から卒業までの身体の変化を記録して学校で管理できるシステムとなっている。さらに、専用アプリで計測結果の確認や提案された運動を自宅で行うことも可能だ。
Blessの映像配信機器:低コストで学校導入を支援
「誰でも操作できる画期的なIT製品」をテーマに配信機器を展開する合同会社Blessは、講義用マイクと映像配信機器を展示。韓国では、公立・私立に関わらず、小学校でこうした機器を使って児童が配信する事例が増えているという。
▶MICKER Proはスピーカー一体型で屋外イベントにも対応
▶GISは最大8チャンネル対応の高音質ワイヤレスマイク
▶MVRは4カメラ対応でライブ配信・録画が簡単に可能
▶学校行事・授業配信に最適、低コストで導入可能
ブースでは、スピーカー内蔵のオールインワンマイク「MICKER Pro(マイカープロ)」のほか、ワイヤレスマイク音響システムセット「GISセット」、マルチチャンネル録画・配信システム「MVR」を紹介していた。
MICKER Proは、スピーカーが一体となったマイク。USBの充電式なので、場所を選ばずさまざまなシーンでの活用が可能。授業やセミナーのほか、屋外の学校行事でも活躍してくれそうだ。
GISは、送受信距離50メートル以内で使用できる、800MHz帯の高音質ワイヤレスマイク。ブースでは、スロット型の8チャンネル受信機を始めとする周辺機器と合わせて展示。また、音響システム「GISセット」として、GISワイヤレスマイクに加えて無線送受信機セット(VS100)・パワードアンプ(VPM200、150W)・ヘッドセットマイク(HS40)・スピーカー(VPS100W)・ハンド型マイク(VS100H)で構成されたパッケージ製品も提案していた。
MVRは、4チャンネルカメラで録画・ライブ配信ができる映像システム。オンライン授業や、行事のライブ配信での活躍が期待できる製品だ。本体(MVR-SP1000)・4CHカメラ・リモコン・ワイヤレスマイク・無線送受信機・キャリングケース・スタンドで構成されている。GISとMVRは共にオープン価格だが、ブースの担当者の話によると、低価格で導入可能な点もお勧めだという。
プログラミング教材やロボット、AIを活用したソリューション、映像配信機器など多彩な製品を展示し、多くの来場者が足を止めていた韓国企業ブース。日本の教育現場にはこれから導入される段階だが、いくつかの製品はすでに学校や教員の活用事例を紹介していた。子供たちの教育活動や学校行事に新しいソリューションを検討している方は、ぜひ選択肢に加えてみてはいかがだろうか。