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三重の高専生が海苔を救う!「カモ追い払いシステム」が経産大臣賞を受賞

鳥羽商船高等専門学校が、第6回高専ディープラーニングコンテスト2025(DCON2025)で経済産業大臣賞と企業賞を受賞

鳥羽商船高等専門学校は、情報機械システム工学科に所属する学生チーム「ezaki-lab」が5月9日から10日にかけて開催された第6回高等専門学校ディープラーニングコンテスト2025(DCON2025)で、経済産業大臣賞と3つの企業賞を受賞したと発表した。

チーム「ezaki-lab」が開発したのは、海苔養殖を食害から守るためのシステム「めたましーど」だ。海苔の減産が続く中、地元の伊勢湾や鳥羽磯部漁協の養殖現場に通い、生産者と共にシステムを設計。ディープラーニングを活用してカモを高精度に識別し、全方位カメラと音・レーザーによって追い払うことで、昼夜問わず自動で稼働する点が評価された。

全方位撮影可能なカメラで撮影し、カモが存在した場合は忌避音を発生させ、カモにレーザーを照射する「めたましーど」

三重県では海苔養殖が盛んだが、生産量は約10年で30億枚も減少。海苔養殖生産量が減っている原因を探るため、ezaki-labが開発した海洋観測機器「うみログ」を使って観察したところ、カモやクロダイによる食害が海苔養殖に影響を与えていることが判明したという。

DCON2025は、高専生の「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」のスキルを活用して社会課題を解決する作品を制作し、生み出される「事業性」を企業評価額で競う。本選では、技術審査とプレゼンテーションを実施し、ezaki-labの企業評価額は1億5000万円に。予測される経済効果や将来への期待度の高さから経済産業大臣賞を、完成度の高さと発想力の高さから企業賞(アクセスネット賞・三菱電機エンジニアリング賞・ビズリーチ賞)を受賞した。

経済産業大臣賞を受賞したときの様子

ezaki-labのリーダーを務めた北仲一登さんは、「海苔の生産者や漁協・水産研究所とのヒアリング・現場視察を何度も重ね『自分たちが何とかしなければいけない』という思いが強まった。今回の結果も、これまで協力いただいた皆さんの力添えがあったからこそだと感じている」とコメントしている。

伊勢湾漁協の海苔養殖生産者と意見交換をする様子

今後、ezaki-labは「めたましーど」を三重県内で実証実験するとともに販路を開拓。同様の要因で海苔の養殖量が減少している有明海や瀬戸内海を中心に全国展開し、国産の海苔生産量の回復を目指すという。