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最優秀賞は評価額7億円、高専生による事業創出コンテスト「DCON2025」の本選を開催
2025年5月13日 10:30
「第6回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2025」(DCON2025)の本戦が5月9日と10日の2日間にわたって行われ、最優秀賞を豊田工業高等専門学校のチーム「NAGARA」が受賞した。介護用のウェアラブル端末で企業評価額7億円という評価を受けた。
同コンテストは、高専生が「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を活用して社会課題を解決する作品を制作し、生み出される「事業性」を企業評価額で競う。一般社団法人日本ディープラーニング協会などが主催し、協賛企業から企業賞も贈られる。6回目となる今回は、過去最多の全国95チーム(42高専)がエントリー、本選には10チーム(11高専)が出場している。
最優秀賞を獲得したチーム「NAGARA」の作品は「ながらかいご」で、腕に装着するウェアラブル端末が介護中の会話から記録に必要な情報をマイクで抽出し、自動で記録を作成・共有する。ITに不慣れな介護スタッフや、両手がふさがることが多いことから音声入力の親和性や実用性が評価された。
2位は、企業評価額1億5000万円となった鳥羽商船高等専門学校のチーム「ezaki-lab」の作品「めたましーど~ノリ養殖を食害から守る~」。音とレーザーを活用して海苔を食害から守るプロジェクト。海苔生産者への事前ヒアリングを含む調査内容と、鳥の撃退にレーザーと音を活用する発想など、完成度が高い点が評価を得ている。
3位の作品は、企業評価額8000万円の富山高等専門学校 本郷キャンパスからチーム「Wider」の「Smart Care AI」。育児の負担軽減を目的としたAIカメラシステム。AIカメラにより赤ちゃんの状況を監視し、危険を検知してスマホに通知するが、従来の製品では実現できない機能を取り入れて差別化した。6歳まで対応なので新しい需要が見いだせることや、高齢者を含めて大人の見守りに応用ができそうという期待から評価された。
4位以下の学校とチーム名、作品タイトル、企業評価額と、後援や協賛企業等の受賞状況は以下の通り。最優秀賞のチーム「NAGARA」には副賞として、大阪・関西万博のイベント「XROBOCON」への出場権が贈られている。
なお、DCON実行委員長の松尾 豊氏は、以下のようにコメントし、参加の高専生を讃え、応援を約束した。
「技術力の高さに加え、ビジネス構想の練り込みも素晴らしく、非常に完成度の高いプレゼンテーションだった。現在、日本国内にはAIやディープラーニングの活用が進んでいない分野が数多く残されており、世界のビッグテック企業もこのような市場への参入を進めている。だからこそ、日本から世界に向けて新たな技術を生み出すことが重要であり、その主役となるのは高専生だと思っている」
DCONは、今後も未来のものづくりリーダーを発掘し、技術活用・事業創出を促進する機会をつくるほか、高専生が持つ可能性を支援し続けるとしている。
●「高専DCON2025」ものづくり×AI×事業性のリアル体験型コンテスト