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小学校教員の約6割が「学習指導要領の内容が多い」と回答、School Voice Project調査
2025年3月27日 15:00
特定非営利活動法人School Voice Projectは、全国の教職員から集めた学習指導要領に関するアンケート結果を2025年3月26日に公開した。
同アンケートは、2024年12月6日から2025年2月24日にかけてインターネットで実施し、全国の小学校306件、中学校85件、高等学校39件から回答が寄せられた(有効回答数は418件)。教員たちは、学習指導要領の内容量について、各校種で「多い」「やや多い」と感じている割合が高いことが明らかになった。
小学校では、「内容量が多い」と「内容量がやや多い」の合計で、外国語は83%、国語で81%、算数は77%という割合となった。次いで、道徳(73%)、社会(72%)、総合(72%)と続く。教科・科目によって割合は異なるが、平均では6割以上が「多い」「やや多い」と感じていることがわかる。
「ちょうどよい」の回答割合は、生活(55%)、音楽・特別活動(各49%)、図画工作(47%)が比較的高くなっており、「やや少ない」と「少ない」の合計で特別活動(13%)以外は、全ての教科で6%を下回った。
中学校では、「内容量が多い」と「内容量がやや多い」の合計で、外国語が100%、社会が88%、国語が77%とさらに高い傾向を示した。特に中学校の特別活動では「多い」「やや多い」が59%と、小学校の38%から大幅に増加した。同法人は、中学校での行事や生徒会活動の負担が大きいことが原因と推察している。
「ちょうどよい」の回答割合は、数学・特別活動(各32%)、総合(31%)が比較的高くなっているが、小学校の「ちょうどよい」の回答と比較すると全体的に低い傾向となった。
高等学校は回答者数が全体的に少なく、回答10人以上の科目が国語・数学・総合・特別活動の4つのみのため、単純比較はできないが、特別活動において他校種と異なった傾向が見られた。具体的には、中学校で「内容量が多い」と「内容量がやや多い」の合計で59%となっていた特別活動は、高校では「ちょうどよい」が52%となっている。
なお、「学習指導要領の内容を精選するならどうするか」という設問について、校種を超えて総合的な学習(探究)の時間削減を求める声が多く集まった。多くの教員が理念に理解を示しながらも、準備や外部連携にかかる負担の大きさや、学校や教員によって取り組みの質に大きな差が生じやすいことを課題として挙げている。
そのほか、小学校ではそろばんや毛筆、水泳指導の削減、中学校では道徳の教科化見直しや「仮定法」などの英文法を高等学校への再移行することなど、実用性が低下した内容や準備負担の大きい活動の見直しを求める意見が目立つという。
また、授業時数や授業形態そのものの見直しについても多くの意見があった。標準授業時数の上限設定や45分授業への変更、午前中だけで授業が終わるような時数設定など、教員の働き方改革や児童生徒の負担軽減につながる具体的な提案が寄せられている。
調査内容の詳細は、Webメディア「メガホン」の記事で確認が可能だ。