ニュース
校内研究は教員の学びにつながる? School Voice Projectがアンケート結果を公表
2025年5月8日 08:30
特定非営利活動法人School Voice Projectは、全国の教職員に実施した校内研究・研修に関するアンケート結果を2025年5月7日に公開した。
同アンケートは、小中高の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員を対象に、2025年2月28日から2025年3月31日にかけてインターネットで実施し、50件の回答が寄せられている。
2024年度に勤務校で実施した校内研究のテーマは、1位が「教科の内容」(42%)で、僅差で「教科を横断する内容」(40%)が2位となった。「教科を横断する内容」では、「ICTを活用した協働的な学び」や「生活科を中心とした探究的な学び」といった回答があった。
校内研究があって良かったことを聞いたところ、全体の44%が「知識・見識がアップデートされた」と回答し、次いで「授業力・指導力が向上した」が34%となった。なお、前回調査で2位にランクインしていた「悩みを共有できた」は、31%から18%に減少している。
一方で、約半数が「勤務時間内に研究・準備が終わらない」「準備負担が大きい」「学びたいテーマではないことが多い」を選択している。校種別では、小学校の最多は「勤務時間内に研究・準備が終わらない」、中学校が「児童生徒の良い学びや成長に寄与しているように感じられない」、高校は「学びたいテーマではないことが多い」となり、校種で感じ方が異なることがわかった。
また、「校内研究は教職員にとって良い学びの機会になっているか」という問いに対しては、「そう思う」が40%で「そう思わない」が42%と、ほぼ拮抗(きっこう)する結果となった。「全くそう思わない」のみに絞ると、「研究・研修が形骸化している」「教員の主体性が感じられない」という声も寄せられている。
同社は、アンケート結果の全体的な傾向が前回調査と似通っており、校内研究のメリットはありつつも、それ以上に負担感を感じている人が多いと分析している。なお、校内研究の是非にかかわらず「実際のニーズや課題感に基づかない形骸化した研究・研修は、現場の負担感を増す」という意見が目立ったという。
一方で、独立行政法人教職員支援機構は、学び合いのコミュニティの醸成や探究型研修の開発を進める戦略を明らかにしている。また、芦屋市では研究指定校制度を廃止し、自主参加型の研究へと移行した。同社はこうした動きを踏まえ、教員がより主体的な参加の姿勢を持ち、対話的・協創的なプロセスが求められると推察している。