ニュース
教職員の8割が「勤務開始前に業務がある」と回答、School Voice Project調査
2024年12月3日 10:30
特定非営利活動法人School Voice Projectは、全国の教職員を対象に行ったアンケート結果を公開した。調査結果によると、勤務開始時刻前に日常的な業務を行っている教職員は全体の84%に上ることが明らかになった。
同アンケートは2024年10月4日から10月28日までの期間、全国の小学校・中学校・高等学校に勤務する教職員を対象にインターネット経由で調査したもの。調査では、勤務時間外の活動実態やその問題点について焦点を当てている。
勤務開始時刻前の日常業務では、すべての校種で「登校指導」の回答が多く、全体の63%を占めている。次いで「校内の児童生徒指導・支援」(53%)、「部活動や委員会の指導・支援」(44%)が続いた。特に、小学校では登校指導の割合が高く、中学校では課外活動の指導が大きな割合を占めていることがわかった。
児童生徒の登校時間と教職員の勤務開始時間の設定に関する質問では、「登校開始時刻が勤務開始時刻前に設定されている」と答えた教職員が85%に達した。登校完了時刻が勤務開始時刻前に設定されている学校も多く、西日本(近畿・中国・四国・九州・沖縄)では、その割合が特に高い。
こうした状況について「事実上の勤務開始時刻が早まっている」と回答した教職員は全体の79%に上り、20〜40代の若手教職員ではその割合が87%と高かった。一方で、「特定の教職員に負担が集中している」との回答も44%に達し、特に中学校では61%と顕著だった。
教職員からは、「勤務開始時刻と登校時刻のギャップにより、特定の職員に業務が集中してしまう」「登校時刻の調整は保護者の仕事への影響を考慮する必要があり、議論が進まない」といった声が挙がっている。さらに、「勤務開始時刻の設定が現実に合っていない」との指摘も多い。
同アンケートでは、児童生徒の都合と教職員の正規の勤務時間との兼ね合いが難しいことを示す結果となっている。小学校の教職員からは「家庭が大変なのはわかるが、教育行政はあくまで教育に責任を負うために、教師が授業に専念できる勤務環境を保障してほしい」という声も寄せられている。