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教員に授業コマ数を調査、小中は受け持ち数が前年より増加

25コマ以上を受け持つ教員の8割は「授業が充実していない」と回答

特定非営利活動法人School Voice Projectが、全国の教職員を対象にした「授業のコマ数」に関するアンケート結果を発表

特定非営利活動法人School Voice Projectは、全国の教職員を対象に、授業のコマ数に関するアンケートを実施し、結果を発表した。

School Voice Projectは、2023年9月〜12月にも同様の調査を実施している。

その後、2024年8月に、文部科学省が「教師を取り巻く環境整備 総合推進パッケージ」を発表し、その中で「小学校中学年の学級担任持ちコマ数は週3.5コマ減、新採教師の持ちコマ数は週5コマ減」という具体的な目標を提示。同法人は文部科学省の発表を受けて今回、再度アンケートを実施した。

アンケートは、全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校(学校教育法1条に定める学校)に勤務する教職員を対象に、インターネットで実施した。実施期間は2024年9月5日~9月24日で、回答数は107件。同調査の「コマ数」は、会議などを含めない授業のコマ数を指す。

・現在受け持っている週の授業コマ数
小学校では、全体の74%の教員が20コマ以上を担当している。この数字は前回のアンケートと同じだ。ただし、25コマ以上を担当する教員が24%から38%に増加しており、負担がより増えていることが伺える。

中学校では、20コマ以上を担当する教員が全体の33%を占め、前回の21%から増加した。

高等学校では、16コマ以上を担当する教員が全体の55%だった。これは、前回の57%と比べて、大きな変化は見られなかった。

現在受け持っている週の授業コマ数について

・現在の持ちコマ数で充実した授業ができているか
担当しているコマ数ごとに回答を分類すると、担当している授業コマ数が多いほど、「充実した授業ができていない」と感じている人が多い傾向があった。特に持ちコマが25以上の人に限定すると、実に全体の78%が「あまりできていない・できていない」と回答した。

なお、校種別では、小学校の先生に「できていない」の回答が最も集中した。

現在のコマ数で充実した授業ができているか

・授業の質を維持するために適切と考える持ちコマ数の上限は
授業の質を維持するために望ましいと考える持ちコマ数の上限についての質問では、小学校では「15~19コマ」と回答した人が71%と最も多い一方で、中学校では「10~14コマ」と回答した人が54%、高等学校では77%と共に最多だった。前回のアンケートと比較すると、区分は異なるものの、ほぼ同様の結果となった。

授業の質を維持するために適切なコマ数は

同法人は、「学習内容の見直しをしてほしい」「総時数を減らしてほしい」「病休や育休などの先生の代わりがいない。時間数は関係ないと思う」「テキスト数の方が大きい要素かもしれない」といった意見をピックアップ。一概にコマ数だけでは判断できない実態がわかったともコメントしている。