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神戸市、AI同時通訳ツール「ポケトーク for スクール」を導入

母国語支援者不足の解消へ

神戸市教育委員会が導入した「ポケトーク for スクール」

 ポケトーク株式会社は、AI同時通訳などを提供するサービス「ポケトーク for スクール」を神戸市教育委員会が導入したことを発表した。主に日本語の指導を必要とする児童生徒が利用する。

 「ポケトーク for スクール」は、ブラウザー型のAI同時通訳「ポケトーク ライブ通訳」とイベントなどで同時通訳を多人数に展開する「ポケトーク カンファレンス」を応用したサービス。

 「ポケトーク ライブ通訳」は、相手が話す10言語(英語、日本語、韓国語、中国語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語)を74言語の音声とテキストにリアルタイム翻訳するもの。ポケトークでは専属の同時通訳者がいるように相手の話を理解できるとしている。Webブラウザーで利用するため、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末で使用できる。

ポケトーク ライブ通訳

 「ポケトーク カンファレンス」は、多言語で開催される会議で登壇者の発言を通訳するソフトウェア。発表用パソコンで同ソフトウェアを利用すれば、参加者は手持ちのスマートフォンで二次元バーコードを読み取るだけで、同時通訳された音声とテキストを視聴できる。登壇者の10言語に対応して、74言語で同時通訳が可能だ。

ポケトーク カンファレンス

 神戸市が「ポケトーク for スクール」を採用した背景は、2024年5月現在で日本語の指導を必要とする児童生徒が約650名在籍し、来日後に年度の途中で就学する児童生徒が年間で100名程度いるためである。これまでは母国語支援者の配置などで対応してきたが、外国人児童生徒の増加による母国語支援者の不足とコストの増加が課題となっていた。

 神戸市では2024年3月から試験的に「ポケトーク for スクール」を利用し、5月から本格利用を開始した。実際に利用した児童生徒から「授業の内容が以前よりも理解できるようになった」という声があり、教員からは「自動で翻訳されるので、授業が進めやすくなった」という反応があるという。

 同社は、教育現場における「言葉の壁」に着目。全ての外国人生徒に対して同サービスの多言語対応を実現し、平等な教育の提供ができるように導入を拡大するとしている。